シャルリー・エブド事件の衝撃が収まらない。日本人である私当たりでも、時代の推移を見守るしか無いと考えているが、欧米社会がなぜ表現の自由を大きく考えているかと言う、ちょうどいいコラムがあった。ニューズウイークの冷泉氏のブログだ。非常に解りやすいので、是非読んで頂きたいもの。
なぜ彼らは「風刺雑誌社」に連帯を表明するのでしょうか? そこにはキリスト教圏が歩んできた「宗教と世俗」の長い対立構図があります。例えば、現在では当たり前の「カトリックの聖職者への風刺」というのは、中世までは命がけだったわけです。あらゆる日常生活を宗教権力が統制する中から、まず宗教改革の動きがあり、やがて教会一致(エキュメリズム=カトリックとプロテスタントの和解)の運動を通じて、カトリックも文化や社会生活に関する自由化に踏み込んでいきました。
世界史で出てくることですが、宗教は生活の中に溶け込んでいる訳です。その中で聖職者の問題を言い出すと、即破門とかになります。すると当然生活が出来なくなる訳です。その上異端尋問があったり魔女裁判があったりして来た訳です。これを称して「暗黒の中世」と言うわけです。また宗教戦争の暗黒面もあった訳です。単純な宗教対立だけでなく領主の対立も絡んで来て、あの戦争の意義は何だったのかが更に解りにくくなった訳です。村全部がプロテスタントなのに領主がカソリックについたばっかりにと言うのもあった訳です。
さてコンピューターをハッキングする「ハッカー」ですが、実は昔は「ハッカー」というのは称号でした。そう呼ばれるのが名誉なほどコンピューターとプログラミングに精通していて、自由自在に操れる人たちをいいます。腕自慢の壮絶に頭のいいいたずらっ子です。それがネット社会の到来とともにお金儲け主義に走る人も現れるのですが、それは本来の「ハッカー」ではない訳です。思想的にはリバタリアン的で、特にネット社会になってから、ネット社会こそ自由な空間と考えていた人たちです。なのでその中での国家の諜報やネットで情報を公開しない企業や、消費者に不利益を与えているのではないかと言うサイトに対して厳しい態度で臨みます。なおリバタリアンは国家を否定しません。ただ完全な自由を与えてくれる国家を望んでいるだけで、現在の情報開示も生温すぎると考える人たちです。
その中の腕っこき不特定多数の集団「アノニマス」がイスラム過激派のサイトを潰して行くと宣言して始めたようだ。するとISISが米中央軍のツイッターをハッキングした。さてさてこの戦いはどうなる事か。
アノニマスにとっては、表現の自由も大きな存立意義だ。だからこの参戦は良くわかるのだが、アノニマスが完全に欧米人のみの集団だとは思えない。ネットでの緩いつながりで出来ているからだ。イスラム圏の人もいるかもしれない。ただハッカーである限り意見は一致しているのだろうがそこがどうなるのだろうか。
なおイスラム圏でも表現の自由は厳しいものがある。アルカイダだけではないのだ。世俗主義と思われているエジプトやトルコでも宗教批判は全くのタブーだ。政権批判だって命がけである。だからハッカー達も参戦していいと考えている可能性がある。
ただイスラム過激派もそれなりのハッカー集団を持っていると考えられる。アノニマスほどは洗練されていなくとも彼らにもそれなりの技術はあるはずだ。ここで水面下の戦いが始まるのだろうが、どっこいもう一つ上手がいる訳だ。
国家だ。暗号を使おうがなにを使おうが、痕跡を丹念に調べている。そしてアノニマスもイスラム過激派も監視対象になっている。その間に複雑な経路があったとしても、攻撃されたと言う実態があり、その件数が増えれば増えるほど、誰がなにをやっているのかが特定しやすくなるはずだ。その状態でも国家は沈黙する訳だが、国家に利用されていると言う状態ではアノニマスの存在意義が問われてしまう訳だ。
国家はその特定されたハッカーの、犯罪行為を行うまで待つはずだ。証拠主義の立件ではこれが重要なのだ。
確かにアノニマスが参戦する意義は大きい。そして彼らの自由の中には人を殺す自由は無い。だから成立するのだろうが、なにかあやふやなものを感じる。
ソニーピクチャーズハッキング事件だが、北朝鮮説を疑う説もいくつか読んだ。だがそれでも謎が残る。まずはIPアドレスは偽造出来るのかどうかだ。これが出来るかどうかだと思う。
なぜなら北朝鮮のネット環境は貧弱だ。そして中国のサーバーは1社で接続されている。そして中国の金盾があるわけだ。その状態では北朝鮮の監視体勢と中国の監視体勢で2重にチェックがはいっているはずだ。それでは北朝鮮のどこかのネット接続のパソコンにマルウエアを仕込めたとしたら、その後のやり取りがやっぱりチェックされてしまう訳だ。迂回路線が全くないからだ。なので北朝鮮に迂回させてわざとIPアドレスを出す芸当はかなり難しいのではないのだろうか。
大体マルウエアを仕込むためには人でやろうがネットでやろうがえらく困難なはずだ。そうすると北朝鮮内で監視対象から外れているパソコンが何台かあると言う考え方も出来る。しかもウイルスチェック無しのパソコンがあるということだ。ウイスルチェックしてはいけないと言う意味でもある。
こっちの方が怖い。
私は中国かどこかのそう言った会社に発注委託したものだと思っています。そのやり取りで何らかバレ易いことをしてしまったのかと思います。