伊坂幸太郎「彗星さんたち」

★　高校の期末テストもあと１校を残して終了。１２月になると何とは言わず慌ただしくなる。

★　高校の英語の教科書に「東京の７分の奇跡」（「ＬANDMARK２」啓林館）という文章が載っている。停車中の７分間で新幹線を清掃する人達を紹介したものだ。

★　今日読んだ、伊坂幸太郎さんの「彗星さんたち」（日本推理作家協会編「ミステリー傑作選　ライフ」講談社文庫所収）は、まさにこの人たちの物語だった。

★　礼をして新幹線を出迎え、乗客が下車すると乗り込み、停車のわずか７分間で出来得る限りの清掃をする。おもてなしの気持ちを込めて。清掃をするスタッフたちにもそれぞれの生活があり、新幹線を利用する人々にもそれぞれの人生がある。

★　ある姉妹の話題から、もし、車両を進むごとにタイムトラベルのように時が進んだら、という彼らの想像が楽しい。ブッシュ政権時代の国務長官パウエル氏を信奉している主任の鶴田さんの人生が二重写しになる。数人の入り組んだ会話を混乱なくまとめているのは、さすがは伊坂さんだ。

★　「常にベストを尽くせ。見る人は見ている」（パウエル）や「どんな人生にも価値はある」（鶴田主任の格言か）には励まさせる。

★　さて、仕事だ。頑張ろう。