じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

岡本かの子「快走」

2021-12-14 17:20:27 | Weblog
★ 岡本かの子さんの「快走」は2014年の大学入試センター試験に出題された。青空文庫に作品があったので読んでみた。

★ 「快走」は1938年(昭和13年)に発表されたという。女学校出て、和服を縫ったり家事をしたりと、花嫁修業に明け暮れる道子。息詰まるような家を出て、多摩川沿いを歩いた。冬の陽は早々に沈み、秩父連山が峰を浮き上がらせる。東の空には丸い月が昇り始めた。

★ 堤防にたどり着いた道子は、意を決する。彼女は堤防の上を疾走し始めた。彼女はかつてランニング選手だった。家族には秘密で始めたこのランニング。不審に思った母親は兄たちに尾行を頼むが要領を得ず。遂に父と母が道子の後を追う。いつしかこの二人も駆け出し、ランニングの心地よさを感じる、というもの。

★ 無駄な修飾やひねりもなく、素直に楽しめた。1938年と言えば、すでに日中戦争が始まり、太平洋戦争も目前に迫っていた時代。しかし、まだこうした「ホッ」とする時間があったんだなぁと思った。

★ 2011年に出題された加藤幸子さんの「海辺暮らし」も読んだが、非常に面白かったので、加藤さんの書籍を発注した。今日中に届くというので、次回はこの作品の感想を書こうと思う。
コメント