呑む気オヤジ/蔵王山麓蓬莱庵便り

訳アリで山暮らしから都会に戻ったオヤジの日記。合唱も映画もドライブも温泉も、たまには俳句も・・・😄

蕎麦打ち&味覚人飛行物体の話

2005-12-04 | 食べ物・お酒の話

☆11月某日 蕎麦打ち講習&味覚人講演会
 今日はH夫妻と蕎麦打ち講習会に行ってきた。(上記写真は奮闘中のH夫妻)
 港北ニュータウンの遺跡公園内に民家園という江戸時代の民家をそのまま移築して再現した建物があり、その土間での講習会だった。先生はその民家園で月一回蕎麦打ちを行っている「麺ずくらぶ」の面々。普段はサラリーマンだったり自営業者だったりの「蕎麦打ち大好きおじさん」たちである。
 会費は1,000円だったが、その日の材料が北海道幌加内産と新潟妙高のそば粉をブレンドした最高級の粉で、つなぎのうどん粉も旭川のなんとか産、打ち粉はどこどこの産・・・と、とてもそんな値段で手に入る代物ではなかったらしい。でもそこはおじさんの趣味の世界、多少の赤字は気にせず楽しくやろう!ということか・・・。生徒は老若男女50人ばかり、ほとんどの人が始めての蕎麦打ちで3~4人のグループに分かれ「麺ずくらぶ」のメンバーに手取り足取り教えてもらった。
 私は北海道で一度蕎麦打ちを経験していたが、H夫妻は初めてということで緊張の面持ちであった。やはり普段から台所に立っている奥さんのMちゃんは全体的に要領よく、また上手に作業を進めてゆく。旦那はイマイチだね。もちろん私も一度経験があると言ってもやっぱり難しくてうまくはできなかった。でもなんとか蕎麦打ち終了。先生方が竈の大釜で蕎麦を茹でてくれた。そしてみんなで試食。美味~~い!!蕎麦は「挽きたて、打ちたて、茹でたて」というが、まさにその三拍子揃った蕎麦で、多少の麺の太さの不揃いや硬い柔らかいは度外視して美味かった。Hは「今まで49年間生きてきて、こんなに美味い蕎麦ははじめて食った~!老舗の蕎麦屋も問題外だ~!!」と大感激していた。確かに自分たちで打ったという贔屓はあるにしても本当に美味かった。一人当たり3人前ぐらい食べてその他にお土産分もあり、これで1,000円はただみたいに安い。Hさん、蕎麦打ちの入門用道具セットは1万円ぐらいで買えますぞ。みんなで買って蕎麦打つか?あぁ~この蕎麦でお酒が呑みたかったですな、Hさん!

 その日の夜に世田谷区民会館で東京農大教授の小泉武夫氏の講演会があった。蕎麦打ちのあと一度解散し、また3人でこの講演会に出掛けた。小泉氏はご存知の方も多いと思うが、自らを「味覚人飛行物体」と称し日本のみならず世界中の美味しいものを食べ歩いている。それもただのグルメではなく醸造学や発酵学の権威であり、その研究のためにもどんなゲテモノでも食べ歩く人だ。講演も出版したばかりの「美食巡礼の旅」という本の宣伝も兼ね(?)、日本全国および世界中の美味しいものについての話だった。一番凄かったのはアジアの奥地(国は忘れた)で歓迎会で出された「豚の慣れ寿司」?? 要するに生の豚肉をご飯の上に乗っけてドロドロに発酵させたもの。同行した学生たちはたちまち下痢と嘔吐でダウン。でも小泉先生は全く平気だったらしい。先生に言わせれば「発酵」と「腐敗」は全く別物で「発酵」は食べ物を長期間貯蔵する人間の知恵とのこと。でも我々の胃袋はその区別が多分できない・・・。
 小泉先生の「ヨダレチュルチュル」もんの講演を聞き、早くお酒を「コピリンコ」と呑みたくなった我々は三軒茶屋の「浦沢」という店に入った。三軒茶屋の246と世田谷通りに挟まれた三角州のような一帯には、昔ながらの一杯飲み屋が未だにひしめいている。新宿西口の思いで横丁や渋谷ののんべい横丁のような雰囲気だ。この「浦沢」も二度目だが、新潟出身の店主ご夫妻がなかなか美味い「おふくろの味」的なつまみを出してくれる。「肉豆腐鍋」がシンプルであっさりしていて良かった。こういうまさに味のある呑み屋街が東京の街からだんだん消えてゆくのは本当に残念。そのうち向かい側のキャロットタワーのようなビルが建ち、呑み屋もその中に呑みこまれてB1に無機質に並ぶことのないよう心から祈っている。

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