どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

37時間後

2015-01-22 03:04:27 | 日記

 

ネットを見ていると、昨日の事件の反応は様々だ。身代金を払って金で宗教を売ったと笑い者しようというのが面白かった。その前に殺害予告映像のカットをいじり倒しておもしろおかしくしている人もいた。ただこういったのは現実から目をそらすための行為だと思う。それはそれで健康なことだ。何も出来ないと言う無力感の前には、ただ笑うしか無いものだ。

マトモなのは日本で政府批判が起きたとしてもそれはISISの思うつぼだ、と言うものがあった。中東・イスラム学の風姿花伝というブログだ。池内恵東大准教授が書いている。引用する。

「しかしテロリスト側が中東諸国への経済支援まで正当なテロの対象であると主張しているのが今回の殺害予告の特徴であり、重大な要素である。それが日本国民に広く受け入れられるか、日本の政策になんらかの影響を与えたとみなされた場合は、今後テロの危険性は極めて高くなる。日本をテロの対象とすることがロー・リスクであるとともに、経済的に、あるいは外交姿勢を変えさせて欧米側陣営に象徴的な足並みの乱れを生じさせる、ハイ・リターンの国であることが明白になるからだ。」

ということで、この件に関しては政権批判も出来ない。マスコミによっては変な反応する所もあるだろうが、これこそ事実のみを報道するしか無い。なにしろ人質事件なので情報が全く出せない。そのため水増しした記事を書かざるを得ないのだろうが、書きようによっては逆効果があり得ると言う事だ。

 

 

池内恵さんの「イスラーム国の衝撃」が文芸春秋新書から出た。この本は今年1月20日に出たばっかりなのだが既にアマゾンで在庫切れになっている。一冊在庫があると書いていたのでポチったら、在庫切れになっていた。秒速の世界だ。そして既にプレミア付きで中古が出ている。1200円以上している。アホか。

ミシェル・ウエルベックというフランス人の小説「屈服」、イスラム原理主義者に統治されたフランスという世界を描いているようだが、これもまたタイミングの絶妙さであった。もちろん意図したものでは無いのだろう。それにしても日本でも同じ現象が起きている、しかもミシェル・ウエルベックという話題になりやすい作家のものでなく、話題になりにくい東大准教授の本と言うのが面白い事だ。

これはISISのメディア戦略ではなく、1年以上前からこのイスラムでおきている動きが注目されていたと言う事だろう。小説はもう少しスパンが必要だが、それでもこの10年間の動きからこういったやり方だとは思わなかったが、小説の構想くらいは作れていただろう。

ウエルベック氏は「この小説は、挑発でも何でもない。実際に起こるであろうことを加速して、少し繰り上げて語っているだけだ」と語っているらしい。

 

 

池内恵氏がブログで語っているが、今この忙しい時期にマスコミから電話取材攻撃で辟易しているそうだ。

このマスコミの忘れっぽさは相変わらずだ。昨年から始まるこの人質事件だが、その間にISISに対して勉強している記者が少なすぎたようだ。大手マスコミだと海外特派員がいるはずなのだ。それでも専門家に話を取りに行くと言うのは、解らない訳ではないが、特派員の質がとても低いように感じられる。

アルジャジーラの記事を翻訳して終わり、という記者が多いのかも知れない。だが現実に危機管理を徹底しすぎたというのが大きいかも知れない。このため危険な地域や、戦闘集団との接触が難しくなり現地での言葉が出せにくくなっていると思われる。

その上で現地で取材しているフリーランスの記者の記事まで回避するようになっている。

このイスラム過激派問題がどこからはじまったのかも解っている。だれがそれを育てたのかも解っている。そして広がった理由も解っている。だが誰もが責任を取ろうとしない。そのままのこの状況を固定出来ない理由も解っている。だからこういったテロが起きる。しかしそれに対する本質的な解決法は無い。

 

 

何度でも言うが、出来る事が無い。祈る事は出来るがそれは実現可能性が薄い。だから最悪の可能性しか考えていない。

自民党の幹部が、この金額は無理だといったようだ。実際そうなのだ。可能だけど可能でない金額なのだ。すべての意味で無理なのだ。この無理を通せるのかどうなのかだが、この件に関しては政府批判は止めよう。ただ透明性だけは担保して欲しい。

 

 

とても悩んでいる。

 

 

国家と人民と言う問いがある。今回はそれが緩い日本にとって大きな事件になった。