いよいよ今年も梅雨シーズン。災害への警戒が高まる中、昨年秋からの少雨で県内の主要ダムの水位は軒並み低下、福岡県や福岡市などが節水を呼びかけている。福岡市では水不足を解消するため、五ヶ山ダムから水を供給しているが、まもなく4ヵ月になる。そこで、昨日、ダム湖の状況を確認する(県は試験湛水中を理由に五ヶ山ダムの情報を公開しない)ため、現地へ。水は予想以上に減っていた。
前回(3月30日)、確認した時、ダム湖の水位はEL405mだった。この時点で満水位から2m低下していたが、今回(6月1日)は、そこからさらに6m、水位はEL399mまで低下していた。わずか2ヵ月で6mも減少していたのには驚いたが、おそらく4月に気温が高かったことや農業用水の使用時期に入ったこともあるからではないだろうか。県の説明によると、福岡市へ水を供給するために、1日平均約12万㎥の水を放流している(雨が降れば調整する)ということだったので、これまでの放流量はおよそ1300万㎥ということになる。巨大ダムゆえ、すぐに枯渇することはないだろうが、やはり、昨年秋から纏まった雨が降っていないのは大きい。ちなみに、今の水位(EL399m)は西日本豪雨前とほぼ同じ。つまり、西日本豪雨で溜まった水をそっくり使ったことになる。
今後の天候はどうなるのか。気象庁の3ヵ月予報(九州北部地方)を見てみると、6月は雨の日が少なく、7月は多めとある。もしかすると今年も豪雨でしか水は溜まらないのではないだろうか。五ヶ山ダムの湛水試験は2016年10月からはじまったが、翌年あたりから少雨が続き、水は一向に溜まらなかった。年が明けても状況は変わらなかった。そうした中、昨年7月、西日本豪雨が発生。皮肉なことに、災害が起きてダム湖は満水になった。ところが、豪雨後、ふたたび少雨となり、サーシャ―ジ水位まで6mのところで水は止まったまま、時間が経過した。(下写真のラインがそれを物語る)そして、今年2月、福岡市へ水を供給するために放流がはじまった。
あとは梅雨次第だろうが、このまま雨が降らない状態が続けば、五ヶ山ダムからの放流量も制限せざるを得なくなるのではないだろうか。もはや試験湛水どころではなくなってきたようだが、何はともあれ、節水は心掛けたい。
撮影日:2019.6.1
6月1日現在の水位は399m 茶色に変色したところが減少分 ※2018年7月6日常時満水位407.1mに到達(下図参照)
こちらは昨年、福岡県が公開していた資料(現在は公開していない)
昨年6月末までこの水位、今の水位とほぼ同じ
昨年7月6日、1日で7.6m上昇 その時の様子はこちら
NWL(常位満水位)407.1m、今もくっきりラインが残る
放流は続いている(副ダムから)
水は南畑ダムへ(写真中央奥)
ツートンカラーの堤体(写真中央は取水設備)
ダム堤体付近
ダム湖周囲 茶褐色の部分が目立つ
定点から見る
山現る
風景が蘇る
ダム湖のそばに咲くウツギ 多くの自然が失われた中で
《関連記事》
・雨不足で県が節水呼びかけ(NHK福岡ニュース 2019.5.29)
・節水の日を前に福岡市が呼びかけ(NHK福岡ニュース2019.5.31)
《参考資料》