じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

川上弘美「神様」

2018-12-14 20:50:28 | Weblog
☆ 川上弘美さんの短編集「神様」(中公文庫)から表題作を読んだ。

☆ なんとも奇妙な話だが、悪くないのである。だって、くまと散歩、いやハイキングに出かけるのだ。

☆ 最初は、擬人法ならぬ擬熊法かと思ったが、本当にくまのようなのだ。くまといっしょに川辺に遊び、彼は魚を捕って実に手際よく干物をつくってくれたのだ。昼寝のタオルケットまで用意してくれる心配り。人間の男たちに見習って欲しいダンディズムだ。

☆ 幻想的、だがリアルなのだ。

☆ 作者と同じように「熊の神様」がどのようなものかと考えた。
コメント

井上ひさし「ナイン」

2018-12-14 20:20:24 | Weblog
☆ 井上ひさしさんの短編集「ナイン」(講談社文庫)から表題作を読んだ。

☆ 野球少年たちの話。かつての「ナイン」も今では30代。みんなバラバラになったし、中には横道にそれている人もいるけれど、炎天下で決勝戦を戦った「ナイン」にしかわからない気持ちがある。 

☆ 昭和の臭いが懐かしい。
コメント

「空母」とは言わず

2018-12-14 13:29:27 | Weblog
☆ 護衛艦「いずも」は改修され「多用途運用護衛艦」になるという。戦闘機も搭載できるから実質的には「空母」だ。

☆ 「空母」と言えば批判を浴びるから、言いかえで誤魔化すいつもの手段。

☆ かつて「戦車」を「特車」と呼んでいた時代もあるから、遠からず正式に「空母」となるのだろう。

☆ 「空母」が必要なら正面から国民に訴えればよいのに。国民を愚弄する気風かな。
コメント

久坂部羊「病院の中」

2018-12-14 02:24:22 | Weblog
☆ 久坂部羊さんの「芥川症」(新潮文庫)から「病院の中」を読んだ。

☆ この短編集はその題名の通り芥川龍之介作品を文字って書かれている。「病院の中」は「藪の中」に触発されたものだろう。

☆ ある男が60歳で死んだ。その死因をめぐって息子は、内科部長、救急部の医者、集中治療室の看護師、麻酔科医長、内科病棟の主任看護師そして病理医に訪ね歩くのだが、専門用語に翻弄されて埒が明かない。結局解剖することに。

☆ 芥川の「藪の中」はある強盗事件をめぐって、当事者それぞれの見方の違いを際立たせたものだった。

☆ 「病院の中」は一つの死をめぐり、それぞれの立場からの説明が行われること、結局「木を見て森を見ない」医療の現実を皮肉っているようだ。あわせて、インフォームドコンセントの難しさ、医学の進歩が招く悲劇を提示している。

☆ 医師でもある作者ならではの視点だと思う。
コメント