今日は朝から雨の強く降る天気となりました。打ち水効果でここ数日の地表温度は下がったようですが、その分湿度が高いため不快指数はあまり変わりません。
ところで、今日8月4日は
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトと
コンスタンツェ・ヴェーバーが結婚した日です。
1777年に長く務めたザルツブルクでの職を辞してミュンヘン、次いでマンハイムへ移ったモーツァルトは、マンハイムの音楽家フリドリン・ウェーバーの娘で、当時一級のソプラノ歌手として活躍していた
アロイジア・ヴェーバーに恋し、結婚の計画を立てました(彼女はモーツァルトの歌劇《後宮からの誘拐》のコンスタンツェ役や《ドン・ジョヴァンニ》のドンナ・アンナ役を初演しました)。しかし
父親のレオポルト・モーツァルトに猛反対されてしまい、1778年2月にはマンハイムを離れてパリへ行くことをレオポルトから命じられました。
1781年にウィーンに定住を決意したモーツァルトは、以降フリーの音楽家として演奏会、オペラの作曲、レッスン、楽譜の出版などで生計を立てていました。そして翌1782年の8月4日に、かつてモーツァルトが恋をしたアロイジア・ヴェーバーの妹で、
歌劇『魔弾の射手』等の作曲で知られるカール・マリア・フォン・ヴェーバーの従姉であったコンスタンツェ・ヴェーバーと、父の反対を押し切って結婚しました。
結婚後、二人の間には6人の子どもが生まれました。しかし、その中で成人したのはカール・トーマスと先日ご紹介したフランツ・クサヴァーの二人だけで、二人とも結婚せずに生涯を終えてしまったので、残念ながらモーツァルトとコンスタンツェの家系はそこで途絶えてしまいました。
そんな二人の結婚記念日の今日は、その一月前に完成したモーツァルトの歌劇《後宮からの誘拐》をご紹介したいと思います。先月にも《後宮からの誘拐》が初演された日に名アリア『あらゆる拷問が』をご紹介しましたが、今日はその序曲をご紹介します。
《後宮からの誘拐》序曲は、浮き立つようなハ長調の部分と、一転してゆったりと悲しげなハ短調の中間部とで構成されています(歌劇では、この中間部の旋律がハ長調になって主人公ベルモンテのアリアとなります)。そしてこの序曲には舞台であるトルコを象徴するようにトライアングル・シンバル・バスドラムといった打楽器が登場し、オペラ本編でも音楽にエキゾチックな華やぎを添えています。
またモーツァルトの作品は第2ヴァイオリンのパートはかなり難しいことが多いのですが、この序曲の第2ヴァイオリンも常に細かい音形が駆け回り続けるので大変です。それ故にこの序曲は、プロオーケストラの第2ヴァイオリンパートの入団オーディションの課題曲に使われることもあるくらいです。
そんなわけで、モーツァルトとコンスタンツェの結婚記念日である今日は、彼らの結婚式の一月前にウィーンで初演された歌劇《後宮からの誘拐》の序曲をお聴きいただきたいと思います。歌劇では序曲の終結部からそのまま本編に入りますが、今回は演奏会用のエンディングのつけられたバージョンでお楽しみください。
特に画面下から4段目にある第2ヴァイオリンのパートに注目して、管打楽器や第1ヴァイオリンのメロディの下で第2ヴァイオリンが如何に大変な目にあっているかにもご注目ください(笑)。