(6)福井地裁・高浜原発3、4号機運転差し止め仮処分決定(樋口英明・裁判長、2015年4月14日)や今回の大津地裁決定【注1】にしてもそうだが、原子力規制委員会の再稼働許可が下りていないと保全(保護して安全であるようにすること)の必要性がないと裁判所が判断するのは、「共通ルール」みたいになってきている。その証拠に、高浜原発3、4号機に原子力規制委員会の再稼働許可が下りる前の大津地裁決定(2014年11月27日)では、脱原発弁護団の仮処分申し立ては却下されている。
だから、今後は原子力規制委員会の再稼働許可が下りた原発に対し、どんどん仮処分の申し立てをしていく。
直近では、福島第一原発事故5周年の節目の日である3月11日に、すでに再稼働許可が下りている四国電力伊方原発3号機の運転差し止め仮処分を広島地裁に出した。この仮処分申請は、同原発1~3号機の運転差し止めを求める本訴と同時に行われた。
(7)ここにきて、司法を舞台とした仮処分申請が非常に有力な手段であることがわかってきたわけだが、政治の舞台では、自治体の首長たちが原発の再稼働に反対し始めている。そうやって再稼働する原発を1基でも減らし、また、再稼働を先送りにさせている間に、自然エネルギーを増強していく、というのが河合弘之・弁護士の戦略だ。
自然エネルギーは儲かる・・・・ということに気付けば、大企業も中小企業も、一斉になだれこんでくる。そんな自然エネルギーのブレイクスルーを河合弁護士ら市民の力で引き寄せなければならない。それができれば、ドイツみたいにかっこよく、凜として脱原発できる。
ドイツが脱原発に踏み切れたのは、ドイツ国民とドイツ経済界が自然エネルギーを信用しているからだ。日本でもそこまで持っていければ、市民たちは勝てる。
(8)原発を動かしながら、徐々にフェードアウトさせていくのではなく、原発はもう動かさない。事故を起こせば破局的損害を破局的損害を招く原発は、即、全部止める。
自然エネルギーに移行していく過程のつなぎは、発電効力を高めたコンバインドサイクル発電や天然ガス(LNG)のコージェネレーションだ。石炭、石油、天然ガスといった化石燃料を、改良された最新技術で使いながら、なるだけ早く自然エネルギーに移行していく。
そのため「原動力」となる3作目の映画を、河合弁護士らは制作中だ。タイトルは「自然エネルギー 未来からの光と風(仮題)」だ。
(9)放射能汚染を太平洋に垂れ流し続ける「公害犯罪処罰法違反」の疑いで書類送検された東電と新旧役員32人に対し、福島地検は3月29日、「立証が困難」として不起訴処分とした。
東電は汚染水管理を怠り、汚染水タンクから高濃度の放射能汚染水を漏洩させる一方、地下水や海洋いんまで汚染を拡大させた。
しかも抜本的な汚染水対策を講じると1,000億円の費用がかかり、東電が債務超過に陥って経営破綻するとして、意図的に汚染水対策が先送りにされたことを示す証拠まであった。
海洋汚染はれっきとした事実だ。原因企業も特定できている。それなのに、誰も海洋汚染の責任を取らなくていいのか。
今回の不起訴処分は、東電を助長させ、「何をやっても許される」という慢心を与えるだけだ。検察の責任は重大だ。
(10)福島原発告訴団【注2】が、東電と役員らを同法違反の疑いで福島県警に刑事告発したのは2円前の2013年9月3日だった。
申立人が、6,000人以上に達したこの告発は、正式受理されたものの、捜査は2年間にわたり、ダラダラと続けられた。そして、2015年10月、同県警はようやく書類送検した。
今回、福島地検が公表した不起訴理由を見ると、福島沖の海水や海産物から検出される放射能は、2011年3月の大事故発生時に漏れ出した放射能なのか、それともその後の過失によって漏れ出した放射能なのか区別がつかないので、公衆の声明に危険を生じさせたかどうかを立証するのは「困難」だという。
すべてがこの調子だ。はじめに「不起訴」の結論ありきで、屁理屈を並べたものでしかなかった。
むろん、福島原発告訴団は、処分を不服として、福島検察審査会に対して、審査を申し立てる。
【注1】
「【原発】画期的な大津地裁の仮処分決定」
「【古賀茂明】【原発】再稼働の愚 ~事故頻発~」
【注2】
「【原発】「5年目のフクシマを忘れないで」集会」
「【原発】福島原発告訴団の第2回総会/ふくしま集団疎開裁判の二審判決」
「【原発】福島原発告訴団、地検に東電本店の強制捜査を申し入れ」
「【原発】福島原発事故に係る集団訴訟の現在 ~2013年2月~」
「【原発】集団告訴団14,586人の「次の標的」 ~NHK、東大の学者~」
「【原発】集団告訴第二陣、ただ今7,600人 ~受付締切は10月末~」
「【原発】紫陽花革命が大手メディアを揺さぶる ~正しい報道ヘリの会~」
「【原発】「さようなら原発」17万人集会の記録」
「【原発】福島県民、東京電力を集団告訴 ~勝俣東電会長の逃げ切りを阻止~ 」
□河合弘之/聞き手・まとめ:明石昇二郎「脱原発弁護団全国連絡会共同代表/河合弘之弁護士に聞く 仮処分で1勝すれば原発は止まる」(「週刊金曜日」2016年4月8日号)
脱原発弁護団全国連絡会
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【参考】
「【原発】は仮処分で1勝すれば止まる ~河合弘之弁護士に聞く~」
だから、今後は原子力規制委員会の再稼働許可が下りた原発に対し、どんどん仮処分の申し立てをしていく。
直近では、福島第一原発事故5周年の節目の日である3月11日に、すでに再稼働許可が下りている四国電力伊方原発3号機の運転差し止め仮処分を広島地裁に出した。この仮処分申請は、同原発1~3号機の運転差し止めを求める本訴と同時に行われた。
(7)ここにきて、司法を舞台とした仮処分申請が非常に有力な手段であることがわかってきたわけだが、政治の舞台では、自治体の首長たちが原発の再稼働に反対し始めている。そうやって再稼働する原発を1基でも減らし、また、再稼働を先送りにさせている間に、自然エネルギーを増強していく、というのが河合弘之・弁護士の戦略だ。
自然エネルギーは儲かる・・・・ということに気付けば、大企業も中小企業も、一斉になだれこんでくる。そんな自然エネルギーのブレイクスルーを河合弁護士ら市民の力で引き寄せなければならない。それができれば、ドイツみたいにかっこよく、凜として脱原発できる。
ドイツが脱原発に踏み切れたのは、ドイツ国民とドイツ経済界が自然エネルギーを信用しているからだ。日本でもそこまで持っていければ、市民たちは勝てる。
(8)原発を動かしながら、徐々にフェードアウトさせていくのではなく、原発はもう動かさない。事故を起こせば破局的損害を破局的損害を招く原発は、即、全部止める。
自然エネルギーに移行していく過程のつなぎは、発電効力を高めたコンバインドサイクル発電や天然ガス(LNG)のコージェネレーションだ。石炭、石油、天然ガスといった化石燃料を、改良された最新技術で使いながら、なるだけ早く自然エネルギーに移行していく。
そのため「原動力」となる3作目の映画を、河合弁護士らは制作中だ。タイトルは「自然エネルギー 未来からの光と風(仮題)」だ。
(9)放射能汚染を太平洋に垂れ流し続ける「公害犯罪処罰法違反」の疑いで書類送検された東電と新旧役員32人に対し、福島地検は3月29日、「立証が困難」として不起訴処分とした。
東電は汚染水管理を怠り、汚染水タンクから高濃度の放射能汚染水を漏洩させる一方、地下水や海洋いんまで汚染を拡大させた。
しかも抜本的な汚染水対策を講じると1,000億円の費用がかかり、東電が債務超過に陥って経営破綻するとして、意図的に汚染水対策が先送りにされたことを示す証拠まであった。
海洋汚染はれっきとした事実だ。原因企業も特定できている。それなのに、誰も海洋汚染の責任を取らなくていいのか。
今回の不起訴処分は、東電を助長させ、「何をやっても許される」という慢心を与えるだけだ。検察の責任は重大だ。
(10)福島原発告訴団【注2】が、東電と役員らを同法違反の疑いで福島県警に刑事告発したのは2円前の2013年9月3日だった。
申立人が、6,000人以上に達したこの告発は、正式受理されたものの、捜査は2年間にわたり、ダラダラと続けられた。そして、2015年10月、同県警はようやく書類送検した。
今回、福島地検が公表した不起訴理由を見ると、福島沖の海水や海産物から検出される放射能は、2011年3月の大事故発生時に漏れ出した放射能なのか、それともその後の過失によって漏れ出した放射能なのか区別がつかないので、公衆の声明に危険を生じさせたかどうかを立証するのは「困難」だという。
すべてがこの調子だ。はじめに「不起訴」の結論ありきで、屁理屈を並べたものでしかなかった。
むろん、福島原発告訴団は、処分を不服として、福島検察審査会に対して、審査を申し立てる。
【注1】
「【原発】画期的な大津地裁の仮処分決定」
「【古賀茂明】【原発】再稼働の愚 ~事故頻発~」
【注2】
「【原発】「5年目のフクシマを忘れないで」集会」
「【原発】福島原発告訴団の第2回総会/ふくしま集団疎開裁判の二審判決」
「【原発】福島原発告訴団、地検に東電本店の強制捜査を申し入れ」
「【原発】福島原発事故に係る集団訴訟の現在 ~2013年2月~」
「【原発】集団告訴団14,586人の「次の標的」 ~NHK、東大の学者~」
「【原発】集団告訴第二陣、ただ今7,600人 ~受付締切は10月末~」
「【原発】紫陽花革命が大手メディアを揺さぶる ~正しい報道ヘリの会~」
「【原発】「さようなら原発」17万人集会の記録」
「【原発】福島県民、東京電力を集団告訴 ~勝俣東電会長の逃げ切りを阻止~ 」
□河合弘之/聞き手・まとめ:明石昇二郎「脱原発弁護団全国連絡会共同代表/河合弘之弁護士に聞く 仮処分で1勝すれば原発は止まる」(「週刊金曜日」2016年4月8日号)
脱原発弁護団全国連絡会
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【参考】
「【原発】は仮処分で1勝すれば止まる ~河合弘之弁護士に聞く~」