先月18日、防衛省は宇宙領域での活動強化のため、航空自衛隊府中基地(東京都府中市)に新たに「宇宙作戦群」を編成し、隊旗授与式を行った。宇宙作戦隊は、人工衛星に接近するスペースデブリ(宇宙ごみ)などの物体を把握する宇宙状況把握(SSA)の運用準備を担う。昨年度、人員は20人から70人に増員。今年度は陸海空各自衛隊との情報共有を図るために宇宙作戦指揮所運用隊(30人)と衛星への電波妨害状況を把握する第2宇宙作戦隊(20人)を新設する。それら宇宙作戦隊の総称が「宇宙作戦群」(120人)である。(下図参照)
第2宇宙作戦隊は、山口県防府市の航空自衛隊防府北基地に新設され、現在、建設工事が急ピッチに進んでいる山陽小野田市埴生の宇宙監視レーダーを活用する。防衛省は当初、レーダー基地は無人(防府北基地から遠隔)で対応するとしていたが、昨年12月の住民説明会では、有事に備え、防府北基地の隊員を常駐させる方向で検討していると明かした。それから2ヵ月後、ロシアのウクライナ侵攻がはじまった。
ウクライナ侵攻がはじまってから、目を覆いたくなるような映像が毎日テレビから流れてくる。平和を願う世界の人々の声は空しく響く。そうした中、民間衛星の撮影画像がロシア軍の動向把握に役立ったという報道を目にした。今後、民間衛星が軍事目標になり、防護の必要性が増すことになるという。そうなると、(不審な衛星を監視する)宇宙監視レーダー基地の軍事的役割は増すことになるのではないか。
有事になれば軍事的な基地は標的になる。防衛省も住民説明会で、他国からの攻撃を受けた場合、専守防衛の下で対応すると答えている。ウクライナ侵攻で地元住民の方々の不安は現実味を帯びてきた。対岸の火事ではない。
山陽小野田市埴生に建設中の宇宙監視レーダー基地(埴生IC付近より 2022.4.1撮影)
現在、電源局舎の建て方工事中
宇宙作戦群の概要(令和3年12月・防衛省資料より)
どんどん増強されている
宇宙監視レーダー基地配置図(再掲)
来年度から運用開始 その頃、世界はどうなっているのか、、
《関連記事》
・自衛隊「宇宙作戦群」編成 対露脅威への備え急ぐ(産経新聞 2022.3.18)
《関連資料》
・宇宙状況監視レーダー建設に伴う住民説明会・会議録(2021.12.4)