カルテ番号 る・1（1）
類家（るいけ）真司は最近夢にうなされる。
一日おきくらいに苦しい声を出す。
妻が心配して、病院で診察したが、身体的には異常がなかった。
特に大きなストレスの憶えはない。
心療内科で診てもらうほどの材料もなかった。
55歳という年齢は、身体の変調が起こりやすいと医者から言われた。
本人は夢を憶えていない。
内容は憶えていないが、起きると汗をかいている。
原因に思い当たる事はないが、嫌な夢だということは判る。
15名ほどの従業員の小さな会社を経営している。
従業員に心配をかけるわけにはいかない。
昼間は普段通りに振る舞っている。
会社の仕事も順調だった。
その後も夢にうなされる日々が続いた。
住んでいる青森には、恐山がある。
イタコという霊媒師達がいる。
妻は、行って聞いてくれば、などという。
妻によると、恐ろしい夢を見ているようだからという。
イタコに関しては、半信半疑の真司だった。
（登場する人物・組織・その他はフィックションです）
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