先週末、2年前のブログ「天神ビッグバンで刺殺事件」へのアクセスが集中していたので、どうしたのかと思っていたら、旧大名小跡地(中央区大名2丁目)の再開発現場でクレーンの転倒事故が発生していた。報道によると、隣接するオンワード樫山の建物の一部が破損、クレーンを運転していた作業員の男性が意識不明の重体だという。これほどの重大事故でありながら、週が明けても、福岡市や現場関係者からのコメントはない。もちろん、市民への謝罪もない。
昨年(19年)7月、積⽔ハウス、⻄⽇本鉄道、⻄部ガス、⻄⽇本新聞社、福岡商事の5社は「⼤名プロジェクト特定⽬的会社」を設⽴し、高島市長肝入りの天神ビッグバン(西のゲート門)として、「旧⼤名⼩学校跡地活⽤事業」(下図参照)に着手。現在、九州初の「ザ・リッツ・カールトン ホテル」など複合施設を建設中(19年12月着工)で、22 年12 ⽉の竣⼯を⽬指している。施工は、清水建設JV(鴻池組、積和建設九州)である。今のところ、清水建設のホームページに事故報告はされていない。
そういえば、7月末、岩国市でクレーン事故があった。市発注の下水道工事現場で作業中のクレーン車がアームを延ばした状態で倒れ、アームの先端が近くの路上にいたトラックの運転席を直撃し、運転席にいた男性の方が亡くなっている。作業にあたっていたのは鴻池組で、同社はホームページで謝罪をしている。
事故現場では、今朝から警察と労働基準監督署が入り、実況見分を行っているという。これから原因究明がなされると思うが、福岡市は、市民に対して説明責任があるだろう。一歩間違えれば、市民が巻き込まれていたかもしれないのだから。それにしても、天神ビッグバンの現場では事故が相次いでいる。昨年8月には、福ビル解体中に漏水が発生し、天神地下街が浸水したことがあったが、施工主である西鉄は原因を明らかにしていない。こんなことで大丈夫なのか。
※下のほうに更新しています。
12日の事故現場 正面左側に旧大名小南校舎 (写真:9月13日付西日本新聞より)
旧⼤名⼩学校跡地活⽤事業概要
(福岡市資料より)
《重体の作業員が死亡 2020.9.15更新》
福岡中央署は15日、クレーンを運転していた佐賀県小城市小城町の建設作業員井上明さん(62)が死亡したと発表した。この事故では、警察と労働基準監督署がクレーンが倒れた経緯を調べ、業務上過失致死容疑を視野に安全管理に問題がなかったか捜査している。とうとう天神ビッグバン関連工事で死亡事故が起きてしまった。しかし、清水建設から未だコメントはない。
(お亡くなりになった方のご冥福をお祈りいたします)
《関連記事》
・重体の建設作業員が死亡 大名小跡地クレーン事故(西日本新聞 2020.9.15)
・クレーン車落下1人重体 「天神ビッグバン」工事現場(西日本新聞 2020.9.13)
・クレーン車転倒しトラック直撃、1人死亡 岩国(中国新聞 2020.7.31)
・福岡・天神地下街で浸水 ビル解体現場付近から流入か(西日本新聞 2019.8.9)
《参考資料》