(1)中国産鶏肉で問題なのは、抗生物質だけではない。それ以上に怖いのは、有機塩素だ。
DDTやBHCなどの有機塩素系農薬や殺虫剤は毒性が問題となって1970年代に世界中で禁止された。日本ではほとんど検出されなくなった。しかし、中国の土壌ではいまだに有機塩素が高レベルで残留している。
有機塩素は神経を侵し、発癌作用がある。脂肪に蓄積しやすく、肝臓などに脂肪組織のあるところに集まる。肝臓で濃縮されたら、肝機能障害を発症する。【鑑森定信・元富山大学副学長】
有機溶剤も有機塩素化合物で、昨年、印刷会社の元従業員が胆管癌を発症し、少なくとも8人が死亡して社会問題になった。
中国では、日本の土壌汚染対策基本法に基づくBHC残留基準値0.0025mg/Lの59倍、0.1473mg/Lも検出されるのだ。1997年の152倍0.38mg/Lよりずいぶん下がったが、日本の残留基準値以下になるのは50年先と言われている。
中国で残留値が高いのは、いまだに使われているからだ。中国でも1983年に禁止されたが、今でもネット販売で入手できる。農薬として効くから、全国で出回っている。【高橋五郎・愛知大学教授】
7種類あるBHCのうち最も毒性の強いγもネット販売されている。「鶏の成長ホルモン」剤まで堂々とネットで販売されている。
(2)有機塩素による汚染の影響が深刻なのは、コメよりも鶏肉のほうだ。
有機塩素に汚染された土壌に植えた穀物からは、必ず有機塩素が検出される。残留BHCが0.14mg/Lの土壌にトウモロコシを植えると、ほぼこの数値がトウモロコシから検出される。これを鶏に食わせると、約10倍に濃縮される。
さらに、採卵鶏は2年近く飼育するから、有機塩素で汚染されたトウモロコシを食べさせると、かなり蓄積する。その後廃鶏は食用として販売し、その残滓を肉骨粉にしてブロイラーや採卵鶏に食べさせるから、さらに生体濃縮される。【高橋教授】
こうした危険な中国産鶏肉は日本の検疫でチェックされない。通常、重金属や有機塩素は検査しないのだ。
(3)さらなるリスクとして、残留ホルモンがある。
エストロゲンE1は通常は牛肉から、エストロゲンE2は通常は鶏肉から検出される。マクドナルド、ロッテリア、モスバーガーのハンバーガー中のエストロゲン(女性ホルモン)を測定した結果からすると、調理の過程で鶏の油脂などが混ぜられている可能性がある。ハンバーガーを好んで食べるのは、ホルモンの影響を受けやすい若い世代だ。子どもたちに与える影響が懸念される。
(4)BHCのような化学物質に対し最もリスクが懸念されるのは対峙や新生児だ。妊娠中の人が容易に有害物質を多く含んだ食品を摂取すると、その一部は確実に胎児へ移行する。成人に比べ、胎児は有害物質に対して敏感だ。【田辺信介・愛媛大学沿岸環境科学研究センター特別栄誉教授】
日本にはポジティブリスト制度によって、食品に残留するBHCの濃度が決められている。しかし、業界や政治家の意見を反映した緩い基準で、科学的根拠はない、という専門家もいる。
(5)日本マクドナルドが調達・使用している原材料は、中国で過熱加工された鶏肉だ(河南大用食品を含む)。その安全性をどうチェックしているか。
取材申込みに対し、日本マクドナルドは書面でのみ回答する、という。
中国産鶏肉を原材料とするメニューに関する質問以外は、曖昧な回答ばかりだった。
そのはぐらかすような回答から浮かび上がったのは、日本マクドナルドは抗生物質を禁じてはいないし、同社の鶏肉にも抗生物質が使用されていることだ。そして、検査は、中国の業者と中国政府に任せっぱなしであることだ。
また、鶏肉に含まれるDDTやBHCなどの有機塩素系農薬の検査基準についても、検出原価地も検査項目もサンプル数も明らかにしていない。
むろん、問題は日本マクドナルドだけではない。中国産鶏肉調整品の代表例は、唐揚げ、焼き鳥、チキンナゲット、ミートボール、竜田揚げだ。輸入された22.2万トンのうち、半分は外食産業で消費されている。
消費者が中国産鶏肉を食べている意識がないのは、外食産業の場合は表示義務がないからであり、味付けしたものや加工食品は表示義務がないからだ。【垣屋達哉・食品表示アドバイザー】
最大のリスクは、中国に日本人の食と健康を預けてしまっていることだ。安いから中国産を食べるということは、それなりの覚悟を伴うということだ。【あるオーガニック検査員】
□奥野修司+本誌取材班「あなたはそれでもチキンナゲットを食べますか マクドナルドの中国産鶏肉が危ない!」(「週刊文春」2013年5月2・9日ゴールディンウィーク特集号)
【参考】
「【食】日本マクドナルドが輸入する中国産鶏肉の危険 ~抗生物質~」
「【食】中国産食材は大丈夫か? 日本の外食産業は?」
「【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~」
「【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~」
「【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド・その後」
「【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド」
↓クリック、プリーズ。↓
![blogram投票ボタン](http://widget.blogram.jp/images/bgButton1_yel.gif)
DDTやBHCなどの有機塩素系農薬や殺虫剤は毒性が問題となって1970年代に世界中で禁止された。日本ではほとんど検出されなくなった。しかし、中国の土壌ではいまだに有機塩素が高レベルで残留している。
有機塩素は神経を侵し、発癌作用がある。脂肪に蓄積しやすく、肝臓などに脂肪組織のあるところに集まる。肝臓で濃縮されたら、肝機能障害を発症する。【鑑森定信・元富山大学副学長】
有機溶剤も有機塩素化合物で、昨年、印刷会社の元従業員が胆管癌を発症し、少なくとも8人が死亡して社会問題になった。
中国では、日本の土壌汚染対策基本法に基づくBHC残留基準値0.0025mg/Lの59倍、0.1473mg/Lも検出されるのだ。1997年の152倍0.38mg/Lよりずいぶん下がったが、日本の残留基準値以下になるのは50年先と言われている。
中国で残留値が高いのは、いまだに使われているからだ。中国でも1983年に禁止されたが、今でもネット販売で入手できる。農薬として効くから、全国で出回っている。【高橋五郎・愛知大学教授】
7種類あるBHCのうち最も毒性の強いγもネット販売されている。「鶏の成長ホルモン」剤まで堂々とネットで販売されている。
(2)有機塩素による汚染の影響が深刻なのは、コメよりも鶏肉のほうだ。
有機塩素に汚染された土壌に植えた穀物からは、必ず有機塩素が検出される。残留BHCが0.14mg/Lの土壌にトウモロコシを植えると、ほぼこの数値がトウモロコシから検出される。これを鶏に食わせると、約10倍に濃縮される。
さらに、採卵鶏は2年近く飼育するから、有機塩素で汚染されたトウモロコシを食べさせると、かなり蓄積する。その後廃鶏は食用として販売し、その残滓を肉骨粉にしてブロイラーや採卵鶏に食べさせるから、さらに生体濃縮される。【高橋教授】
こうした危険な中国産鶏肉は日本の検疫でチェックされない。通常、重金属や有機塩素は検査しないのだ。
(3)さらなるリスクとして、残留ホルモンがある。
エストロゲンE1は通常は牛肉から、エストロゲンE2は通常は鶏肉から検出される。マクドナルド、ロッテリア、モスバーガーのハンバーガー中のエストロゲン(女性ホルモン)を測定した結果からすると、調理の過程で鶏の油脂などが混ぜられている可能性がある。ハンバーガーを好んで食べるのは、ホルモンの影響を受けやすい若い世代だ。子どもたちに与える影響が懸念される。
(4)BHCのような化学物質に対し最もリスクが懸念されるのは対峙や新生児だ。妊娠中の人が容易に有害物質を多く含んだ食品を摂取すると、その一部は確実に胎児へ移行する。成人に比べ、胎児は有害物質に対して敏感だ。【田辺信介・愛媛大学沿岸環境科学研究センター特別栄誉教授】
日本にはポジティブリスト制度によって、食品に残留するBHCの濃度が決められている。しかし、業界や政治家の意見を反映した緩い基準で、科学的根拠はない、という専門家もいる。
(5)日本マクドナルドが調達・使用している原材料は、中国で過熱加工された鶏肉だ(河南大用食品を含む)。その安全性をどうチェックしているか。
取材申込みに対し、日本マクドナルドは書面でのみ回答する、という。
中国産鶏肉を原材料とするメニューに関する質問以外は、曖昧な回答ばかりだった。
そのはぐらかすような回答から浮かび上がったのは、日本マクドナルドは抗生物質を禁じてはいないし、同社の鶏肉にも抗生物質が使用されていることだ。そして、検査は、中国の業者と中国政府に任せっぱなしであることだ。
また、鶏肉に含まれるDDTやBHCなどの有機塩素系農薬の検査基準についても、検出原価地も検査項目もサンプル数も明らかにしていない。
むろん、問題は日本マクドナルドだけではない。中国産鶏肉調整品の代表例は、唐揚げ、焼き鳥、チキンナゲット、ミートボール、竜田揚げだ。輸入された22.2万トンのうち、半分は外食産業で消費されている。
消費者が中国産鶏肉を食べている意識がないのは、外食産業の場合は表示義務がないからであり、味付けしたものや加工食品は表示義務がないからだ。【垣屋達哉・食品表示アドバイザー】
最大のリスクは、中国に日本人の食と健康を預けてしまっていることだ。安いから中国産を食べるということは、それなりの覚悟を伴うということだ。【あるオーガニック検査員】
□奥野修司+本誌取材班「あなたはそれでもチキンナゲットを食べますか マクドナルドの中国産鶏肉が危ない!」(「週刊文春」2013年5月2・9日ゴールディンウィーク特集号)
【参考】
「【食】日本マクドナルドが輸入する中国産鶏肉の危険 ~抗生物質~」
「【食】中国産食材は大丈夫か? 日本の外食産業は?」
「【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~」
「【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~」
「【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド・その後」
「【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド」
↓クリック、プリーズ。↓
![にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ](http://book.blogmura.com/bookreview/img/bookreview88_31.gif)
![人気ブログランキングへ](http://image.with2.net/img/banner/c/banner_1/br_c_1375_1.gif)
![blogram投票ボタン](http://widget.blogram.jp/images/bgButton1_yel.gif)