国内ニュースはいよいよ「汚染牛」のことが出始めました。牛に限らず食品による内部被爆は、これから話題にならない日はないことになるでしょう。
『暴走する原発』を読みました。本書は長女が貸してくれたもの。チェルノブイリ現地で20年以上調査活動をしてきた著者、広河隆一氏。字の感じが「広瀬隆」とも似ていますが別人です。ただ本書では巻末に広瀬隆氏からの特別寄稿(エール)が載せられている。放射能安心派「週刊ポスト」と同じ小学館の発行。(2011年5月初版)
チェルノブイリ後、旧ソ連でも放射能汚染食品が国内に出回った。日本が今、似た状況に置かれてきている。『きれいな食品』がなければ基準値を高級官僚が秘密の紙の上で魔法のように変えてしまう。『汚染されたもの』はただちに『きれいなもの』になる。(このことは文科省の「こども20mSv」に引き上げたことを連想してしまう)これによって17億ルーブルの節約になった・・。国民の健康を犠牲にして国家予算を捻出するとは、本末転倒な事を旧ソ連官僚は行ったのだ。しかしとどまることなくチェルノブイリ事故後も汚染牛乳はチーズやバターとなって国内市場にさんざん散乱した。
地下水の汚染も深刻だった。著者は、事故4年後の1990年にまだ食品規制が不十分だった時期なので、ある村のおじいさんに、井戸の水は飲んでも大丈夫か尋ねた。するとこれまでの和気あいあいの雰囲気が凍りつき「水なしでどうやって生きていけというんだ!」と憮然とされた。彼の言葉は汚染を受け入れるのか、それとも死を選ぶのかの二者択一を人々が迫られていたことの緊張感を示したものだ。この選択はこれから、いや、すでにこの日本国内でも始まっていることなのではないだろうか。
内部被曝しても「疫学的な所見は少ない」と安心・容認派は言う。しかし調査結果は語る。事故18年後の2004年、ウクライナ保健省の報告では、チェルノブイリによる被曝者320万人。ロシア保健省では身障者認定だけでも4万6千人に達したとの記録がある。
日本は、過去の貴重な原発事故、チェルノブイリから何にも学んでいない。学んだ?のはわずかにただ一つ、「都合の悪いことは隠す」ことだけ。
これからの日本は「健康と命よりも原子力産業を優先させてきた構造を変えられるかどうか」という著者の願い、うなずける。今、私たちの行動、考えが試されている。
【絵・橋本勝】「モウ わたしの乳は飲めません」
暴走する原発 チェルノブイリから福島へ これから起こる本当のこと | |
広河隆一 著 | |
小学館 |
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