ガマズミ
赤い小鳥は、赤い実を食べた。
庭先のガマズミは強い酸味が災いして鳥たちは敬遠している。
冬枯れの山野を歩くと、ガマズミの液果の鮮やかな色彩が目立つ。
数度かの霜に練られて、水滴のように熟れた液果は、適度の甘味が乗って、酸味が和らいでくる。
冬の訪れを前に、囲炉裏や竈に使う、焚きつけ用の松葉を集めるのは子供達の仕事だった。
松林の梢を鳴らす風が吹くと、松葉は止めどなく降ってくる、それを熊手で掻き集め、背負いかごに入れた。
そんな松葉拾いの楽しみの一つは、山の恵みを漁りあるくことだった。
篭を放り出して、灌木の茂みに飛び込んで行った。
ガマズミやこなしは甘味を増して旨く、ヤマ葡萄は干しブドウになってその甘酸っぱい凝縮された味が口の中に広がった。
だから 冬が来ると山の子のほっぺたは、みんな赤くなった。
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