今日は午前中、かなり強い風雨が吹き荒れました。午後には止みましたが、そこからどんどん気温が下がってきました。
ところで、今日3月13日はメンデルスゾーンの《ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64》が初演された日です。
《ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64》 は、
ヤーコプ・ルートヴィヒ・フェーリクス・メンデルスゾーン・バルトルディ(1809〜1847)が1844年に作曲したヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲です。そのメロディさえ聴けば誰しもが知っているほどの名曲で、ベートーヴェン、ブラームスのものと並んで3大亜ヴァイオリン協奏曲とも言われています(これにチャイコフスキーを加えて4大ヴァイオリン協奏曲という人もいます)。
この作品について最初に言及されているのは、メンデルスゾーンがライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の常任指揮者の地位にあった1838年、そのコンサート・マスターであったフェルディナント・ダヴィッド(1810〜1873)に送った手紙で、
「翌年の冬までにはホ短調の協奏曲を贈る。」
との内容が書かれていることです。しかし実際に翌年には完成せず、演奏上の技術的な助言をダヴィッドから得ながら作曲は進められ、結局この作品が完成したのは最初の手紙から6年も後の1844年9月16日のことでした。
初演は完成の翌年1845年の3月13日に、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏会において、フェルディナント・ダヴィッドのソロヴァイオリンで行われました。指揮は本来メンデルスゾーンの予定でしたが、体調不良のため副指揮者のニルス・ゲーゼが行いました。
実はメンデルスゾーンは、この作品以前にもう一曲、第1番に相当する《ヴァイオリン協奏曲ニ短調》を作曲しています。ただ、この第1番は1951年にヴァイオリニストのユーディ・メニューイン(1916〜1999)が再発見するまで、永い間忘れられていました。
このホ短調のヴァイオリン協奏曲は実質第2番の協奏曲となるわけですが、ニ短調とは知名度に大きな差があるため、単に『メンデルスゾーンのコンチェルト(協奏曲)』と言う場合には、このホ短調の作品を指すことになります。また、日本の音楽愛好家や音大生たちは、このホ短調を短縮した『メンコン』の愛称で呼び習わしています。
そんなわけで、今日はメンデルスゾーンの名作《ヴァイオリン協奏曲ホ短調》をお聴きいただきたいと思います。20世紀の巨匠の一人であるアイザック・スターン(1920〜2001)のソロで、ロマン派の香り高いヴァイオリン協奏曲の名品をお楽しみください。