庭に咲く萩
仙台で「萩の月」という銘菓を土産に二箱買った。
仙台の名品とは知らず、その名前に引かれたこと、銘菓購入者にミヤギノ萩の苗木を進呈しますという趣にも押された。
しかし萩苗は辞退した、父が育てた萩の実生が庭のあちらこちらに群をなして咲き乱れている。
萩が枝垂れて咲く風情は好きだけれど、ひところ我家を「萩屋敷?」と呼んだ人がいたらしい。
***お屋敷は邸宅だが、屋敷とは荒れ果てた家屋や庭を指すことが多い***
帰ってから聞いてみると銘菓「萩の月」を知らなかったのは私を含め、極く少数派であることが判った。
結局のところ銘菓は隣人や同僚の胃の中に全て収まって、家族の口には入らなかった、しいて言えば私だけが味見用の小さなかけらを口に入れられた。
今の時代 その気になれば仙台まで行かなくとも、インターネットを使へばいつでも食べられるが、それは似て非なるものかも知れない。