ポカポカ陽気にツクシやフキノトウも、我慢できずに彼方此方で芽を吹き出して来た。
今年初もののフキノトウ味噌を作って見たが、香りといい苦味といい、これは最高に美味しかった。
四月、春真っ盛りになると足下から、それぞれにスギナやフキの茎が伸び若葉が茂
ってくる。
フキ(蕗)にまつわる民話をひとつ・・・・・・・・ 秋田市・仁井田がまだ奥深い森であった昔々の話、万病に効くと言われる泉があった。 この泉には「女は近づくな」という厳しい掟があった。
ある時、村の長が重い病に倒れ、親孝行でしっかり者の一人娘「ふき姫」は、母が早く死んでいなかったため、寝ずの看病を続けた。
[何とかして]私の手で治さなくては・・・」と、どんなにつらくても看病を人に任せようとはしなかった。
しかし、その甲斐もなく、父の病は日毎に悪くなり、身体は痩せ細って明日をも知れ ない命となっていった。
「女人は近付くな」と言うけれど、ととさまの病が治るのなら「私はどうなってもいいから、泉の水を汲みに行こう」・・・・・・・・・・・・ 夜を待って「ふき姫」は水がめ抱えると、誰にも告げずにこっそりと家を出た。
頭の中は父親のことで一杯、暗い森の夜道も恐ろしいとも思わず、月の光を頼りに、 森の奥の泉に向かって歩きに、歩き・・・・・やがて泉が見えてきた。 風もなく静かな水面がきらりと光った。
「ふき姫」は思わず駆け出し、「早く、早くととさまに、泉の水を・・・」と、水を汲もうとした時である、「よく来たふき姫、待っていたぞ。」泉の底から男の声がした。 その声にぞっとしてふき姫はすくみ上った。
「おれはこの泉の主だ。 お前の事が好きで父親を病にして、お前が泉の水を汲みに来る様に仕向けた。さあ来るのだ。 今日からお前はおれの女房だ。」と、言い終わるや否や ザバアッと水を割って巨大な白蛇が躍り上った。 あっ、という間もなく「ふき姫」は蛇と共に泉の底へ引き込まれて行った・・・・・・・・・・た その夜、泉の水は凍り不気味な風が荒れ狂い、雪が降りしきった。
いきなり冬がやって来たといって、冬を始めていなかった村人たちは支度を始めてもいなかった村人は、大慌てにあわてた。
ところが不思議な事に、父親の養体は日毎に良くなって行き、春が来るころには元の元気を取り戻していた。
ところで、心配なのは娘「ふき姫」の身の上であった。・・・・・・・・・
「一体どうしたというのだ。 あの親思いの娘が、黙ってどこかへ行ってしまうはず がない。
「誰かにさらわれたのだろうか?」父親は村人一人ひとりに尋ねたが、誰もふき姫を見た者はいないという。
「まさかとは思うが、わしに泉の水を飲ませようと掟を破って・・・」そう思うと、矢も盾もたまらず、父親はまだ雪の残る森に分け入って行った。 気持ちばかりが焦って、雪を漕いで行くのはひどく難儀であった。
泉は何事もなかった様に、シーンと静まり返っていた・・・・・・・
「おおっ、あの水がめは・・・」、水際に転がっていたのは、確かに見覚のある水がめであった。
「やっぱりふき姫は掟を破って命を落としたのか・・・」、父親はさめざめと泣いた。 幾時かが過ぎ、諦めてふと顔をあげた父親は、水際の雪を割って、点々と小さな花(フキノトウ)が咲いているのを見た。
「雪の中から咲くとは、何と強い花だ。 何と可愛らしい。 ふき姫の身代わりとでも言いたげではないか・・・」父親は、その花を持ち帰り、村人に訳を話して聞かせた。
村人達は、ふき姫を憐れみ、その小さな花を:~ふき~」と呼ぶようになった。 フキは毎年毎年、春になると小さな花を咲かせた。
フキが育つと、茎は人の背よりも高くなり、葉は傘の代わりになるほど大きくなった。
村は、この ~ふき~のお陰で豊かになった。 「秋田の国では雨が降っても傘など要らぬ」・・・と言われる。 ~出典:「ふるさと伝説9/鳥獣・草木」秋田市~
~今日も良い一日を~
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