共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

初薬師

2018年01月08日 23時35分53秒 | 神社仏閣
今日は1月8日、世間的には今年初のハッピーマンデー、それに伴う三連休の最終日、そして成人の日です。

そしてもう一つ、仏事として大事なことに、今日は初薬師の日です。ということで、神奈川県央で薬師と言えばここでしょう!ということで、昨年に引き続き伊勢原市にある日向薬師に参詣しました。

伊勢原駅から日向薬師行きのバスに揺られること20 分余りで、日向薬師の入り口の『衣裳場(いしば)』と呼ばれるところに着きます。そこから急角度の石段を上がると、やがて鬱蒼とした森の中に仁王門が姿を現します。

そこをくぐって、深い森の中の参道をひたすら登ると、やがて森の切れ間から茅葺屋根の本堂が見えて来ます。



こちらは元々は霊山寺(りょうせんじ)という大きなお寺で、奈良時代、元正天皇の霊亀2(716)年に行基菩薩によって開創されたと伝わります。現在遺されているこの境内は、その昔の霊山寺の中で『宝城坊』と呼ばれいた塔頭の一つです。

本堂の隣に建てられた宝蔵の中央には、開創行基菩薩が一刀三礼しながら掘り上げたと伝わる鉈彫りの薬師三尊像が安置されています。この三尊は通常は秘仏で、正月三が日と初薬師、4月15日の開扉大法会の年4回しか御開扉しません。

反りの高い禅宗様の厨子が開くと、きらびやかな瓔珞(ようらく)の向こうに茶褐色の鉈彫り仏が姿を現します。鼻筋の通った、ちょっとエキゾチックな印象すら受ける薬師如来と、そのお薬師さんに寄り添うように上体を僅かに寄せ合う日光月光両菩薩、開いた扉の内側には蜜陀絵で四天王が描かれています。実に華やかな光景です。

法要を終えて外に出ると、朝の天気予報よりも早く雨が降ってきました。帰りの、ほぼ自然石を並べただけの石段下りに不安があるので、まだ地面が濡れきってしまわないうちにお山を下りることにしました。

バス停まで戻ってきてから、更に近くにある



白鬚神社(しらひげじんじゃ)にも参拝しました。こちらは行基菩薩が霊山寺を開創するにあたって、協力を惜しまなかったという高麗王若光(こまおうじゃっこう)を祀った御社で、昭和8年以降は『日向神社』という社名に変更され、今日に至っています。

先の法要で、薬師如来の御真言を始めとする様々な宝号が唱えられた中でも『南無白鬚大明神』と読誦された御社なので、かなり重要な神社だと思うのですが、行ってみると御覧のように参詣する人は殆どいませんでした。日向さんの4月15日の御開帳日にはこちらでも例大祭が挙行されるそうなのですが、その時にはもっともっと賑わうのでしょう。

今年初の雨の中、厳かな気持ちになれたのでありました。
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