どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

カメラマンと写真2

2012-12-28 00:42:23 | 写真の話し
視線の話しの前に、もう一つか二つ。

カメラはなぜ必要なのでしょうか。

もちろん写真を撮るためです。
でも旅行先で、「心に風景を刻み込む」ほうがかっこいいと言われていました。
さて旅行先で写真を撮ったのと、心に刻み込んで言葉で語った方と、どちらがいいのでしょうか。

写真は程々に、隣にいる友人や見知らぬ人とのコミュニケーションを楽しみましょうと言うのが今の私の答えだ。
そして適当に撮ってフェースブックなりに載せてイイネ!を取るほうが正しいだろう。
今ではね。

さて写真の起源で、やはりオートマティックと言う考えがある。元々の発明家は木口印刷の精密化と簡素化を狙っていたフシがあるが、それがどうこうしてダゲレオタイプと言う写真術になった。実は被写体に対してもの凄い苦痛を与えるのだが、それでも手間は省けた。ここに様々な、涙ながらのドラマがあり訴訟になったりするのだが、最も重要なのはその発明を利用する方法がイマイチ解らなかったのだ。逆に初めて成功した写真が、どうでもいい窓からの風景だった。そこまで未知の技術だった。
肖像写真が最初の利用法だった。最初の成功から、いちばんのハードルが人像写真だった。これを証明できなければ誰もが納得しなかったのだ。
発明された写真だが、初めに発明国のフランスが、都市開発と重要建設物のために写真を使う。そしてイギリスなのだが、ネガ・ポジ法を発明して大量複製の道を開いたにもかかわらず、芸術写真と言う道を開いてしまう。そしてドイツは遅れてワイマール共和国で最新の印刷技術で、フォトジャーナリズム、あの震災で海にプカプカ浮かぶ、アレを今でも掲載する文化を生んだのだ。
そしてイギリス生まれのネガ・ポジ法が、フランスに渡って名刺サイズの写真を一気に作る方法で流行する。
この流れだけでも、実は50年くらいの、しかも当時の技術発展の歴史が凝縮されているのだが、写真の利用法としてはあまり変わっていない事に気がつく。
工事現場の記録写真、フェースブックの顔写真、そして森山大道がまだ健在な理由。


なぜカメラが必要なのでしょうか。
答えは簡単です。道具だからです。
ビデオのワンショットとどこが違うのか、これも簡単です。ちょっとした気分の問題です。


ベイ・ブルースが健在な頃でしょうか、アメリカの大リーグでのカメラの写真を見た事があります。大リーガーがカメラマンをからかってカメラを取り上げて自分でのぞいているのです。
そのカメラはみかん箱です。そのサイズ。フィルムのサイズは大体A4です。8×10です。スポーツ写真でですよ!


もうこの頃にはドイツのライカはありますしローライもあります。なぜこの巨大サイズに彼らはこだわったのでしょうか。あのコダックの生まれた土地です。

答えは簡単です。彼らは写真の結果にこだわったからです。より精密に、更にプロだったら巨大な方向にこだわったのです。
私はこの方向がとんでもなく憧れます。あのみかん箱のカメラを私がぶん回す姿を望みますが、残念ながらフィルムがない。あるが高い。


香港活劇姉妹の舞台撮影は、初めっからブローニーで6×6であった。
デカイほうが楽しいのが写真だった。あの余裕が重要だったのだ。


なぜカメラが必要なのでしょうか。



続く