家屋解体始まる
建屋に加えられた最初の一撃で、轟音とともに屋根が崩れ落ち、二階の床が抜けた。
何とたわい無いものか、まるで積み木崩しだ。
家を建てた人、棲んでいた人は皆な死んでしまった、見ていたら泣くだろう
住居の柱1本、床板1枚にも、住人の積年の常念が移りついているという。
幽霊の話は本当だったかもしれない、作業員に対して静かに工事を進めて欲しいという挨拶だったのだろうか
この屋の住人達との関わりを懐古していると目頭が熱くなった。
そんな感傷にかまわず、解体は小気味よく進む、現場は見る間に瓦礫の山である。