今日は日差しこそ厳しくなかったものの、気温の高いことに変わりはありませんでした。空だけ見ていると秋の空が浮かんでいるのですが、秋はまだまだ訪れそうにありません。
ところで、今日8月22日はドビュッシーの誕生日です。
クロード・アシル・ドビュッシー(1862〜1918)は、俗に『印象派』と呼ばれる時代を代表するフランスの作曲家です。長音階・短音階以外の旋法と、機能和声にとらわれることのない自由な和声法などを用いて作曲し、その伝統から外れた音階と和声の用い方から19世紀後半から20世紀初頭にかけて最も影響力を持った作曲家の一人です。
ドビュッシーの生涯や作品については詳しいサイトが沢山ありますので改めて細かく述べることもないかと思いますが、そんな中で今日はドビュッシーの代表的ピアノ作品《2つのアラベスク》をご紹介しようと思います。
《2つのアラベスク》は1888年に作曲され、1891年に改訂された、ドビュッシー初期を代表するピアノ曲です。
2曲ともロマン派音楽に典型的な三部形式による小品となっていて、和声法にグリーグやフォーレの影響が顕著ですが、抒情性と軽やかに運動するリズムの共存はシューマンの着想にも似ている作品です。ことに《アラベスク第1番》では分散和音の多用と右手と左手のポリリズムの組み合わせが美しく、それが『アラベスク=アラビアの模様のように細やかできらびやかな作品』と名付けられた所以でしょう。
ドビュッシーの《アラベスク》というと、どうしても
きらびやかな第1番が圧倒的に有名です。しかし、日陰好きひねくれブログとしてはそちらではなく、もう一つの第2番を取り上げようと思います。
《アラベスク第2番》はト長調、アレグレット・スケルツァンドで書かれています。
第1番と比べて表向きの和声進行は常套句的ですが、伴奏部分にそれまでの作曲理論では禁止進行とされている平行五度を伴って動く楽句(上の楽譜でいうと3段目や5段目)が登場したり、中間部で鮮やかな転調を次々と見せたりと、小品ながら後の時代の作風における『機能和声の崩壊』を既に予感させる作品となっています。
そんなわけで、ドビュッシーの誕生日である今日は《アラベスク第2番》をお聴きいただきたいと思います。どうしても第1番の陰に隠れがちな、愛らしくも斬新な作品をご堪能ください。