前の衆議院選もそうだったが、今回の衆議院選での民主党・元民主党議員の落選がすごい事になっている。まさかの田中眞紀子が落選するとは思わなかった。首相でもあった菅直人も首の皮一つで繋がった、比例区での当選だ。一期目議員の落選っぷりは恐ろしい。
大量の失業者を生み出した。そして彼らはどうなるのだろうか。小泉チルドレンも今回どの程度復活したのだろうか。
国政に関わろうとして選挙に出ると言うのは、相当の覚悟がいると思う。ある意味一生その人につきまとう事だ。これが市議会議員程度だったら、落選しても家業に戻れるが、国会議員を目指すとなると、あまりにも多くの人に顔を知られてしまう。下手に1万人の支持者がいたりするものだから、もう一回は最低出馬しないと笑い者になってしまう。出馬=政治家だ。その後政治家秘書になったりしても、なれるとは限らないし小選挙区制では、今回のように容易に失職ともなりかねない。コンサルやNPOやNGOに潜り込んで修業する手もあるが、どちらにしても選挙に出ると言うのは、ハイリスクな転職だ。弁護士出身の議員が増えているのは、リスクが低いからだろう。法律に詳しいから立法府に出てもおかしくないし、弁護士に戻ってもある意味宣伝にもなっただろう。
どうも岩手にいると、全国のニュアンスが解りにくいのかもしれない。ただ前回もそうだったが、西高東低の傾向があるような気がする。東京より北は安定しているが西は民意が暴れやすいように思う。人口密度の問題なのかもしれない。今回の選挙でも岩手だと、この人しかいないと言ったニュアンスがある。言っては何だが、最高の学識と経験と地盤を持っていて、それでいて弁舌さわやかでカッコイイ人というのがそうそういないのだ。その上で借金が無い人。小泉進一郎だろうかそういった人は。
ストックが問題になってくるのですよ。ある程度のお金持ちで、地主階級で、借金が無い。東北だと限られてきますが、西の方にはいっぱいいるのでしょうか。
その意味では、自民党にはストックが多い人が多かった。だからこの3年間を持ちこたえられたが、民主党はどうだろうか。かなり厳しいのではないのだろうか。
だが問題なのはそのストックの質だ。利権に縛られやすいものが多い。例えば建設業や医療関係、農業などだ。その構造は複雑で誰もが手に入れられるものではないが、強固すぎる問題がある。これに対して民主党は労働組合や、自然保護団体・各種NPOなどが支持基盤だった。この中で労働組合が強固過ぎる嫌いがあった。弱体化する労働組合は、その弱体化する過程で理想論に走る傾向があった。賃上げや時短にはことごとく失敗し続けたのだから、求心力を求めるために理想論に走るのは、よくある事だ。
リーマンショックの時に非正規雇用(こういった言い方もどうかと思うが、派遣会社との契約社員が派遣先で働くと言う図式には違和感がある。派遣会社の社員を派遣している訳ではない。それだったら直接企業が契約社員を雇った方がスッキリするのだが、それが法律上面倒だと言うのだから、またよくわからなくなる)が大量に解雇されたが、このとき労働組合は黙ってみていただけだった。
今考えるととても不思議なのは、鳩山はともかく、民主党政権の期間中のマスコミの批判だった。何かがねじれていた。実際思うのだが、原発事故での対応はほとんど誰にも出来ないのではないのか。
確かに突然消費税増税とTPPを言い出す管直人は叩かれてもしょうがないのだが、実はそれが現実だ。
この二つは、外交的な側面、つまり国債の問題と国益をどうするのかと言う問題の、とても大きなステップだ。ここを詳細に報道した所もあるが、基本的には「だから」だめだ、みたいな決めつけばかりの記事が多かったように感じる。
多分なのだが、民主党はマニュフェストで4年間は消費税増税を言わないとしていた。その間に制度設計をしようと考えていたのが、ギリシャショックで日本の国債に飛び火したらどうなるのかということで尻に火がついた。そこで戦略が苦手な菅直人が、自民党さんも言っているでしょ?ととぼけながら出したのが消費税問題だ。
彼らが考えていたのは、消費税を値上げするが、低所得者層に還付すると言う制度を作り、結果として生活保護を減らそうと言う話しだった。だがタイミングが悪すぎて、徹底的に迷走したのだ。
政治家なのに評論家でしかなかったということだ。これは叩かれてもしょうがない。だがその考えを解っているマスコミがどの程度いたのだろうか。年収=生活費のなかで、消費税が還付(年収によって還付金が変わる。年収*消費税*年収による還付率)されたらそりゃ、服買いますよ。回転寿しにいきますよ。ちょっと贅沢します。ケインズ係数(公共事業で投入した金額が、実際の経済に与える影響)の高い層なのです。
子供手当も、税金の控除は計算がめんどくさいので止めます。子供一人当たりいくらで逆にお金を出します、と言う内容だ。現実に各市町村で行っている出産手当とか考えると変な手法ではない。なおこの手当なのだが、親の収入とは関係がない。つまり子供手当とおなじなのだがだれも指摘しない。
だれも民主党の考えていた事は解っていなかった、そう思う。枝葉を叩いて喜んでいただけだった。
中国問題への対応と言うのも、変な話しだった。今から見れば小沢が強引に勧めた天皇・集の会談は全く悪いものではなかったはずだ。それはあの頃から分かっている話しだ。その後は?尖閣諸島の問題で、一旦起訴したのを不起訴にして返した事件だが、民主党の悪い点が出てしまったということだ。それは叩くに限る。ここでポイントだったのが、政治判断と法律による判断を混同していたと言うのを指摘するべきだろう。
誰もそんな事言っちゃいない。弱腰だとかそんな具合だった。
さて安倍総裁は、首相になるのだろう。だがもうそろそろマスコミからバッシングがはじまっている。二回目だからしょうがないのだが、それでも速すぎる。
私の予想なのだが、「美しい国」というキャッチフレーズを今回も繰り返していたようだが、これを経済問題にすり替えるだろう。
日銀との問題なのだが、現時点で日銀がかなり折れている。この時点で綱渡りになるはずだ。
円安関連で予想しているのは、現在外国の円が相当大きくなっている。だから高くなったのだ。だが円を買いすぎた可能性がこのところ出て来た。つまり政治の問題だ。そして今回の選挙の前から日銀が金融緩和を進めて来たという状況がある。世界情勢でもユーロの劣勢がある。
この時点で時期首相候補の発言だから、切っ掛けにはなった。しかしそれ以上ではない。
円が安くなったら株式が上がる、これは法則だ。だが今回は少し違う。世界で金がジャブジャブに溢れている状況だ。国家の信用がジャブジャブと言ってもいいかもしれない。だからギリシャは粉飾決済で没落したのだ。信用が消えると言うのはジャブジャブの状況だからこそ起きる。もちろんギリシャはそうでなくとも、破綻した履歴が楽しいのだが。
今回の円安なのだが、切っ掛けは安倍総裁の言葉だった。だがその程度の言葉で円安になる程度にパンパンにふくれあがっているのだ。チキンレースでの冷や水だろうか。相場が不安定と判断して、もっている円を日本株に投資する、そういった流れがある。円で保有して、株で稼ぐ。もしくは株の配当で利回りを確保する、と言った動きに感じている。
期待で相場が動くと言うのは、そういったものだ。
さて死屍累々から出て来た安倍総裁なのだが、やっぱり一言。
二年間は憲法改正について曖昧にして。現在の自民党案からすれば確実に次の参議院選を落とします。あと対外情勢も悪いです。
国防問題も自衛隊云々より、問題の無い海上保安庁への予算配分をどうするのかとか、そういった方向で。
二年間は、靖国参拝は止めて欲しいですね。護国神社と言う手もあります。いや伊勢神宮でも大丈夫です。
そういった所に誰もが疑問に思っている事を、考えているのでしょうか。
二年。二年です。最低。おごらず高ぶらずで、お願いします。少なくとも年収300万以下の人がどうあるべきかとか、あの人権ではなく、この人権と言う議論ではなく、まともな人権議論をして頂きたいものです。
もうだれでも良いんだから。日本の首相は。二年は続いて欲しい。