どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

60時間後

2015-01-21 00:59:42 | 日記

 

ISISが日本人人質二人を、72時間以内に2億ドル払わなければ殺害すると予告した。このニュースが飛び込んだ時には、思わず湯川遥菜さんが生きていた!と喜んでしまった。

そう彼女が人質になった時、ネット上ではお祭り騒ぎになっていた。誰かを特定しようとだ。そのうち民間軍事会社の社長だったというのが解って更に騒然。そして瞬く間に特定された時、ネットが重苦しく静まり返ったように感じた。

ミリタリーショップを経営するが店を閉じる事になり、そのうち生前自分は女性だったと言い出して改名、あそこを切ったとか。そして民間軍事会社を設立するが、自衛隊経験も無くましてや傭兵にすらなった事が無い。そこでシリアで経験を積もうとシリア戦線に合流、そこでISISに捕まったと言う。

そう痛すぎる経歴なのだ。ネットでは「この人殺す意味も無いから、殺さないで」と言うコメントがあったが、それに激しく同意した。今回やはり殺害予告が出た後藤健二さんが湯川さんとあった事があると言っていた。どうにも不思議な人柄で人なつこく温和で、それだからあの中に入れたのだと思う、と語っていたと記憶している。お金をバラまいて入ったと言う説もあったが、どんなにお金を積んでも入れない人は入れないので、いや使えない日本人なんて同行させない訳で、だから多分こういった事で彼らの信頼を得たのだろう。

だからISISの中でもうまく立ち回って欲しいと思っていたのだが、そもそも彼は女である時点で相当厄介な問題がある。神は性同一障害者を作らなかった事になっている。だから何かの拍子にそれがバレて殺される可能性だってあった訳だ。それがまだ生きていてくれた、というのは正直喜ぶ事だった。

 

 

安倍首相のイスラエルでの記者会見を聞いた。よく練られたスピーチだと思う。だが声に明らかな動揺があった。それはそうだ、ヨルダンやレバノンにいる難民達のための救援資金に2億ドルを拠出すると言ったばかりだったからだ。そしてパレスチナの産業創出のための資金も出すと言ったばかりの所に、2億ドルの身代金。そしてアメリカやイギリスが身代金を払うのは彼らを太らせるから出来ないと言い切るのと、ヨーロッパのようにケースバイケースという考え方もある。しかし通常の20倍以上の身代金だ。巨額すぎる。まさしく彼らを太らす事しか無い金額だ。自分の決断一つで人が二人死ぬ。

これに動揺しない人はいない。ましてや愛国者な安倍総理は自国民が惨殺されるのを見守るしか無いと言う屈辱を味わうのだ。

以前イラクでやっぱり人質事件があった。その時は世論は自己責任といって身代金を惜しんだ。いや政府すらそう言った事を言っていたような気がする。だが政府は身代金で事を解決した。そのころアフガニスタンで外交官が殺されたが、彼は国葬扱いになった。

逆にこの扱いの差が世論をしらけさせた。やっぱり官はえらいんだ。その後日本人傭兵が殺害された時には、誰も何も言わなくなった。この前後のマスコミ操作が余りにも酷かったからだ。

いまあの時の苦い思い出が蘇っていると思う。どちらを選択しても非難されるのだ。そして外交官もそうだが、自衛隊員の問題も残されている。自衛隊員は国土防衛のためにあるのだが、それが中東に派遣された場合戦死する可能性がある訳だ。その場合どう扱ってくれるのかと言う問題が残っている。だから外交官の死の時に一つの形を作ろうとしたのだろう。

しかし突きつけられた問題は、公務であろうと無かろうと日本人が人質になった場合、それは同一の処遇であるべきだ、と言う問題がある。公務だから守られると言うのは、逆に公務員の行動を制限しすぎる事になりかねないからだ。同胞は守る、その上国家が危険な任務を与えたものに対しては保証をする。そう言った考えが一貫していないと不味い。

私は安倍総理はアメリカに追随して、身代金を払わない方向に向かうと考えている。国際政治上それが正しい選択だ。身代金の巨額さは無理ではないだろう。逆に巨額すぎてISISに混乱を招きかねないほどだ。

確かにまだ時間はある。だから政府も厳しい交渉をするだろう。だが時間が少なすぎる。

 

 

政府はこれを奇貨とするだろう。今後に控える防衛関連法案のために使われるのだろう。

だがそのためには、政府はどのような交渉を行って来たのかを明白にする必要がある。諸外国に対する協力要請などありとあらゆる事を湯川さんの拉致以降行って来たのか、かなり透明性の高い報告をするべきだろう。もちろん発表出来ないものも多数あると思うが、これをしないと後が続かないと思う。

だがその上でも安倍首相は、十字架を背負うだろう。彼の勇気を褒めるのではない。結果としてそうなるだろう。だからかなり重くなる。

 

 

シャリル・エブド事件の後、中国はウイグルへの締め付けを強くしたようだ。そう言った事は良くある話なのだが、このイスラム過激派の無邪気さには全く持って驚く。大多数の同胞が困る事ばかりをしようとしている。そしてその困った同胞の中から賛同者が現れ、彼らと合流するようにしむけているのだろうか。

なぜ誰もが仕合せになるように出来ないのか。その困難な道を求めないのか。

ポゴ・ハラムに至ってはどうすんだ。

 

 

世界にはもの凄い矛盾が満ちあふれている。日本だってそうなのだがそれ以上になっている。今年には世界の富の50%が世界の人口の1%に占められているだろうと言われている。

この状況が言い訳は無い。

なお最近の一番の問題なのだが、このイスラム問題で通信社系以上のジャーナリストがいなくなったと言う事だ。それは社として責任が取れない、と言うのが理由だ。もしも誘拐事件が起きた場合その身代金を払えない可能性があるからだ。そしてフリージャーナリストの記事も掲載しなくなっている。理由はこれまた同じだ。その死に対しての保証が出来ないからだ。命がけと言うのが既に意味が無くなっている。

このイスラム圏の報道が減る、もしくは偏った情報ばかりになる可能性は大きい。それは健全ではない。アルジャジーラはかなりいいと思っているがそれでもやはり偏りがある。

報道も含め情報の偏りが、いかに国を殺めて来たのかと言うのを日本人は良くわかっていると思う。だから後藤健二さんのような人が必要なのです。

政府はこの二人を殺すだろう。そしてその政府の治める国の一人の私は同じ罪を負うのだろう。そのやり切れなさが切ないのだが、その感情を利用しようとしてくるのだろうか。あのときネットでおきた重苦しさは、まさにそれだった。

死んだ方がいいと言う論理がある集団はあってはいけない。オウム真理教事件で学んだ事だ。

 

PS

映像をNHKオンデマンドで見たが、クロマキー合成の疑いはある。二人の影の出方が違うからだ。そして風の動きが少し違う。湯川さんの方が風が強く動いているようだ。二人は別な場所にいると言う可能性がある。

生理的嫌悪感がある映像だ。