カルテ番号 は・9（13）
院長は再び少し真面目な顔になった。
「今度は、私が分析した性について説明しておきます。
個人的な性、セックスに関することですよ。
現在の日本では、学校も社会もキチンと性の問題に触れません。
ですから、育った大人、親も無知のままですから、家庭でも扱えません。
そして、固定概念の影の部分をコソコソ話題にしています。
誰も教えてくれないのですから、まぁ、仕方ないことですが・・・」
どうやら再び授業のようになった。
「私は、５つの種類に分けてみました。
性欲、性力、性感、性癖、そして性愛です。
よく混同されるようですが、それぞれは別です。
ます、性欲。欲は基本的な生きる引き金にもなります。
食欲が無ければ、生きることが衰弱します。
ですが、欲は不平、不満、不安、の反動としても起こります。
欲、というのは、生命からのつきあげ、これは肉体維持、からですね。
それと、心からのつきあげ、これが感情や不平不満からの二つがあります」
院長はここで少し口調を変えた。
「ところで、何故人は思春期に恋をするのでしょう？
そして、一生涯、何かのキッカケで恋をすることもあります。
最初の恋は、時として純粋な心の産物と思われがちです。
ところが、恋の底は、性という目覚めからのつきあげなのです。
生物としての種の保存からが元なのですよ。
正体とは、そんなものです」
（登場する人物・組織・その他はフィックションです）
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