先週、予定より遅れて半月ぶりに帰福。介護による疲労はピークで精神状態も芳しくなかったので、雄大な阿蘇山を見て癒すことにした。この日は中村哲氏の命日だったので、帰りに山田堰のほとりにある記念碑に立ち寄るつもりが、熊本地震の震災遺構をめぐっているうちに時間オーバー(日没)となってしまった。
熊本地震後、はじめての阿蘇。途中、今年3月に開通した「新阿蘇大橋」に立ち寄った。ここは阿蘇外輪山の唯一の切れ目に位置する。2016年4月16日1時25分に発生した熊本地震(本震)によって、阿蘇大橋の上部にある山腹が大崩壊を起こし、橋は立野峡谷へ崩れ落ちた。偶然、岩盤に引っかかった道路の一部が今も痛々しい状態で残っている。この時、1人の方が亡くなっており、そこに慰霊碑ができていた。
「新阿蘇大橋」はそこから約600m下流の黒川に架設されている。施工はクライミング工法(足場と型枠を一体化)を採用、24時間施工を実施したことで1年4ヵ月工期が短縮できたという。この場所に活断層が存在する可能性があるため、大規模地震が起きても断層変位を受け流すことができる構造(上部構造と下部構造の不測な力の伝達を遮断する構造)となっている。両端の支点が失われても主桁が落ちにくいPCラーメン橋も採用されている。一方で景観はとんでもないことになっていた。立野峡谷は世界ジオパークに認定されており、柱状節理はジオサイトに指定されているが、そこが無残に削られていた。
立野から阿蘇山へ。11月18日、噴火警戒レベルが2に引き下げられ山上広場まで行けるようになった。この日は週末とあって観光客もぼちぼち見られた。山上広場の気温は-1℃。山頂付近は霧氷に覆われ、10月20日噴火の火砕流跡は確認できなかった。山上広場では硫黄臭はさほど感じなかったが、火山ガスは多い状態が続いているとアナウンスされていた。売店の方に10月20日噴火時の様子をお聞してみると、風向きで命拾いしたとのことだった。阿蘇の雄大な自然の美しさに癒されながらもそこに潜む脅威を感じた1日だった。
撮影日:2021.12.4
阿蘇山、冬模様
阿蘇立野
立野峡谷 黒川と白川合流地点 こちらは阿蘇長陽大橋(2019年3月復旧工事完了)
新阿蘇大橋 2016年11月9日着工、2021年3月7日開通 (写真右に大崩壊した山が見える)
大地震に耐えられる構造に(となりで相方が工法の説明をしている)
見事な柱状節理
もう少しどうにかならなかったものか、、
数鹿流崩之碑
4年の歳月を経て
阿蘇山上へ
杵島岳 山頂にうっすら霧氷
感動の瞬間
火砕流跡を探す(古坊中にて)
阿蘇山上到着
氷が張っている
立入禁止のランプ
今年2月にオープンした阿蘇山上ターミナル
「火山灰ソフト」が興味をそそったので聞いてみると、ゴマをすったものを使用とのこと。食べてみたい気もしたが、寒かったので阿蘇ジャージミルクココアを注文。とても美味しかった。帰りにくまモンのコースターをプレゼントされ、これが誕生日プレゼントに。。
草千里へ
壮大な外輪山(阿蘇火山博物館上展望台より)
霧氷を纏う烏帽子岳
阿蘇火山博物館の屋根に並ぶ火山カメラ、ずいぶん増えた(博物館、気象庁、京大火山研究センター、熊大、RKKなどかな)
平成28年10月8日噴火による噴石(阿蘇火山博物館前に展示)
火山博物館内で東京大学生がアンケートを実施していた。協力してほしいとのことだったのですると、東大製のボールペンをいただいた。これがふたつめの誕生日プレゼントに。。
見納め
火口の中はどうなっているかな(火山博物館の火口カメラが10月の噴火で壊れてしまったので見れないのが残念だった)
こちらは気象庁の火山監視カメラ(12月6日午後11時前)
このところ火映が見られるので、火山ガスが多いのと湯たまりはほとんどないのでは?
阿蘇市から見る
右から烏帽子岳のてっぺん、杵島岳の手前に米塚、往生岳の手前に高塚、奥に高岳と根子岳(あってるかな?)
長閑な風景(というか羨ましい)
中岳火口、アグル―チネートが見える
瀬の本へ
産山から見る阿蘇五岳
ふり向くと、くじゅう連山! 登りたい、、
《関連記事》
・ジオパーク認定の柱状節理 国の復興工事で破壊 阿蘇大橋の架け替え 熊本・立野峡谷(西日本新聞 2017.9.14)
《参考資料》