じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

映画「社葬」

2022-09-20 11:47:01 | Weblog

★ 台風が去った。雨戸を閉め、塾の時間を変更し、最大限の備えをしたが、拍子抜けするほど何もなかった。それは結構なことなのだが、後始末が大変だ。防災訓練と考えておこうか。

★ さて、昨今葬儀にまつわる話題が多いので、映画「社葬」(1989年)を観た。

★ ある新聞社が舞台。その新聞社では創業家派(現社長派)と中興の祖と言われる現会長派との派閥争いが凄まじい。それに、編集と営業の対立が重なり、役員会は修羅場と化していた。

★ そんな折、会長が倒れ、時を置かず社長が急死した。次期社長を誰にするか、権力争いが熾烈を極める。

★ 家族による密葬が終わり、主戦場は「社葬」へ。どちらの派閥にも肩入れせず、逆に言えばどちらの派閥からも疎まれている役員・鷲尾平吉(緒形拳)は「社葬」の実行委員長に指名される。

★ 「社葬」の準備が進む中、鷲尾の辞職を条件に極秘裏に派閥間の手打ちが行われる。不義理、裏切り、不正を目にした鷲尾は、新聞人としての志に目覚め、ある行動に出る。果たして次期社長は誰に決まるのか。

★ 葬儀は厳粛なものであってほしい。規模に関わらず、故人に感謝し、本当に故人の死を悼むものであってほしいものだ。利害や打算のために営んで、何の意味があるのだろうか。ましてや貴重な税金や人員を投入して。

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吉行淳之介「手品師」

2022-09-19 16:17:11 | Weblog

★ 台風に備えて数年ぶりにシャッターを下ろすと、どの鳥の仕業か、シャッターがゴミ(鳥がコツコツと巣づくりのために集めたのであろう小枝や苔や土)だらけで、部屋中に埃が舞う大惨事となった(笑)。

★ 昨夜観た「鎌倉殿の13人」、イケメンの畠山氏が討たれた。平氏を倒したはよいものの新政権は、殺すか殺されるかの権力争い。親兄弟も関係ない、まさに「仁義なき戦い」だ。筋を通す人間が討たれる。権力の座にあるものにとって、甘い汁になびかない人間は恐ろしいようだ。

★ 現代の日本でも内閣支持率が急降下。影の薄い首相の後継を巡り、権力闘争の予兆を感じる。統一地方選前後にひと波乱か。

★ さて、今日は「山田詠美編 せつない話」(光文社文庫)から、吉行淳之介さんの「手品師」を読んだ。小説家の倉田はふと立ち寄ったバーで若い男に声をかけらえる。倉田の作品のファンだというが、プライベートな時間に仕事の話は面倒だ。店を出ようとしたところ、その男、自分は手品師で、手品を披露したいという。

★ 無下にもできず、後日彼の手品を見ることに。手品はそれなりにうまかったが、強引に近づいてくる男を倉田は疎ましく思う。男は最後に大仕掛けな手品を見てほしいというが・・・。

★ 男は彼自身が認めるように、他人との関り方が下手で、自意識が強いだけにそれが苦しみとなっているようだ。性に関しても欲望はあるのに、一線を越えられないでいる。若い頃によくありがちなことだが。

★ 倉田も過去の自分を振り返っているようだ。

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朝井まかて「阿蘭陀西鶴」

2022-09-18 02:47:18 | Weblog

★ 台風が接近中。第二室戸台風や伊勢湾台風並みの強さで上陸しそうだ。

★ 録画してあったNHK「100年インタビュー 稲盛和夫」(2014年)を観る。稲盛さんの経歴や経営哲学がよくわかった。稲盛さんを見ていて、経営とは人柄であると思った。人を引き付ける魅力。無私、利他の志ゆえか。学ぶところが多かった。

★ 深夜、映画「ひまわり」(1970年)を観た。愛し合う二人を戦争が引き裂く悲しい話だった。この映画は何といっても広大に広がるひまわり畑とヘンリー・マンシーニのテーマ曲だ。ロケ地はソ連時代のウクライナ。今はどうなっているやら。

★ 朝井まかてさんの「阿蘭陀西鶴」(講談社文庫)を読み終えた。江戸の作家、井原西鶴を目の不自由な娘・おあいの視点で描いている。

★ 西鶴といえば元禄文化の浮世草子作家で、代表作は「好色一大男」「日本永代蔵」「世間胸算用」ということは知っていたが、もともと俳諧で著名だったとは知らなかった。

★ 松尾芭蕉や近松門左衛門も登場し、元禄文化花盛りだ。

★ おあいはハンディキャップにもかかわらず、早くに亡くなった母親に仕込まれた腕で家事に励んでいる。それだけに最後のシーンはジーンと胸が熱くなる。

★ 「そしらば誹(そし)れ、わんざくれ(どうとでもせえ)」と威勢の良い西鶴。風変わりな表向きとは裏腹に不器用に娘を愛する姿が伝わってくる。

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三島由紀夫「孔雀」

2022-09-17 11:50:04 | Weblog

★ 埼玉県富士見市で24歳の教諭が給食に漂白剤を入れた事件。引き続き同じクラスを担任できなかった悔しさが動機だというが、その「悔しさ」とかつての教え子の命を危険にさらすことのギャップが大きすぎて理解に苦しむ。彼女の中でどのような過程や葛藤があったのか。

★ 学校の保護者説明会で、給食の容器に鍵をかけると言った対策が話されたというが、信頼を基盤とする教育現場がここまで来たかと落胆する。大阪教育大学附属小学校やそれに続く学校侵入事件で、校門は閉ざされるようになった。「開かれた学校」という1980年代から90年代にかけての流れが一気に逆流した記憶がある。

★ この事件を受け、ある人は性善説から性悪説への転換を主張し、ある人は教員の倫理や道徳観に言及するであろう。ある人は志願者が減少し教員不足に陥った「教職」に原因を求めるかも知れない。更にある人は、この教員個人の特殊な精神性に言及するかも知れない。

★ バイトテロのご時世とはいえ、子どもを守るべき教員が子どもを危険にさらすとは、根本的に何かがおかしくなっているとしか思えない。

★ さて、今日は三島由紀夫の「真夏の死」(新潮文庫)から「花火」、「殉教」(新潮文庫)から「孔雀」を読んだ。

★ 「花火」は、アルバイトを求める学生が自分と瓜二つの男と出会い、彼に勧められた仕事をすることに。その仕事とは両国花火大会の日、「待合」を訪れる客たちの世話をすること。この「待合」には現職の大臣もやってくるとかで、瓜二つの男は、その大臣を見つめるとご祝儀をはずんでくれると謎のことを言う。結局、大臣がなぜご祝儀をくれたのかは、読者の想像に委ねられている。

★ 「孔雀」では、ある遊園地に飼われていた孔雀が殺されるという事件が起こる。殺される数日前、長時間孔雀を眺めていた富岡という男に容疑が及ぶ。刑事と男のやりとりで物語は進む。男の容姿に関してあるいは孔雀の美しさに関して細かく描写されている。

★ 「孔雀は殺されることによってしか完成されぬ」

★ 孔雀は「美」の象徴なのかも知れない。「美」は葬られてこそ永遠性を得られる。「金閣寺」にも似たモチーフか。富岡はかつて、理想的な美しさをもつ青年だった。それが今は40歳を超え、かつての美しさは見る影もない。親の財産によって生活が守られているせいか、仕事にも生きがいを感じられない。ただ漠然と生きている。若き日の自分自身に嫉妬を感じながら。

★ 最後は非現実的な終わり方になっている。果たして現実か、それとも幻か。

☆ 教員の不祥事といえば、大阪・堺市で教員が生徒に暴行(体罰というが)をはたらいて停職になった事案。こちらは比較的わかりやすい。生徒にナメられ思わずカッとしてしまったんだろう。心情はわかるが、これでは生徒と同じレベルだ。プロとしてはお恥ずかしい限りだ。

☆ 生徒にナメられない教員の風格、雰囲気、オーラってなんだろう。どうやったら得られるのだろう。

 

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宮本輝「北病棟」

2022-09-16 15:05:57 | Weblog

★ かつて「国民病」といわれ、不治の病といわれた結核は、特効薬の開発により治る病となった。しかし、年間の新規感染者(登録者)数は1万人を超え、罹患率は10万人当たり10人程度に高止まりしているという。

★ 宮本輝さんの「星々の悲しみ」(文春文庫)から「北病棟」を読んだ。24歳の青年が結核を発病し、入院療養することとなった。かつて多かった結核患者も減少傾向にあり、その病院では「北病棟」と呼ばれる隔離病棟に、今ではこの青年と58歳の婦人の二人だけが入院していた。

★ この二人が「退院」すれば、「北病棟」も閉鎖されるという。

★ 日常を突然襲った病。青年はただただ時間をもてあましていた。時の経過が薬だと信じて。

★ 春から夏、そして秋が訪れようとしている。雨の日もあれば真夏の暑さにも耐えねばならない。58歳の婦人は、体力が衰え、もはや回復の見込みがないという。

★ 志賀直哉の「城の崎にて」のように、環境が変われば今まで気にも留めずに見過ごしていたものが見えてくるようだ。

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O157

2022-09-15 20:45:09 | Weblog

★ 近所の「Mest & Fresh TAKAMI」で食中毒。腸管出血性大腸菌O157によるもので、90代の女性が亡くなったという。

★ 夕方、ヘリコプターがいっぱい飛んでいるので、自衛隊の演習かなと思っていたら報道関係の取材だった。(某学習塾神明校の事件以来だ)

★ 数か月前に改装オープンしたばかり。私は、高見牛のコロッケや高見牛のたたき、ローストビーフなどよく買っていた。「たたき」の横に問題の「レアステーキ」がいつも置いてあった。「レアステーキ」というだけあって、生肉の細切りって感じ。

★ たたきやローストビーフはうまかったのになぁ。8月下旬に買いに行こうかと思ったが、結局行かなくて、難を逃れたみたいだ。

★ 1階が肉や野菜などの販売店で、2階がレストラン、3階が焼肉店。2階も3階も行ったことがあるけれど、これからどうなるのかな。

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五木寛之「素敵な脅迫者の肖像」

2022-09-15 16:24:10 | Weblog

★ 報道は中立・公正というが、そんなものはタテマエに過ぎない。インタビューにしても在京放送局が近場の声を集めて、一応両論を流すのが常だ。しかしそこには当然制作サイドの意図が見え隠れする。

★ 五木寛之さんの「海を見ていたジョニー」(講談社文庫)から「素敵な脅迫者の肖像」を読んだ。

★ 緊迫したラジオ制作の場面から物語は始まる。主人公はラジオ番組のプロデューサー。ドキュメンタリー番組を専門としている。しかし、昨今そういう番組は受けず、スポンサーもつかないことから、番組打ち切りの危機に直面している。

★ そんな制作現場にある男が現れた。番組のスポンサーを紹介する代わりに、番組の企画に加えてほしいという。うさん臭い要求ではあったが、制作の最終決定はこちら側にあるということで、プロデューサーはその要求をのむことにした。

☆ 世の中には頭の良い輩がいるものだと思った。放送番組をダシに使った体の良い脅迫なのだが、結局のところ誰も損はしていない。こういう存在は業界にはつきものなのだろうか。

☆ ずっと昔、ある県で、学校にとって不都合なネタをダシにして、いわゆる業界紙を買いとらせるという噂話を聞いたことがある。金額が管理職のポケットマネーで処理できるほどのものなので、表には出ないことのようだったが、業界にはいろいろな人が群がるものだと思ったものだ。

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浅田次郎「あじさい心中」

2022-09-14 15:58:20 | Weblog

★ 人生は変化に富んでいる。不治の病に冒されていると知ることもあれば、事故や事件に遭遇することもある。サラリーマンとして生き、そこそこの地位と収入を得、残る10数年勤め上げればそれなりの老後が送れると思っていた矢先、リストラに遭うこともある。

★ 浅田次郎さんの「薔薇盗人」(新潮文庫)から「あじさい心中」を読んだ。浅田さんの作品は面白い。物語に入り込める。

★ 主人公は出版社に勤めるカメラマン。管理職の地位を得て、結構な高給も得ていた。それを支えに、妻と大学生を筆頭に3人の子どもたちを養ってきた。その男が突然リストラされた。

★ 想定していた人生計画が一気に崩壊。とはいえ、どうすることもできず、とりあえずは貯えで何とかしのいでいた。

★ 「あじさい心中」はリストラされた男が何気なく訪れた寂れた温泉旅館で、ふと訪れたストリップ小屋の年増の踊子と意気投合して心中を企てるというもの。

★ 前半は男が語り、踊り子と出会ってからは、彼女が身の上を語り、男は聞き役に回る。

★ 美しいあじさいに囲まれた行きづりの男と女のやりとりが美しい。出会いがあれば別れもある。それをあっさり描いていることが余韻を残す。

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小池真理子「足」

2022-09-13 21:21:42 | Weblog

★ 子どもたちは怖い話が好きだ。怖いと言いながらキャッキャと喜んでいる。テケテケも花子さんも。

★ 今日は小池真理子さんの「水無月の墓」(新潮文庫)から「足」を読んだ。

★ 40代になった女性。10歳年上の男性との不倫を細々と続け。これも腐れ縁かなと思っている。楽しみといえば、都心から地方へ引っ越した妹の家族を訪れること。遠慮しようと思いながら、1か月と間を置かず通い続けている。

★ 妹の夫の実家は造り酒屋なので、家が大きく部屋が余っている。それも気軽に訪問できる理由だ。この日も主人公は妹の家を訪れた。

★ 彼女は何か疲れを感じウトウトとしながら、幼い日のことを思い出した。怖がりの性分で開けっ放しで風呂に入っていた時、見てしまったのである。少し前に亡くなった叔母の足を。爪が美しく赤く塗られた足だけを。

★ さぁ、怖いのはこれから。それは読んでのお楽しみ。

★ うちの父親は亡くなる前、寝たきりが長かったものだからしばしばせん妄に襲われていた。周りのものにはわからないが、本人には本当に見えるようだ。ずっと前に亡くなった飼い犬や若い頃働いていた職場の風景が。不思議な現象だった。

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三浦しをん「ペーパークラフト」

2022-09-12 16:07:40 | Weblog

★ 残暑が厳しい。敬老の日が近いので、町内会からの長寿祝いの粗品(商品券)を配る。70歳から始まって、99歳まで、ご高齢の方に商品券を配るのだが、昨今高齢化率は高まるばかり。それに反比例して、お祝いの額は減る一方。粗品を配りながら「昔はもっと多かったのにねぇ」と愚痴を聞く。

★ さて、今日は三浦しをんさんの「きみはポラリス」(新潮文庫)から、「ペーパークラフト」を読んだ。

★ 結婚して5年の夫婦。息子も2歳になり、夫は仕事に妻は家事と子育てに忙しい。いつしか夫婦関係も冷えているのに気づく。そんなとき、夫の高校時代の後輩という男と出会う。夫とは15年ぶりの偶然の再会だという。

★ 彼の仕事はペーパークラフトをつくること。といってもそれだけでは食っていけないのでいろいろと仕事をしているとか。息子にペーパークラフトをつくってくれたりと、だんだん親しくなっていった。ところが、彼はある思惑があって、夫に近づいたのだという。

★ 夫婦といっても所詮は他人。長く一緒に暮らすのはなかなか難しいようだ。妻の日常の閉塞感がひしひしと伝わってくる。夫はどこかで羽目を外しているようだが。

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