花の四日市スワマエ商店街

四日市の水谷仏具店です 譚

楠の木子ども会

2005年06月21日 | レモン色の町
和30年5月17日。学校から帰ると、小学1年生の真新しいかばんを放り投げて正ちゃんと諏訪公園へ走る。商店街の子供の縄張りは、もっぱら諏訪公園と諏訪神社だ。
こは図書館(現在のすわ公園交流館)東側の広場。野球の苦手なおいらの守備は、もっぱらライト。打者に立ったときは、しっかり怖い顔をしてボールを選ぶ。たまにストライクが来てもバットを構えて立ったまま。バットを振れ!と怒鳴られて思い切り振ったら、偶然に当たってしまった。ピッチャーゴロでアウト。かまわないから懸命に1塁へ向かって走る。嬉しくてしばらくベースを踏んでいたが、誰も相手にしてくれなかったので、それ以来、あまり野球はしていない。
面左端に新田町の会所があった。ここで萩原のおいさんが「楠の木子ども会」をつくった。商店街の子供を集めて、8ミリの映画会や廃品回収をしたり、日帰りのバス旅行に連れて行ってくれた。親がかまってくれないおいら達にとって、子ども会はありがたい存在だ。
休みのバス旅行は楽しみな行事。出発時は心うきうきだが、夕日と共に帰路へ向かう車中では、なんとなく寂しくなってきた。「もう一箇所、寄っていきますね」とガイドさんが話す。「ああ、まだ行くところがある」と思うと元気が出た。ところがそこはトイレ休憩だけだった。またしょんぼりしてバスに乗る。あとは、旅先で買ったお土産だけが楽しみだ。
しいことのあとには、寂しさが付きまとう。そんなことを身にしみて知った、幼心の武兵衛でした。
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