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漢詩をたのしむ パート2

2007年11月17日 | わたくしごと、つまり個人的なこと
林田慎之助著「漢詩をたのしむ」講談社現代新書
少し、漢詩に凝っております
いずれ飽きますので 今しばらくお付き合いを・・・

蘇軾(そしょく)は宋時代の文豪で政治家ですが、左遷されて永きに渡り僻地での生活を余儀なくされておりました。
60歳といえば、当時は人生の晩年。遠い海南の地で死期を迎えようと覚悟していたところ、彼のところへ都から召喚状が届きました。
人生捨てたらあかん。捨てたもんじゃない。
彼は通潮閣へのぼり、対岸の地平線に向かって歌います。

澄邁駅(ちょうまいえき)の通潮閣(つうちょうかく)  蘇軾(そしょく)

余生欲老海南村
帝遣巫陽招我魂
杳杳天低鶻没処
青山一髪是中原

余生 老いんと欲す 海南の村
帝は 巫陽(ふよう)を遣わして 我が魂(たましい)を招かしむ
杳杳(ようよう)として天低(たれ) 鶻(はやぶさ)の没する処
青山一髪(せいざんいっぱつ) 是(これ)中原(ちゅうげん)

私はこの村で晩年を迎えようと覚悟していた
ところが、帝は巫女を遣わして、私の魂を呼び戻してくださった
地平線の彼方、空が低く垂れ込め、隼が消え去るところ
細く髪の毛のように連なる山々が見えるが
あれこそ私が帰る中国本土なのだ

「青山一髪是中原」と力強く言い切った蘇軾
なんと広大で、ドラマチックな光景で せ う か
ねえ リジチョウ