先住民族関連ニュース

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サケ捕獲権求め提訴へ

2020-08-12 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2020年8月11日 9時12分
 ラポロアイヌネイション(旧浦幌アイヌ協会)の長根弘喜会長は7日、国と北海道を相手取り、アイヌのサケ捕獲権を先住民族の権利として認めるよう求める訴訟を起こす方針を明らかにした。17日にも札幌地裁に提訴する。
 市川守弘弁護士によると、先住権の確認を求める裁判は国内では初めて。市川弁護士は「浦幌アイヌは昔から『サーモンピープル』であり、自由にサケが捕れないのは自己否定に等しい」と話す。
 2007年に採択され、日本も賛成した「先住民族の権利に関する国連宣言」は、先住民族には伝統的に占有してきた土地や資源を利用したり、管理したりする権利があると明記する。
 しかし、昨年制定されたアイヌ施策推進法は、アイヌ民族を「先住民族」と明記したものの、先住民族の権利に関する規定はない。伝統儀式に用いるサケ採捕について「配慮をする」よう求めたが、サケ捕獲は北海道の許可が必要となる。
 昨年には、紋別アイヌ協会会長らが伝統儀式に使うためとして、道に許可申請せずに川でサケなどを採捕し、その後、書類送検されたが、不起訴となっている。(宮永敏明、中沢滋人)
https://digital.asahi.com/articles/CMTW2008110100001.html?pn=3

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マーティン・スコセッシ監督最新作、2021年2月に撮影開始 ─ ディカプリオ&デ・ニーロ共演作、オクラホマ州で4ヶ月間の撮影予定

2020-08-12 | 先住民族関連
THE RIVER 2020.8.11 16:58

巨匠マーティン・スコセッシ監督による最新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン(原題:Killers of the Flower Moon)』が、2021年2月から約4ヶ月間に渡りアメリカ南部・オクラホマ州にて撮影が行われることがわかった。
『キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン』は、作家デイヴィッド・グランの犯罪ノンフィクション『花殺し月の殺人──インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』(早川書房)を原作に、1920年代にオクラホマ州で実際に起きた先住民族オセージの殺人事件を紐解く物語。当初、2020年3月に撮影開始予定とされていた本作だが、新型コロナウイルスの影響を受けて無期延期となり、続報が待たれていたところだ。米Osage Newsによると、オクラホマ州に住む職人・料理人・住宅所有者・地主などのネイティブ・アメリカン(先住民族)が、撮影の為に大勢雇用される見通しとのこと。また、オクラホマ州の様々な史跡にて撮影されることも伝えられている。
レオナルド・ディカプリオ&ロバート・デ・ニーロが共演することでも話題の本作は、米パラマウント・ピクチャーズが製作を担当。しかし、製作費が2億ドル以上という高予算となったことを受けて、Appleも製作に参加することになった。当初の計画通り、世界配給を担当するパラマウント・ピクチャーズによって劇場公開されて、その後、Appleの自社サービスで独占配信される予定だ。
https://theriver.jp/kotfm-film-start-date/

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日本ハム 9月に男女別々の先着プレゼント!女性はライラック・スカイブルー、男性は“ウポポイ”誕生記念

2020-08-12 | アイヌ民族関連
中日スポーツ 2020/08/11 17:17
札幌ドームで行われる9月1〜3日の楽天戦と同月15〜17日のソフトバンク戦に来場した女性2000人にプレゼントされる「ガールズユニホーム2020」(球団提供)
 日本ハムは11日、本拠地・札幌ドームで9月1〜6日と同月15〜20日に開催する主催ゲームでの来場者プレゼントの概要を発表し、男女別々にグッズを用意していることを明かした。
 女性にはカード別に2種類を配布する。9月1〜3日の楽天3連戦と15〜17日のソフトバンク3連戦では北海道を代表する花として知られるライラックをあしらった「ガールズユニホーム2020」を各試合とも先着2000人に、4〜6日の西武戦と18〜20日のロッテ戦ではチームカラーのスカイブルーをモチーフにした「ベースボールガールシャツ2020」を各試合とも先着3000人にそれぞれプレゼントする。
 一方、来場した男性は9月1〜6日、同15〜20日の計12試合が対象。アイヌ民族の文化復興・創造拠点「ウポポイ(民族共生象徴空間)」の誕生を記念して作製され、「北海道シリーズ2020 WE LOVE HOKKAIDO」でチームが着用しているアイヌ文様をモチーフにした限定ユニホーム(フリー)を各試合とも先着2000人にプレゼントする。
 チケットの発売日など詳細については球団公式サイトを参照。
https://news.goo.ne.jp/article/chuspo/sports/chuspo-103242.html

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チーム名変更の流れを避けられるか 〜4年連続王者のクルセイダーズ〜

2020-08-12 | 先住民族関連
J SPORTS 2020/08/11 12:00
後半20分と15秒。スコアは22−13。勝っている側がささいな失敗をする。さりげなく蹴った楕円球がラインの外へそのまま出た。いわゆる「ダイレクトタッチ」。この瞬間、テレビ画面を見つめる世界中のラグビー好きは思った。
「あっ。負けているほうが最後は勝つ」
ほら直後にトライ。あたりまえのように追い上げ、追い越し、クルセイダーズがスーパーラグビーの「アオテアロア」を制した。闘争心をたぎらせるハイランダーズを憎らしいほど冷徹に退けた。おしまいのスコアは32−22。強いというか懐が深い。疲労の蓄積する時間帯に意識の高い選手たちが体を張って好機をつくった。古今東西に違わぬ覇者の姿だ。これで4年連続のタイトル獲得である。
ここまでの優勝直後、スコット・ロバートソンHC(ヘッドコーチ)は芝の上でブレイクダンスを披露してきた。でも今回は行なわなかった。両脚は地面を離れない。なぜ? 本人が答えている。
「われわれは知っている。リバプールがどうなったかを」(AFP)
サッカーのプレミアリーグ、リバプールは7戦を残して優勝を決めた。すると次の試合のマンチェスター・シティーに0−4の大敗を喫した。クルセイダーズは次節に敵地オークランドでブルーズとぶつかる。大昔からの好敵手の対決である。「まだビッグゲームが先にある」(NZヘラルド紙)。王座を守った夜も「夜間外出禁止令=門限」は設けられた。
本稿執筆時に対ブルーズの結果はわからない。いずれにせよ緩んだゲームにはならないだろう。ラグビーらしく「トロフィーのかからぬ名勝負」を観戦できるかもしれない。そして、それはクルセイダーズの「クルセイダーズ」としての最後の試合となる可能性もなくはない。
あらためてクルセイダーズのクルセイダーとは。一般に「十字軍」を意味する。中世のキリスト教諸国によりイスラム教からの聖地奪還のため派遣された。昨年まではクルセイダーズのジャージィのロゴは「剣をふりかざす戦士」だった。同年3月、本拠地のクライストチャーチで過激な排外思想を抱く者によるモスク襲撃事件が発生、それを機に従来のイメージを廃し、マオリのモチーフへと変更された。
しかしラグビー界で長く親しまれるチーム名は現時点では残されている。昨年の11月、最高経営責任者は「クルセイダー」をもうひとつの語義である「改革運動者」と解釈して「社会の進歩と包摂(=だれも排除しない)のための改革はチーム名にふさわしい」と説明してみせた。苦しいといえば苦しい。
現在の「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命を軽視するな)」運動の拡大は、米国のスポーツの伝統的チーム名の存続に影響を与えている。NFLのワシントン・レッドスキンズはすでに変更を発表した。MLBのクリーブランド・インディアンスも同様だ。いずれも先住民族と関連している。NFLのカンザスシティー・チーフスもまた先住民族の「チーフ=族長」を想起させるが、由来は、ある市長の愛称とされる。ただし、なぜ、そんなニックネームで呼ばれるようになったかについて「族長」は無関係ではない。
イングランドのラグビー、プレミアシップのエクセター・チーフスは本年7月末、クラブの声明を発表した。「チーフスという名称は1900年代初頭からこの地域との長い歴史を有している。ロゴの使用には深い敬意が払われてきた。理事会はクラブのマスコット『ビッグ・チーフ』は不適切と考えてリタイアさせた」(概略)。名称を残す決定をめぐっては安堵とともに失望の声も少なくない。
ではニュージーランドのチーフスはどうか。こちらは本拠であるワイカト地域のマオリにちなんでいる。伝統的な武器であるコティアテを握るチーフ(族長)がロゴに描かれる。ワイカトのチーフスが先住民文化を尊重してきた事実は国内外に認められており名称変更の動きは広がってはいない。それでもマオリの画一的なイメージを無自覚に上書きしているという批判がスポーツ倫理研究の立場から唱えられたりもする。
クルセイダーズはクルセイダーズのまま、次の、あるいは次の次のシーズンを迎えられるか。米国発のムーブメントの波はニュージーランド南島まで届くような気がする。
以下、余談。30数年前、スポーツニッポン新聞東京本社に知られざるラグビーのチームが存在した。その名はジャッカル。「弱軽」と書いた。もうひとつ好きなチーム名を。アイスホッケーの苫小牧B級所属の「食道園キングス」。ジュッと肉のタレの焦げる音とリンクの冷気が脳内で混然となる。チャーミングだ。20年前、かの氷都、苫小牧で試合を見た。白鳥アリーナの観客席。そこで女性ファンの忘れられない叫びを聞いた。「潰せ」。一拍あって「パパ」。視線の先に苫小牧市役所チームのユニフォームがあった。胸には「Office」。あれもよかった。
https://news.goo.ne.jp/article/jsports/sports/jsports-2019031021893403.html

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白老アイヌ協会 伝統作法で先祖を供養

2020-08-12 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2020/8/11配信
 白老アイヌ協会は9日、白老アイヌ民族記念広場(高砂町)で第16回白老アイヌ碑先祖供養祭を行った。関係者40人が参加し、伝統の儀礼で祖先をしのんだ。  同協会の新井田幹夫さんが祭司を務めた儀礼シンヌラッパでは、アイヌ文様の民族衣装に身…
この続き:189文字
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https://www.tomamin.co.jp/article/news/area2/26010/

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ミッドナイト・オイル、17年ぶりの新曲「Gadigal Land」のミュージックビデオ公開

2020-08-11 | 先住民族関連
amass.jp 2020/08/10 14:54
オーストラリアを代表するロック・バンドのひとつ、ミッドナイト・オイル(Midnight Oil)は、17年ぶりの新曲「Gadigal Land」のミュージックビデオを公開。新曲リリースは2003年のシングル「No Man's Land」(アルバム未収録)以来。
バンドは10月下旬にミニ・アルバム『The Makarrata Project』をリリースする予定。今回リリースされた新曲「Gadigal Land」はこのミニ・アルバムからの1stシングルです。
新曲「Gadigal Land」は、3人のゲスト・ヴォーカル(Kaleena Briggs、Bunna Lawrie、Dan Sultan)と、ガディガル(オーストラリア先住民族の一つ)の詩人Joel Davisonが参加した歌詞が特徴です。
ミニ・アルバム『The Makarrata Project』の収益の一部は、先住民族のために使われます。
https://www.youtube.com/watch?v=wuWgE-u4keg&feature=emb_logo
http://amass.jp/137780/

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美術家・奈良美智が語る、“音楽”から得たもの

2020-08-11 | 先住民族関連
T JAPAN web 8/10(月) 11:30配信
アメリカのラジオ放送に夢中になった子ども時代―― 音楽が感性を育んだ
 日本最大の島、本州の最北地で育った奈良美智は、その耳を通して、外にはもっと広い世界があることを知った。それは、80年代後半、彼が著名な美術大学「デュッセルドルフ美術アカデミー」で絵画を学ぶために渡独した何年も前であり、また2019年、サザビースで彼の絵画作品《Knife Behind Back》(2000年)が約2,500万ドルで落札される何十年も前のことだ。
 60年代から70年代、当時、彼はいわゆる“カギっ子”で、午後になると旧日本帝国陸軍基地の敷地に放置された弾薬庫でのんびり遊んで過ごすような子どもだった。夜は、家にあったラジオや8歳の時に自分で作ったもので、米軍が駐屯する地域に音楽やニュースを配信するアメリカのラジオ放送「FEN(米軍極東放送網、現在はAFNに名称改変)」を聴くことに熱中した。その放送を通じて、彼は西洋の音楽と出会った。フォーク、そしてロック。英語という奇妙な外国語によるその歌声は、歌詞が理解できなかったため、彼にとってギターと一緒に発せられるもう一つの音に過ぎなかったという。そうして信じられないことに、奈良は、60年代半ばのフラワーチルドレンたちの平和を求める音楽から、70年代後半の恍惚と激しく打ち鳴らすパンクロックまで、西洋のポップミュージックの進化を貪欲なまでに目の当たりにしていったのである。
 レコードを集めていた当時(最初に買った洋楽シングルは、1967年にリリースされたビージーズの『マサチューセッツ』)、「素晴らしい芸術作品」と思ったアルバムジャケットを彼は細部まで食い入るように観察した。特に気に入っていたジャケットは、ジョニ・ミッチェル自身が描いたと知って感動したという『かもめの歌』(1968年)と、野の花を刺繍したようなルーク・ギブソンの『アナザー・パーフェクト・デイ』(1971年)。こういった音とビジュアルが組み合わさったクリエーションは、奈良の想像力を鍛え上げ、のちに大人になり、奈良自身が文化的アイコンになったのち、少年ナイフやR.E.M、ブラッドサースティ・ブッチャーズといったバンドにジャケットのアートワークを提供していくことに繋がっていく。
 美大生だった90年代、奈良は自身のシグネチャーとなる作風を生み出した。このとき描き始めたのが、先日、ファイドン社から出版された本で“大きな頭の女の子”と紹介されている絵画である。そのアクリル絵の具で描かれたアニメ風のプロポーションの無邪気な人物は、一見、アメリカ的な“Twee(風変わりで魅力的)”と日本的な“kawaii(かわいい)”の両方の感覚に紐づいたもののように思えるが、それほど単純ではない。細長い切れ目状の口とティーカップの受け皿のような目。その顔は、相反する感情の交錯を強烈に放つ。日本の戦後美術の研究者である吉竹美香は「よく少女や子どもの肖像画だと言われますが、それらの作品は、実は(奈良の)自画像なのではないか、と私は思います」と言う。
 奈良は、1995年、東京のスカイザバスハウスで開かれた個展『深い深い水たまり』で一躍注目を集めるが、その時までに、これらの架空のキャラクターはミューズとして奈良作品に欠かせないものになっていた。その後20年にわたって、彼は何度もそのキャラクターを描いてきた。たいていは、1.5メートルを超えるキャンバスに、濃い乳白色を背景にして。ある作品では、自身のデニムの上に鉛筆で、それらを10代の若者のように熱狂するジョーイやディー・ディー・ラモーンに変身させて描いている。奈良のいたずらっ子たちも豊かな音楽とともに生きてきたのである。ドラムを叩いたり、マイクスタンドをにぎったり。文字通りのパンクスではなかったとしても(しかし、彼らはしばしばそうであったが)、パンクロック的なアティチュードを示してきた。内巻きのカールヘアや赤ちゃん人形のドレスを着用しながらも、しばしば火のついていないマッチやピストル、のこぎりといった、不穏なシンボルを振り回し、彼らは“グレムリン・キューピー”になった。
 そういったキャラクターたちの多くは、ロサンゼルス群立美術館で新たに開かれる、彼の大規模な回顧展で見ることができる(美術館は現在休館中。展覧会は、再開されてすぐに開幕する予定だ)。音楽からのインスピレーションに重点を置き、奈良の過去36年の間に作られた100を超える作品が集められるという。「クラスの同窓会みたいな感じでしょうか」と現在60歳になった奈良は話す。「子どもたちの同窓会というよりは、孫たちの同窓会に近いかもしれませんが」
 キュレーションは吉竹が務め、ドローイングや絵画、ウィルシェア・ブールバード(註:ロサンゼルスの主要な幹線道路)沿いの美術館の外側に設置された高くそびえる常用樹を頭に生やした約8メートルの女の子のブロンズ彫刻に加え、奈良の私蔵コレクションから数百枚のアナログレコードアルバムのジャケットも展示される。展覧会の限定カタログには、奈良のお気に入りのアメリカの筋金入りのインディーバンド、ヨ・ラ・テンゴによる6曲(うち5曲はカバーで、1曲はオリジナル)を収録した特製アナログレコードがついている。ちなみに、そのB面は、カレン・ダルトンとドノバンといったアーティストによる往年のフォークソング集だ。
 展覧会は、音楽とアートが融合した一例としてみることができるが、奈良にとって、そもそもこの2つの要素は別々に切り離されたものではなかった。「耳から入ってきた音楽が、手からまっすぐに出ていく。そのような感覚で僕は絵を描いています」と奈良は言う。
 現在、奈良は幼少期に住んでいた家から南に約480キロほどの位置にある栃木県の山の多い田舎町に住んでいる。彼が制作を行う風通しの良い白壁の自宅スタジオは、おもちゃのフィギュアや、ぶら下がった尾っぽが振り子のように揺れる猫の時計などでいっぱいだ。彼の所属ギャラリーであるブルーム&ポーの翻訳者を介して、彼は日本語でわれわれ『T magazine』のアンケートに答えてくれた。
―― あなたの今日のスケジュールはどんな感じですか? どのくらい寝て、どのような仕事を予定していますか?
 僕は普段、人と接する必要がないような生活をおくっています。だからスケジュールは滅茶苦茶です。たとえば、昨日は夜中の12時に起きました。ただ、たいていの日は8時間から10時間寝ています。
―― 1日に何時間くらい、作品制作を行っていますか?
 気分の良い日は、起きてから寝るまでずっと仕事をしているかもしれません。僕は一日中スタジオで過ごします。本を読んだり、散歩に出かけたりして、仕事をまったくしない日もあります。
―― あなたがいちばん最初に作ったアート作品は?
 6歳のときに、紙芝居を作りました。僕と僕の猫が北極点まで一緒に旅をして、そのあと南極点まで下っていく、という物語でした。
―― 今まででいちばん最悪だったスタジオは?
 若いころに使っていたスタジオは本当に酷いものでした。でもそういった状況もすべて楽しんでいました。たとえばドイツに住んでいたころ、僕のスタジオにはシャワーがありませんでしたが、いつもプールに行き、そこで髪の毛を洗っていました。
―― 最初に買い手がついた作品は何ですか? またいくらでしたか?
 24歳のとき、とても小さなスペースで展覧会を開いたのですが、そこに展示していたレコードジャケットほどの大きさの絵です。だいたい20ドル、2000円くらいで販売しました。
「ここを訪れた人には、何か変わったものに見えるようです」と奈良。「どうして色々な場所に変わった人形をたくさん置いているの? とよく聞かれます」
―― 新しい作品を作るとき、なにから制作を始めますか?
 それは、そのときによって違います。インスピレーションについても、雲のかたちや音楽、映画から着想を受けることもあります。
―― どのようになったら、“作品が完成した”と思うのでしょうか?
 それも毎回異なります。ただ僕が満足したら制作を終了します。他人がその作品をどう見るかは気にしませんし、心配したり考えたりもしません。
―― アシスタントは何人いますか?
 僕ひとりだけです。自分で制作をこなします。だからダラダラすることもできる。もしアシスタントがいたら、いつも仕事をしていなければいけないというプレッシャーを感じてしまうと思います。
―― 作品を制作しているとき、どのような音楽を流していますか?
 何から手をつけていいかわからなくなったときは、いつもボブ・ディランやニール・ヤングを聴き直します。
―― 自分がプロフェッショナルな美術家だと、心から言えるようになったのはいつですか?
 デュッセルドルフ美術アカデミーを卒業したときです。それまでは、たとえばホテルのチェックインで職業を記入しなければいけないとき、僕はいつも「学生」と書いていました。しかし、卒業してからはもう「学生」と書けないわけです。そこで「そうだ、もう自分は“アーティスト”と書かなければいけないんだ」と思いました。
―― 仕事中に繰り返し食べるものはありますか?
 ドイツに住んでいた時は「ハリボ」の熊のかたちをしたグミ。日本に戻ってからは、チョコレートを食べるようになりました。
―― いま夢中になっている番組はありますか?
『アンという名の少女』という最近、Netflixが制作した『赤毛のアン』のリメイク版です。製作者は、史実を再現してみせる素晴らしい仕事をしており、舞台になっている当時の生活や人々の様子を本当によく伝えています。先住民族や黒人のコミュニティが直面している問題など、今日に関連する問題を物語のなかにうまく織り込んでいるのが面白い。さまざまな分野の興味深いテーマに触れていて、大人も子どもも観るべき作品だと思います。
―― スタジオにあるもので、一番変わったオブジェはなんですか?
 スタジオに置いてあるどんなものも、僕は変だとはまったく思っていません。ただ、ここを訪れた人には、何か変わったものに見えるようです。「どうして色々な場所に変わった人形をたくさん置いているの?」とよく聞かれます。
―― どのくらいの頻度で、他のアーティストと話したりしますか?
 めったに他のアーティストと会うことはありません。アーティストは芸術についてだけ話したがるものですが、僕は他のことに興味を持っている人と話したいと思っています。映画が好きな人、読書が好きな人、自分とはまったく違う分野の職業の人。漁師だったり、ハンターだったり、林業従事者だったり。
―― 最近、泣いてしまった出来事は?
『アンという名の少女』を観て。若いころはほとんど泣きませんでしたが、年をとるにつれ、ときどき、本当に些細なことで簡単に泣いてしまうようになりました。
―― 窓からはどのような風景が広がっていますか?
山、森、草原。人はまったくいません。
―― 家賃はいくらですか?
賃料は払っていません。このスタジオは自分で建てたものです。
―― 最も頻繁にまとめ買いするものは?
 おそらくチョコレートです。ピープルツリーというメーカーのもの。実は以前、Twitterでチョコレートの写真をアップしたことがあり、その会社の人が私のところにたくさん送ってくれました。だから、いまのところ、買う必要はありません。
BY NICK MARINO, TRANSLATED BY MASANOBU MATSUMOTO
https://news.yahoo.co.jp/articles/2cfb523825f099b7c95dec511c677f0c71218c88

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東大、アイヌ遺骨返還へ 和解成立 一連の訴訟終結 /北海道

2020-08-11 | アイヌ民族関連
会員限定有料記事 毎日新聞2020年8月9日 地方版
 浦幌町のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション(旧浦幌アイヌ協会)」が、研究用に墓地から持ち去ったアイヌ民族の遺骨の返還などを東京大に求めていた訴訟の和解が7日、釧路地裁で成立した。東大は6体の遺骨と副葬品を返還し、再埋葬の費用などを負担。同団体は損害賠償請求を放棄する。これで一連の遺骨返還訴訟が終結した。
 同団体は北海道大、札幌医科医大、東大を相手取り、遺骨返還の訴訟を起こしていた。東大以外の2校とは既に和解しており、訴訟終結により計103体(町の自主返納分1体も含む)の遺骨が戻ることになる。
この記事は有料記事です。
残り288文字(全文539文字)
https://mainichi.jp/articles/20200809/ddl/k01/040/039000c

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虎杖浜の温泉ホテルいずみ アイヌ伝統文化を発信へ 古式舞踊披露のステージ整備  白老

2020-08-11 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2020/8/10配信
 白老町虎杖浜の温泉ホテルいずみ(福田茂穂社長)は、高台の敷地内にアイヌ民族の古式舞踊を演じる屋外ステージを整備し、国の重要無形民俗文化財指定の伝統文化を宿泊客らに紹介する取り組みを始める。同ホテルのみならず、虎杖浜地区や登別温泉で営む他の…
この続き:933文字
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https://www.tomamin.co.jp/article/news/area2/25919/

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北海道新聞 08/09 23:14 更新

2020-08-10 | アイヌ民族関連
アイヌ政策会議1年半開かれず 課題山積 政府「今は実行段階」

 政府のアイヌ政策にアイヌ民族の声を反映する場となってきた「アイヌ政策推進会議」が、2018年12月を最後に1年半以上開かれていない。7月の民族共生象徴空間「ウポポイ」の開設や昨年のアイヌ施策推進法施行などで、政府は「現時点で開催する必要はない」とするが、アイヌ民族関係者からはアイヌ政策の停滞への懸念も出ている。
 推進会議座長の菅義偉官房長官は7月11日のウポポイ開設の式典のあいさつで、「これからもアイヌ民族に寄り添った政策の推進に努める」と述べた。
 しかし、アイヌ政策の検討の場として年1回程度、開いてきた推進会議は18年12月19日の第11回以来、実質的な協議の場の作業部会は18年4月27日の第34回以来、開かれていない。内閣官房アイヌ総合政策室は「これまで主に推進法とウポポイについて議論し、今はその実行段階にある」と説明し、現時点で両者とも開催の予定はないという。
 推進会議は、アイヌ政策を推進するための協議の場として、10年1月に官房長官を座長にアイヌ民族を含む14人で発足。推進法施行やウポポイ開設のほか、道外のアイヌ民族の実態調査や教科書発行者を対象としたセミナー開催なども実現させてきた。
 しかし、推進法には北海道アイヌ協会などが長年求めてきた生活・教育支援は盛り込まれなかった。サケなど自然資源の利用権などについても解決しておらず、課題は山積。推進会議委員でもある加藤忠・北海道アイヌ協会前理事長は「議論するべきことは多くある」と指摘する。
 政府は07年に採択された「先住民族の権利に関する国連宣言」に賛成したが、日本ではアイヌ語の復興も含めて先住民族の権利回復に向けた取り組みが北米や北欧、オセアニアなどに比べて遅れているとされる。北海道アイヌ協会幹部は「国連宣言に賛成した国としての責任を果たしてほしい」と話す。(村田亮)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/448994

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キッチンカー集結、手品も 白老・ポロトミンタラ イベント開幕

2020-08-10 | アイヌ民族関連
北海道新聞 08/09 05:00
 【白老】アイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」に近接するJR白老駅北側の観光商業ゾーン「ポロトミンタラ」(若草町1)では3連休初日の8日、夏休みイベント「キッチンカーフェスティバル」と「子ども祭り」が開かれ、多くの家族連れが夏のひとときを楽しんだ。
 キッチンカーフェスティバルでは、道内のテークアウト食品の移動販売車9台が、厚真産ハスカップのデザートや道産牛の串焼き、かき氷などを販売。昼時には地元住民や観光客が列をつくり、その場で味わう来場者もみられた。
 子ども祭りは、新型コロナウイルスの影響で中止になった地域の夏祭りに代わるイベントとして企画。木製コースターや万華鏡、缶バッジの制作体験のほか、8日には札幌の手品師によるカードや果物、ハンカチなどを使ったマジックショーも行われ、親子連れら約50人が驚きの声を上げた。
 家族で訪れた町内の介護士、星香織さん(35)は「店も多く、今年の夏は大きな祭りがないので子供も喜んでいる」と話した。キッチンカーフェスティバルは午前10時~午後7時、子ども祭りは午前10時~午後5時で、いずれも10日まで。(鈴木雄二)
◆「ポロトミンタラ」のラは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/448832

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バーティがケアンズの学校で先住民族の生徒たちと交流 [テニス]

2020-08-10 | 先住民族関連
テニスマガジン 8/9(日) 14:30配信

 テニス・オーストラリア(豪州テニス協会)が公式サイトを更新し、オーストラリアテニス財団(ATF)が今後3年間に渡ってクイーンズランド州の先住民テニスプログラムに11万5000豪ドルの資金を提供することを発表した。
 ATFはテニスを通して子供たちの回復力を発達させ、心身および社会的な健康を改善することを目的としている。
 この発表をするために今週ケアンズにいた女子世界ランク1位のアシュリー・バーティ(オーストラリア)はケアンズウェスト州立学校を訪問し、先住民族の生徒たち20人とテニスや質疑応答のセッションで交流した。
「この資金はテニスだけでなく、教育や経験においても機会を提供します」と2018年からテニス・オーストラリアの先住民テニス大使を務めるバーティは説明した。
 援助された資金は先住民の若者が回復力を構築するために構築されたプログラムを支援し、重要なリーダーシップとキャリアスキルを開発する手段としてテニスを活用する。
「これらの持続可能なプログラムと経験は、若者が生涯に渡るスキルを身につけ、明るい未来の創造に貢献することに役立ちます」とATFのビッキー・リード事務局長は語った。(テニスマガジン)
https://news.yahoo.co.jp/articles/b503ec379ac3978017ad42ccc8c43c3209423189

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「私たちはみなヒバクシャ」世界の健康被害、撮り続けた

2020-08-10 | 先住民族関連
朝日新聞 2020/08/09 14:45
米国は1976年から79年にかけて、核実験の放射性物質で汚染されたマーシャル諸島エニウェトク環礁の五つの島の除染作業を行い、プルトニウムなどに汚染された土壌や残がいをコンクリートとともに、核実験でできたクレーターに投棄した。除染作業は約4千人の米軍兵士によって行われた(ルニット島、1978年9月撮影)
 フォトジャーナリストの豊崎博光さん(72)=神奈川県湯河原町=は40年余りにわたって、米国による核実験で故郷の島を追われた太平洋・マーシャル諸島の人々や、米国の核開発によって健康被害を受けた先住民族や米兵ら、旧ソ連の原発事故による被害者など、世界の「ヒバクシャ」の取材を重ねてきた。
 「日本人は、75年前に不幸にも広島・長崎で原爆被害にあった人たちと自分は違うと思いがちだが、私たちはみなヒバクシャです。核実験や原発事故により、地球規模で放射線は流れているのに、自分は被ばくしていないと思っている」
 米国は、広島・長崎への原爆攻撃から間もない1946年から58年にかけて、マーシャル諸島で67回の核実験を実施。54年の水爆「ブラボー」の実験では、静岡県のマグロ漁船「第五福竜丸」などが「死の灰」を浴びた。約1千隻の日本の船がその海域を航行したが、米日両政府は第五福竜丸だけに限定し、200万ドルの「見舞金」で政治決着した。また、水爆実験で健康被害を受けたと訴える高知県の元漁船員ら11人について、労災認定にあたる船員保険の適用を審査した厚生労働省の社会保険審査会は昨年9月、元船員らの再審査請求を棄却した。健康被害は「放射線被ばくによるものと認められない」と判断した。
 豊崎さんは、78年からマーシャル諸島に通い、ロンゲラップ島の元村長ジョン・アンジャインさん一家らの写真を撮り、体験を聞き取った。米国の研究所は、妊婦を含む島民らをグループ分けし、「被ばく者」と「非被ばく者」の2種類のカードを持たせた。核実験後の避難行動や摂取した食物などの記録を取り、体内の放射線量を測定した。
 豊崎さんが入手した米国の機密文書にはこう記されていた。「ロンゲラップは地球上のいかなる土地よりも放射線量が高い。放射線についての貴重なデータを提供してくれる。こういうデータは今まで(広島・長崎原爆では)手に入らなかったものだ」。ソ連との核戦争に備えて放射線の人体影響を調べる米国の「プロジェクト」だった。
 「核大国アメリカはヒバクシャ大国です」と豊崎さん。ネバダ核実験場などの風下被ばく者など約100万人もいる。
 核大国の核実験場にされた南半球の国々など122カ国が賛成して2017年に採択された核兵器禁止条約の前文は「核兵器の使用による犠牲者(ヒバクシャ)と核実験による被害者の受け入れがたい苦難を心に留める」とうたう。
 マーシャル諸島は条約の署名・批准を済ませていない。島には米軍のミサイル実験施設があり、条約に反対する米国の援助がなければ国として成り立たない。
 冷戦は約30年前に終わったが、トランプ米政権は「使える核兵器」開発を続ける。こうして多数のヒバクシャを生みながら造られた米国の「核の傘」に安全保障を委ねる日本政府も、条約に背を向けている。(田井中雅人)
     ◇
 とよさき・ひろみつ 1948年、横浜市生まれ。78年から核問題の取材を始める。「アトミック・エイジ」(95年)で平和・協同ジャーナリスト基金賞、「マーシャル諸島 核の世紀」(05年)で日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞を受賞。
■シリーズで刊行
 豊崎博光さんは「写真と証言で伝える世界のヒバクシャ」シリーズの刊行を始めた。「核兵器の製造や原子力発電などが始まって以来、ヒバクシャが生み出され続けていることを知ってほしい」と話す。第1巻「マーシャル諸島住民と日本マグロ漁船乗組員」(既刊、税別1万5千円)、第2巻「アメリカ被ばく米兵と被ばく住民」(今秋刊行)、第3巻「旧ソ連、オーストラリア、日本」(21年刊行)。問い合わせは、すいれん舎(電話03・5259・6060、ファクス03・5259・6070)へ。
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASN894K0ZN7VULOB00V.html

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コートニー・バーネットのレア音源「Just For You」公開 ケヴ・カーモディのカヴァー

2020-08-10 | 先住民族関連
amass.jp 2020/08/09 23:58

オーストラリアの女性シンガーソングライター、コートニー・バーネット(Courtney Barnett)のレア音源「Just For You」がオフィシャル・リリース。この曲はオーストラリア先住民族のシンガーソングライター、ケヴ・カーモディ(Kev Carmody)のカヴァー。もともとは2007年にリリースされたカーモディのトリビュート・アルバム『Cannot Buy My Soul』に収録されていたもの。このアルバムは8月21日に再発されることになり、その先行シングルとしてコートニー・バーネットの「Just For You」がリリースされています。YouTubeほかで聴けます。
https://www.youtube.com/watch?v=ABmlAO8S_7I&feature=emb_logo
http://amass.jp/137770/

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<教授陣のマンスリー講座>小浜祥子氏(国際関係) 国家間の謝罪 支配志向が生む抵抗感

2020-08-09 | アイヌ民族関連
北海道新聞 08/08 09:37
 「悪いことをしたら、きちんと謝りなさい」。子供の頃、親からそう教えられた。実際、謝罪が被害者の赦(ゆる)しや、被害者と加害者の和解を促すことは、社会心理学の研究でも示されている。
 国家の場合はどうか。実は、近代日本における最初の国際的謝罪は、北海道にまつわるものだったらしい。1872年、開拓使のお雇い外国人、A・G・ワーフィールドが酩酊(めいてい)して宿で暴れ、使用人2名にけがをさせた揚げ句、アイヌの長の狩猟犬5匹を射殺した。騒動の広がりを恐れた日本政府の訴えもあり、米国は当人に謝罪文を提出させたという。
 この謝罪は米国政府ではなく、ワーフィールド個人としてのものだったが、ここ20年ほど、政府による謝罪が増えつつある。例えば、オーストラリア政府は2008年、先住民への差別的政策に対し、初めて公式に謝罪した。ナチスのポーランド侵攻80年の節目に当たる昨年には、ドイツ大統領が「頭を下げ、許しを乞う」た。研究者らの間では「謝罪の時代」という言葉も使われるようになった。
 しかし、国家間関係では、政府の謝罪が和解に結びつかないこともある。国家間謝罪には、加害を実際に行った・受けたのではない人も関係する。そのため、加害国内で謝罪への反発が起こることも多い。これが謝罪の効果を弱める一因だという。
 (一部の)人びとはなぜ、他国への謝罪に抵抗するのだろうか。私の参加する研究チームは、日本でのオンライン調査から、社会的支配志向性の高い人ほど、謝罪への抵抗感を強く持つことを突き止めた。社会的支配志向性とは、集団間の優劣関係や支配・従属関係を希求する態度のことで、この志向性の高い人ほど、人種や性別に基づく偏見・差別的態度を示しやすいことが分かっている。
 つまり、謝罪に強い抵抗を示す人びとは、謝罪によって被害国と自らの属する集団(すなわち日本)の地位格差が是正され、関係がより対等になることを嫌悪するのだと考えられる。
 また、謝罪への抵抗感は、個人の属性だけでなく、謝罪の内容によっても変わってくる。一般に、謝罪には《1》過去の行いの不当さの認識《2》加害の自認《3》おわびの表明《4》責任の受け入れ《5》損害回復の提案《6》将来にわたる自制の表明―という6要素が含まれる。私たちの実験調査で、より大きな抵抗感を引き起こしたのは、最初の三つの要素だった。
 これらの調査が示しているのは、一部の人びとの謝罪への抵抗が、責任や補償を回避する目的よりも、集団的地位を維持したいという、ある種、素朴な欲求に由来するということだ。他方、被害国の人びとは、公式の謝罪や補償のように、簡単には覆せない形で、加害国による関係改善の意志が表明されることを望む傾向にある。
 こうした両者の要求は真っ向から対立するものではなく、両立の余地がある。謝罪を巡る人びとの反応をきめ細かに分析していけば、和解へつながる新たなメッセージの形が見えてくるのではないかと期待する。
 なお本稿の内容は、稲増一憲(関西学院大)、大坪庸介(神戸大)、多湖淳(早大)、三船恒裕(高知工大)との共同研究の成果に基づく。
<略歴>こはま・しょうこ 1983年奈良県生まれ。東大法学部、同大大学院修了後、ヴァージニア大博士(国際関係)。国際学術誌やワシントン・ポスト誌政治ブログで論文などを多数発表。2010年北大法学部准教授、12年から北大公共政策大学院准教授。37歳。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/448693

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