ChemCam(Chemistry & Camera) は、7m離れた目標物をレーザーで蒸発させてその元素組成を測定することが出来ます。
また、MastCamやMAHLIで岩の表面を観察する場合に表面の汚れを取り除くことにも役立ちます。
測定時間が短く、1ミリメートル未満のスポットを分析できるので、毎日多くの場所を調査できるのが利点です。
ただ、SAMやCheMinのようにしっかりサンプリングして分析する機器の分析能力にはかないませんね。
こんなことに役立ちます。
・迅速に、調査対象の岩の種類を識別する。(例えば、それが火山性か堆積物沈殿物か)
・土と小石の組成を決定します。
・人間に危険な微量要素およびそれらを含むすべての化学元素の量を測定します。
・氷および結晶構造中に水分子を含む鉱物を認識します。
・岩の風化皮膜の深さおよび組成を測定します。
・岩石コアに穴を開けて見えるようにします。
ChemCamは、LIBS(Laser-Induced Breakdown Spectrometer)とRMI(Remote Micro-Imager)とで構成されています。
LIBSは、強力なレーザーパルスで目標物を蒸発させ、発生したプラズマ光により元素組成を測定します。
岩や土に見られる典型的元素は、 Na, Mg, Al, Si, Ca, K, Ti, Mn, Fe, H, C, O, Li, Sr, Baで、その他でしばしば見られる元素は、S, N, P, Be, Ni, Zr, Zn, Cu, Rb, Csとなっています。
「LIBSの利点」
・前処理なしで遠い場所の分析が出来る。
・レーザー・パルスでほこりと風化した層を取り除く能力。
・多くの元素の同時分析。
・Li、SrそしてBaを含む微量元素の多くを低検出限界で分析。
・迅速分析;1つのレーザー発射は、数秒で分析をすることができます。
・分析スポットが小さい。 < 0.6 mm diameter
・水や含水鉱物を同定できる。
・分析時間が短いので低消費電力となっている。
RMIは、LIBSのために目標物の確認をします。LIBSと同じ望遠鏡を使用しています。
RMIは、LIBSの作ったスポットを確認・観察できます。
そのことで、LIBSの分析方針などが立てやすくなると思われます。
Mast Unitは、CESR (funding from CNES)の提供ということで、ChemCamの運用は、フランスとアメリカとで50:50となるとのことです。
しかし、運用の効率が悪くなっては、元も子もないので仲良くやるようです。