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チョコで作った車

 愛知万博が開催されたのは一年前の今頃だった。それを記念して、私の市の近辺では色々なところでイベントが催されている。新聞でもそれに関連した記事が増えていて、知らず知らずのうちにそうした催し物に行ってみたくなるような仕掛けが施されているような気がする。私もまんまとその策略にはまってしまって、日曜日、昼食に出かけた帰りにそうしたイベントの1つを訪れてみた。なんでも、市の中心部にある大きな建物が開館1周年を迎えたとかで、その記念イベントとして万博イタリア館に展示してあった、チョコレートでできたフィアットの「チンクエチェント」という車が展示されているのだ。新聞でその記事を読んだときから、妙に興味を惹かれて実物を見たいと思っていた。妻や息子にその話をしたら、二人とも賛成してくれた。
 チンクエチェントという車は、フィアット500(イタリア語でチンクエチェント)のことであり、アニメ映画「カリオストロの城」でルパン3世一味が乗って大活躍していた車のことだ。(これはルパン3世好きの妻が教えてくれたことだが)今でもイタリアのローマなどでは現役で走っているそうだが、小さくて可愛らしい車だ。それをチョコレートで作ったというのだから、やっぱり一見の価値はある。会場に入っていくと、いつもは閑散としているその建物が珍しく人出でにぎわっている。やっぱり何か1つ目玉があると人は集まるものだなと感心しながら、車の展示してある2階に上がっていった。すると、階段の途中からもうチョコレートの甘い香りが立ち込めてくる。これはすごいなあとますます興味がそそられて、自然に足どりが速まる。人だかりの隙間から、黄色のボディーをしたチンクエチェントが見えた。文字通りちょこんと座っているような感じだ。





前から後ろから眺めてみるが、本当に可愛らしい車だ。これがチョコでできてるなんて信じられないやと、思わずデジカメで何枚も写真を撮ってしまった。見学者の多くが思い思いの角度から写真を撮っている。今はデジカメの時代なんだなあと、改めて実感する。と、そのとき妻が、「なんだ、全部チョコレートでできてるんじゃないんだね」と言った。その言葉で、車内をよく見回してみると、確かに金属だとしか思えない部分がある。「なんだ、塗りつけただけか・・」と私もちょっとがっかりしてしまった。周りの壁に貼ってあるパネルを見ると、製造過程が写真に撮られていた。確かに車の金属製のボディーにチョコレートをコーティングしている様子が撮られている。これじゃあ、「何と言っても目玉は、愛・地球博イタリア館で展示されていたチョコ製チンクエチェントの展示」と書いてある案内が嘘みたいじゃないか。「チョコ製」などと書いてあれば、誰だって全部チョコレートでできていると思うに決まっているだろう。なんだか憮然とした気持ちになってしまった。
 「羊頭狗肉」という四字熟語があるが、その意味は、「表面と内容が一致しないこと、宣伝は立派でも内実がそれに伴わないことのたとえ」とある。初めから分かっていたら、それ程失望もしなかっただろうが、期待が大きかっただけに反動が大きかった、本当にがっかりした。
 まあ、コーティングの技術はすばらしいものだったから、それだけでも見る価値はあったのだが・・・



(注)4枚の写真の中には我が愛する息子が写っております。どれが息子かお当てください。
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