ほしちゃんの「続・なるようにしか、ならん」。

安くてウマいもんと料理と旅行と音楽と競馬が好きなサラリーマンの暮らしを、ありのままに綴ります。

山下達郎のコロナへの言及、補足させていただきます…

2020-04-13 20:00:00 | No Music,No Life.
我が尊敬してやまない「歌う人間国宝」山下達郎が、昨日のレギュラー番組「サンデー・ソングブック」でコロナ禍に対する言及をして話題になったが、その発言を聞いて一部リスナーがこのように色めき立っていた。



私個人の政治思想はここでは差し控えるが、こういった方々はかなりの誤解をされているのではと思う。
ここで、達郎が昨日の番組でコロナについて語った全てを振り返ってみる。

「こうした現状から生まれる数々の不条理への戸惑いや鬱憤、いら立ちを抑えきれず、ある人はそれをネットに噴出させ、ある人はメディアを使ってぶちまけています。そうしたい気持ちは痛いほどわかります。私だって怒鳴りまくりたい衝動があります。でも、そんなことをしてもウイルスがなくなるわけではありません。毎日メディアで細部をつついては批判と罵倒に明け暮れている、そういうものが人びとの不安をどれほど煽っているか。なぜもっと寛容な、建設的な言動がとれないのか、不思議でなりません。
 私は政治的な言説にあまり深く立ち入らないように努めているのですが、今一番必要なのは政治的利害を乗り超えた団結ではないかと思います。今、政治的対立を一時休戦して、いかにこのウイルスと戦うかを日本中の、世界中のみんなで助け合って考えなければならないときです。何でも反対、何でも批判の政治的プロパガンダはお休みにしませんか? 責任追及や糾弾はこのウイルスが収束してからいくらでもすればいいと思います。
 再三再四申し上げているように、こういうときは冷静さと寛容さが何よりも大事です。静かに落ち着いて物事を語りましょう。正確な判断は冷静さからしか生まれません。過酷な現場で働く医療スタッフの皆さん、それぞれの思いを持ちつつも黙々と闘っていらっしゃいます。スタンドプレーのメディアピープルではなく、そういった医療従事者の皆さん、見えないところで人知れず働く方々に思いを馳せましょう。彼らを励まし、盛りたて、我々は我々ができることを致しましょう。今は、できる限り他者との接触を避け、感染の広がりを防ぐ努力をしましょう。
皆さんくれぐれもご自愛ください。みんなで少しでも感染を防ぐ努力をして参りましよう。色々ありますが、明るく仲良く前向きに参りましょう。頑張りましょう」

以上である。
政治的利害を乗り越えた団結を呼びかけているが、それは全ての人々の団結であって、為政者に与するような発言は全くしていない。
そればかりか、今の政治にかなり厳しい苦言を呈している。
それを、「政治的利害を乗り越えた団結」というだけであたかも安倍首相の味方をするように受け取り、このようにSNSで拡散するのは、まさしく切り取り、印象操作ではなかろうか。

私は達郎の音楽性もさる事ながら、達郎の生き方、ものの考え方に激しく感動、共鳴し今日まで生きてきた。
達郎はコンサートのMCで
「私に、特定の政治思想はありません。敢えて言えば、心情的アナーキストです」
と言及している。すなわち、究極の左派だが仕方なく現体制に従っているだけだ。
言ってしまえば、このような拡散をした人達と極めて近い位置にいる。
にもかかわらず達郎と相容れないのはルサンチマン、すなわち弱者の強者に対する恨みのようなものがあるのではないか。それが
「毎年『クリスマス・イブ』でガッポリの…」
という発言に見て取れる。
ガッポリだけの人が、見えないところで働く医療従事者に思いを馳せるだろうか。

宇宙物理学者を目指していたにもかかわらず学生運動で高校の授業を潰され、行く先がなく新宿のジャズ喫茶や雀荘に入り浸っていた達郎は、どこからどう見てもその思考は反体制だ。
もちろん類まれな音楽の才能に恵まれていたのだが、それ以上に音楽で自分を表現しかないところまで達郎は体制によって追い込まれていたのである。

先ほどのような書き込みをされていた皆さん。
達郎は、あなた方の味方です。
達郎の音楽の美しさは、体制に自分の人生を狂わされ流した涙が琥珀となった輝きなのですから…