ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

SANYOが買収された理由・・

2010年10月15日 | 経済
当ブログ(2010年5月20日付)で、新書『パナソニックがSANYOを買収する本当の理由』を読んだ感想を述べました。この本は思わせぶりなタイトルだけ。核心の理由はさっぱり見当たりませんでしたが以来、ところで「本当の理由」は一体何なのか私なりに常々考えていました。
今朝の日本経済新聞を読んで謎解きの一つを得たような心地になりました。
それはトヨタ自動車が三洋電機からの電池の供給を願っている。業界相関図が変わる旨の記事。そうか、やっぱり!

三洋の優良なリチウム電池技術をトヨタは、自社で使用したく長い間狙いを定めていたのではないでしょうか。三洋の経営混乱が露呈しだした2005年ごろ、トヨタから三洋へのアプローチがすでにあったという。

新進気鋭の経済ジャーナリスト、永井隆氏(群馬県桐生市出身)の見方も「トヨタは三洋の電池技術を専有したいのではないだろうか」と。三洋の供給先はこれまでホンダ、スズキ、海外メーカー各社などと限定策は採っていない。トヨタはパナソニックとの結びつきが強く、三洋との提携はなかった。しかしこれからは、日経の記事の予測通り、相関関係は一変すると思われます。

ちょうど一年前の今頃、トヨタはハイブリッド車用のリチウムイオン電池を三洋電機から調達する、と関係筋の話としてニュースが流れましたが、まさにそれが現実味を帯びてきたということなのでしょう。
パナソニックがSANYOを買収する本当の理由の一つとして、トヨタへの三洋製電池供給があったのではないでしょうか。

理由は他にもまだまだありましょうが、中国家電最大手、ハイアールの日本攻略からの防戦も有力な理由の一つでしょう。
ハイアールは規模こそ“最大”のメーカーではあっても、まだまだ“最高”のブランドとはいえません。
「ハイアールにはノドから手が出るほど欲しい“頭脳”があった。販社解消後も継続している(三洋との)設計・開発合弁会社だ・・だが親会社のパナソニックは買収案をかたくなに拒んだ・・パナソニックはハイアールの台頭を本気で警戒している」(週刊東洋経済10/2号)

すでに金型メーカーの業界ではオギハラ(太田市)がタイ自動車部品大手「タイサミット」の傘下に入った。2位の富士テクニカと3位の宮津製作所(大泉町)が政府が出資する企業再生支援機構の力を借りて統合する。この背景には、これ以上日本の優秀な技術を他国に流出させたくない、という大きな意思が感じられます。これと同じように三洋電機の蓄積されたテクノロジーをみすみす、海外企業の餌食にさらされないよう我が、日の丸企業、パナソニックが準国策的な見地からも歯止めを掛けたということではないでしょうか。

SANYOが買収された理由・・
謎解きは、これからも次第に明らかになって行くことでしょう。

にほんブログ村 日本経済


パナソニックがSANYOを買収する本当の理由
荻 正道
アーク出版

このアイテムの詳細を見る
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする