(1)落ち込んだときに「食べ放題」のお店に入るのはやめたほうがいい。
近年、感情的な食行動のリスクに関する研究報告が増えている。米セント・ボナベンチャー大学の研究者らは、学生ボランティア154人(男性56人、女性98人)を対象に、気分と食行動の関連を調べた。
(a)学生たちの平均年齢 19.7歳
(b)BMI(体格指数)の平均 26.1(「やや肥満気味」)【注1】
【注1】日本の基準ではBMI25以上は「肥満」に該当する。
(c)鬱病評価尺度
①正常 80人
②軽~中等度の鬱病病 74人
(2)感情と食行動との関連を調べるため、参加者には
(a)「一番の親友が結婚して遠くに行ってしまった」「誰もあなたの誕生日を覚えていない」などの「悲しい話」を読んでもらった。
(b)さらに日を置いて、今度は「ニュートラルな話」を読んでもらった。【注2】
【注2】<例>「朝起きて、服を着替えて、朝ご飯を食べる」etc.、日常的な風景描写を集めた小咄。
2パターンの小咄を読んだ後、参加者は静かな部屋に用意されたビュッフェの席に着き、満腹になるまで食べるよう勧められた。
ビュッフェに用意されていた食物は、次の2種類。
①低カロリーの果物や野菜
②高カロリーのカップケーキやクッキーなどのスナック
その結果、肥満で鬱と評価された参加者は、「ニュートラルな話」と比較し、「悲しい話」を読んだ後のカロリー摂取量が有意に高かった。
低カロリーのヘルシーフードを避けたのではなく、さらに高カロリーのスナックに手が伸びたためで、負の感情は「より甘くて高カロリーの食べ物」を求めるスイッチを押すらしい。
(3)研究者は、「悲しみ」に突き動かされる食行動が、うつ病や体重に及ぼすリスクを強調している。
日本でも、「食べて飲んで憂さ晴らし」はおなじみの光景。時折ならよいとして、あまりに抑鬱感が強いときは、「食べ放題・飲み放題」を避け、普通のごはんをゆっくり噛みしめよう。
適切な食行動は、自信と自己効力感を高める、というエビデンス(科学的根拠)もあるのだから。
□井出ゆきえ(医学ライター)「食べ放題は幸せなときに/悲しいと食べすぎます ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.308~」(「週刊ダイヤモンド」2016年7月16日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~」
「【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク」
「【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 」
「【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ」
「【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~」
「【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~」
「【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~」
「【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~」
「【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~」
「【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~」
「【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~」
「【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~」
「【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽」
「【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~」
「【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~」
「【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~」
「【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~」
「【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~」
「【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~」
「【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高」
「【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~」
「【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~」
「【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~」
「【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~」
「【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~」
「【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~」
「【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~」
「【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~」
「【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~」
「【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~」
「【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~」
「【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~」
「【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・」
「【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~」
「【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~」
「【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~」
「【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~」
「【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~」
「【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?」
「【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~」
「【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~」
「【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~」
「【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~」
近年、感情的な食行動のリスクに関する研究報告が増えている。米セント・ボナベンチャー大学の研究者らは、学生ボランティア154人(男性56人、女性98人)を対象に、気分と食行動の関連を調べた。
(a)学生たちの平均年齢 19.7歳
(b)BMI(体格指数)の平均 26.1(「やや肥満気味」)【注1】
【注1】日本の基準ではBMI25以上は「肥満」に該当する。
(c)鬱病評価尺度
①正常 80人
②軽~中等度の鬱病病 74人
(2)感情と食行動との関連を調べるため、参加者には
(a)「一番の親友が結婚して遠くに行ってしまった」「誰もあなたの誕生日を覚えていない」などの「悲しい話」を読んでもらった。
(b)さらに日を置いて、今度は「ニュートラルな話」を読んでもらった。【注2】
【注2】<例>「朝起きて、服を着替えて、朝ご飯を食べる」etc.、日常的な風景描写を集めた小咄。
2パターンの小咄を読んだ後、参加者は静かな部屋に用意されたビュッフェの席に着き、満腹になるまで食べるよう勧められた。
ビュッフェに用意されていた食物は、次の2種類。
①低カロリーの果物や野菜
②高カロリーのカップケーキやクッキーなどのスナック
その結果、肥満で鬱と評価された参加者は、「ニュートラルな話」と比較し、「悲しい話」を読んだ後のカロリー摂取量が有意に高かった。
低カロリーのヘルシーフードを避けたのではなく、さらに高カロリーのスナックに手が伸びたためで、負の感情は「より甘くて高カロリーの食べ物」を求めるスイッチを押すらしい。
(3)研究者は、「悲しみ」に突き動かされる食行動が、うつ病や体重に及ぼすリスクを強調している。
日本でも、「食べて飲んで憂さ晴らし」はおなじみの光景。時折ならよいとして、あまりに抑鬱感が強いときは、「食べ放題・飲み放題」を避け、普通のごはんをゆっくり噛みしめよう。
適切な食行動は、自信と自己効力感を高める、というエビデンス(科学的根拠)もあるのだから。
□井出ゆきえ(医学ライター)「食べ放題は幸せなときに/悲しいと食べすぎます ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.308~」(「週刊ダイヤモンド」2016年7月16日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~」
「【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク」
「【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 」
「【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ」
「【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~」
「【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~」
「【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~」
「【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~」
「【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~」
「【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~」
「【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~」
「【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~」
「【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽」
「【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~」
「【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~」
「【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~」
「【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~」
「【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~」
「【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~」
「【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高」
「【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~」
「【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~」
「【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~」
「【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~」
「【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~」
「【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~」
「【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~」
「【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~」
「【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~」
「【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~」
「【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~」
「【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~」
「【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・」
「【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~」
「【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~」
「【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~」
「【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~」
「【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~」
「【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?」
「【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~」
「【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~」
「【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~」
「【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~」