火星への道

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有機ある活動!

2018-08-04 20:56:24 | MSL

2018年6月7日のWhat'sNewでCuriosityが有機硫黄化合物等を発見したことと、メタンの測定結果が発表されていました。

[1]有機物の発見

Galeクレーターで有機物が発見されたのは、CuriosityがSol279(2013年5月13日)にドリルして採取した”Jhon Klein”と "Cumberland"からのサンプルからでした。
当ブログ「確信を得ました!」(2014.12.18)で紹介してます。
https://blog.goo.ne.jp/japanmarssociety/e/cf2ce50b3af621262d2059609b7a51b4

その時、サンプル採取地点"Cumberland."から発見された有機物は、以下の通り。
1:クロロメタン、2:ジクロロメタン、3:トリクロロメタン、4:四塩化炭素、5:ジクロロエタン、6:ジクロロプロパン、7:ジクロロブタン、8:クロロベンゼン

そして、今回は、Murray formationの最下層のPahrump Hillsでのサンプル採取地点の”Confidence Hills”と”Mojave”からのサンプルをCuriosityの分析装置「SAM」で分析した結果、下記の有機硫黄化合物を発見しました。

  • チオフェン(C 4 H 4 S)
  • メチルチオフェン(C5H6S)
  • メタンチオール(CH4S)
  • ジメチルスルフィド(C 2 H 6 S)
  • 多分ベンゾチオフェン(C8H6S)
また、以下のような硫黄を含まない炭素含有化合物も確認されました。
  • ベンゼン(C 6 H 6)
  • トルエン(またはトロピリウムイオンC7H7 +)
  • アルキルベンゼン(C 8 H 9または安息香酸イオンC 7 H 5 O-)
  • クロロベンゼン(C 6 H 5 Cl)
  • ナフタレン(C 10 H 8)
  • 炭素数1〜5の炭素鎖分子がたくさんある
さらに、以下の化合物が確認されました。
  • カルボニルスルフィド(COS)
  • 二硫化炭素(CS2)
  • 硫化水素(H 2 S)
  • 二酸化硫黄(SO2)
  • 酸素(O 2)
  • 一酸化炭素(CO)
  • 二酸化炭素(CO2)
各サンプル採取地点は以下の通りです。

Emily Lakdawalla from NASA / JPL / UA / MSSS data

今回の分析結果を理解するために「SAM」の機能を理解する必要があります。
SAMは、固体のサンプルと大気などガスのサンプルの分析が出来ます。
そして、固体のサンプルは、加熱処理が出来る74個の
SMS(sample manipulation system)に取り込まれて高温で加熱処理されます。
と言う事で、ロボットアームで採取したサンプルが高温で分解されたものを測定していることになります。
SAM」の分析で得られた有機硫黄化合物や炭素含有化合物そしてその他の化合物は、ロボットアームで採取された物質が高温で分解されたものだと言うことです。
NASAの科学者達は、
ケロジェン(kerogen)のような高分子量の有機物が存在していると推測しています。

惑星協会のEmilyさんは、考えています。
①ケロジェンは、どこから来たのでしょうか?
⇒生命由来という可能性もありますが、惑星間塵粒子や火成岩(岩石が溶けて固まったもの)から来ている可能性もあります。
②ケロジェンは、Pahrump Hillsの”Confidence Hills”と”Mojave”で見つかったのに、Yellowknife Bayの”Jhon Klein”と "Cumberland"から見つからなかったのは、何故か?
Yellowknife Bayの泥岩は、約8000万年の間露出していたとCuriosityの調査で分かっていますが、Pahrump Hillsの泥岩は、それほど長期には露出していなかったためケロジェンが残っていたと考えられます。
Pahrump Hillsのケロジェンが残っていたもう一つの理由として、硫黄の存在が考えられます。硫黄は、より小さな炭素含有分子をより大きな分子に結合させ、それらが分解するのを防ぐのに役立つことが分かっています。私たちは、地球上で硫黄のこの性質を工業的に利用して、炭素含有分子が大きくて壊れないようにするのに利用しています。例としては、タイヤメーカーがタイヤのゴムを劣化させないようにするために加硫することです。
③まだ、謎は多く残っていますが、
Pahrump Hillsに保存された大きな炭素含有分子が観測されたことから生命の存在(した。又は、する。)可能性が高まったことは確かです。
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*ケロジェン
(kerogen): https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%83%AD%E3%82%B2%E3%83%B3
 以下wikipediaの引用:ケロジェンは、堆積岩中の有機物の一部を構成する有機化合物の混合物で、その生成は、珪藻、プランクトン、胞子、花粉等の生物が死ぬと、有機物は分解される。基本的に生合成の逆となるこの過程では、タンパク質や炭水化物に由来する大きな生体高分子は分解される。分解された成分は、高分子形成の材料になりうる。このような重合反応は、常に鉱物の形成と同時に起こり、頁岩のような堆積岩となる。
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[2]メタンの測定結果

NASA / JPL

上図は、3火星年(約6地球年)に亘る「SAM」による大気測定の結果です。
Galeクレーター内の大気中のメタンが火星の季節に合わせて変動していることが分かりました。
まだ、確定ではないですが、生命由来ではないとも言えないと言うことです。

火星での生命探査の道について、NASAのMichael Meyerさんは「これらの結果は、我々が正しい軌道にいることを示している」と言ってます。
Michael Meyer:lead scientist for NASA's Mars Exploration Program, at NASA Headquarters

詳しくは、下記にて

1.CuriosityとNASAのサイト
https://mars.nasa.gov/news/8347/nasa-finds-ancient-organic-material-mysterious-methane-on-mars/

https://www.nasa.gov/press-release/nasa-finds-ancient-organic-material-mysterious-methane-on-mars

2.7月30日のEmilyさんの記事
http://www.planetary.org/blogs/emily-lakdawalla/2018/0730-curiositys-organics-on-mars.html

3.AstroArtsさんの記事
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/9966_mars

4.Science:論文


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