共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

重陽の節句にプッチーニの《菊》を

2021年09月09日 17時17分17秒 | 
今日は曇天模様なこともあってか、かなり肌寒い一日となりました。しかも昼前後からかなり強い雨も降ってきたので、とにかく一日家にいることにしました。

ところで、今日は五節句のひとつである重陽の節句にあたります。この日は



菊の節句とも言われていて、邪気を払うとされている菊の花を浮かべた菊酒を飲んで無病息災を願います。

ただ、だからと言ってお酒に浮かべるためだけに菊の花弁を2〜3枚買ってくるのも何なので、何かそれに代わるものがないかといろいろと思案してみました。その時、ふと思い出したのが



イタリアオペラの巨匠ジャコモ・プッチーニ(1858〜1924)の《菊》という作品でした。

この曲は、数々のオペラを作曲したプッチーニの作品の中では珍しい弦楽四重奏曲です。プッチーニの出世作である歌劇《マノン・レスコー》の作曲に取り組み始めた頃にパトロンでもあったアオスタ公アメーデオ1世が1890年1月に急逝したので、その追悼のために一晩でこの曲を書いたと伝えられています。

日本で仏花として使われている菊の花ですが、イタリアでも弔事の花として菊が使われることが多いようです。そんな花の名を冠したこの弦楽四重奏は、小品ながら後にプッチーニが世に送り出した数々のオペラのメロディに通ずるような濃密な響きに満ちています。

元々は弦楽四重奏のために書かれていますが、コントラバスを加えた弦楽合奏による演奏もしばしば行われていて、弦楽四重奏や弦楽合奏のための貴重な小品レパートリーとなっています。弦楽合奏にするとまるでオペラの間奏曲のような厚みのある響きを堪能できますが、オリジナルの弦楽四重奏では、いかにも追悼のための音楽という静謐な響きを感じることができます。

そんなわけで、重陽の節句の今日はプッチーニが遺した哀しみのメロディの演奏動画を転載してみました。プッチーニの咲かせた菊の花を、オリジナルのかたちである弦楽四重奏でお楽しみいただきたいと思います。



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