ダメだ、涙が止まらない…
日本のゲーム音楽の草分けとしてその名を轟かせたすぎやまこういちさんが、9月30日に敗血症性ショックのため亡くなられていたことがわかりました。卒寿でした。
すぎやまこういちさんは1931年4月11日、東京都生まれ。高等学校在学中から作品を書き始め、東京大学を卒業後、文化放送を経てフジテレビに入社し、ディレクターとして『おとなの漫画』『ザ・ヒットパレード』『新春かくし芸大会』などの番組を手がけ、同時に作曲家としての活動を始めました。
「亜麻色の髪の乙女」「花の首飾り」「恋のフーガ」「学生街の喫茶店」など多くのヒット曲を作曲したほか、CM、アニメ、映画音楽、東京・中山競馬場の発走のファンファーレ、マーチまで幅広いジャンルの音楽を手掛けてきました。中でも代表作といっても過言ではないのが、1986年に発売されたファミコンソフト『ドラゴンクエスト』シリーズの音楽です。
発売された当時、私は高校生でしたが、そんな多感な時期に登場した『ドラゴンクエスト』は、私にとっても衝撃的なゲームでした。ロールプレイングゲーム(RPG)の壮大な世界観、ワクワクするストーリー展開、仲間たちとの出会い、そして素晴らしい音楽に魅了され、時間を忘れてゲームに没頭したものでした。
『ドラゴンクエスト』の音楽はそれそのものも話題となり、遂には
作曲家自身の指揮でNHK交響楽団によって演奏されたサウンドトラックまで発売されるに至りました。ゲームの背景の一部としてただピコピコ鳴っていただけのゲーム音楽が芸術の域にまで昇華したことに、当時の私は度肝を抜かれたものでした。
自慢になりますが、私はかつてすぎやまこういちさんの指揮でドラクエⅣの音楽を演奏するオーケストラに参加したことがあります。
高校時代にドラクエⅢやドラクエⅣをやり込みまくっていた私は、目の前にすぎやまこういちさんがいるということだけで感動してしまい、練習中も本番中もゲームの場面が脳裏にチラついて何度も泣きそうになったことが、今でも忘れられません。
『ドラゴンクエスト』の楽曲は今の子どもたちにも親しまれ、今年開催された東京五輪開会式の各国入場行進曲では「序曲:ロトのテーマ」が使用され、大きな話題を呼びました。その様子を、きっとすぎやまさんもどこかで御覧になっていたことでしょう。
勿論壮大なオーケストラでの演奏も感動的なのですが、高校時代にリアルタイムでプレイしていた身としてはやはりゲームそのものの音楽に感動します。当時のファミコンの2MBという限られた容量の中での音楽なので3声部しか使われていないはずなのに稚拙さを全く感じさせないこれらの音楽は、今聴いてもゾクゾクします。
今日はすぎやまこういちさんの死を悼んで、私がドラゴンクエストシリーズの中で個人的に一番好きなドラクエⅢのエンディングテーマ『そして伝説へ』のオリジナルゲーム動画があったので転載してみました。たった3声部だけで流れているとは思えない素晴らしい音楽を、改めてお聴きいただきたいと思います。
結びに…
すぎやまこういちさん、本当に有り難うございました。『ドラゴンクエスト』シリーズとその音楽は、私の青春そのものです。すぎやまさんの指揮でドラクエⅣの音楽を演奏することができたことは、私にとって一生の宝です。本当に、本当に有り難うございました。
合掌。