今日は朝から雨が降ったり止んだりする、不安定な天候となりました。ただ、強烈な日差しが差し込まなかったためか気温は30℃までは上がらず、湿度さえもう少し低ければなかなか過ごしやすい陽気でした。
昨日のライブから一夜明けて今日はBGMをかけながらデスクワークに勤しんでおりましたが、
今日はとにかくバッハを聴きたい気分でした。いろいろと聴いていたのですが、その中でもよく聴いていたのが
トレヴァー・ピノック&イングリッシュ・コンサートの演奏によるチェンバロ協奏曲集でした。
バッハは1729年から1741年にかけてライプツィヒのコレギウム・ムジクムの指揮をしていて、ソロや2台・3台・4台のためのチェンバロ協奏曲はその演奏会のために作曲されたものといわれています。そして、その多くはバッハ自身の旧作、あるいは他の作曲家たちの作品を編曲したものであると考えられています。
バッハがコレギウム・ムジクムの仕事を始めた頃、長男のヴィルヘルム・フリーデマン・バッハや次男のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハを始めとする息子たち、そして弟子のヨハン・ルートヴィヒ・クレープスらが一流のチェンバロ奏者に成長していました。バッハがソロや複数のチェンバロのための協奏曲を多く成立させた背景には、彼らを演奏家として教育する目的もあると考えられています。
残念ながら、バッハのチェンバロ協奏曲の原曲となった作品が失われていることも多いのが現状です。しかし、逆にこれらのチェンバロ協奏曲が残っていることで、後の時代に原曲の姿を想像・復元したものを演奏することも盛んに行なわれています。
さて、そんな一連のチェンバロ協奏曲の中から、今回は一番登場台数の多い《4台のチェンバロのための協奏曲イ短調》をご紹介しようと思います。
《4台のチェンバロのための協奏曲イ短調》は
ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集《調和の霊感》の中の『4台のヴァイオリンのための協奏曲第10番ロ短調』をアレンジしたものです。バッハは編曲する際に原曲の調整を変えることは殆どありませんが、この曲では当時のチェンバロの高音域を考慮してロ短調からイ短調に1音下げています。
さて、私も昔この曲を演奏したのこがあるのですが、演奏するにあたって悩むのが
『4台ものチェンバロをどうやって配置するか』
ということです。何しろ舞台上に鍵盤楽器を4台も、しかも演奏効果も考慮した上で並べなければいけないのですから大変なのです。
実際の演奏でも
4台を横一列に並べたり
4台を互い違いに縦一列に並べたりと、様々な工夫がなされています。配置の他にも楽器の蓋を外すのかやオーケストラの場所をどこにするのかも含めて、考えることは少なくない曲なのです。
そんなわけで、今日はバッハの《4台のチェンバロのための協奏曲イ短調》をお聴きいただきたいと思います。我が家のCDと同じ、トレヴァー・ピノック&イングリッシュ・コンサートの演奏でお楽しみください。