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昨日の夜から降り始めた冷たい雨は、今日になっても降り続きました。先日ソメイヨシノの開花宣言が出されたばかりですが、この冷たい雨にソメイヨシノもビックリしているのではないでしょうか。
ところで、今日3月18日はリムスキー=コルサコフの誕生日です。
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ニコライ・アンドレイェヴィチ・リムスキー=コルサコフ(1844〜1908年)は「ロシア五人組」に挙げられる作曲家の一人で、色彩感あふれる管弦楽曲や民族色豊かなオペラを数多く残しています。
生い立ち等については、昨年の3月18日の記事を御覧いただきたいと思います。その時には《トロンボーン協奏曲》をご紹介しましたが、今回はド真ん中の《シェヘラザード》をご紹介しようと思います。
交響組曲《シェヘラザード》作品35は、1888年夏に完成された、『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』の語り手、シェヘラザードの物語をテーマとしている交響組曲です。《スペイン奇想曲》、《ロシアの復活祭》序曲といった彼の代表作に続いて1888年に完成し、同年中にサンクトペテルブルクの交響楽演奏会にて初演されました。
『千夜一夜物語』のあらすじは
シャフリヤール王(Shahryār)は彼の一番目の妻の不貞を発見した怒りから、妻と相手の奴隷の首をはねて殺害する。 女性不信となった王は街の生娘を宮殿に呼び一夜を過ごしては、翌朝には処刑していた。側近の大臣が困り果てていたところ、大臣の娘シェヘラザードが王の愚行をやめさせるために王との結婚を志願する。
シェヘラザードは、毎晩命がけで王に興味深い物語を語り、物語が佳境に入った所で
「続きはまた明日。」
と話を打ち切る。王は新しい話を望んでシェヘラザードを生かし続け、千と一夜の物語を語り終える頃には二人の間には子どもが産まれていた。
王は自分とシェヘラザードの間に子供が出来たことを喜び、シェヘラザードを正妻にする。こうしてシェヘラザードは王の悪習を終わらせた。
というものです。そしてリムスキー=コルサコフは、シャフリヤール王のテーマを重々しいアンサンブルで、シェヘラザードのテーマを独奏ヴァイオリンで表現し、そのテーマのやり取りの間にシェヘラザードによって語られる様々な物語の音楽が紡がれていきます。
作曲家であると共に海軍士官でもあったリムスキー=コルサコフは、海外に遠征した時に見聞した様々な文化的要素を自身の作品に投影しました。それは《シェヘラザード》にも遺憾なく表れていて、要所要所にエキゾチックな響きのメロディが流れてきます。
また楽譜を見ると分かるのですが、波のうねりの表現が随所に現れています。これも、海軍士官として船に乗っていたリムスキー=コルサコフならではの巧みなオーケストレーションということができます。
そんなわけで、今日は交響組曲《シェヘラザード》を、アラン・ギルバート指揮によるニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団の演奏でお聴きいただきたいと思います。楽譜動画を御覧いただきながら、リムスキー=コルサコフが楽譜上に描いた逆巻くような波のうねりと、その波間にたゆたう美しい音楽をお楽しみください。