国論を二分する重要案件が、今週バタバタとそしてなんとなくといった感じで決まってしまいそうです。消費税の議論は政党間の協議で、原発再稼動は例の関係閣僚会合で、何れも密室の中で議論さているのでしょう。このような議論が公開の場で行われれば、随分と異なったものとなるのではないでしょうか。まぁ、重要な会議の議事録も作成されないような国ですから、それを期待しても無理な話でしょうが・・・。
世論調査によれば、どちらも反対意見が多数との結果が出ているにも関わらず、最初から結論ありきで、国民そっちのけでセレモニーが進行していった印象です。首相は議論が始まる前には、「徹底的に議論して」とか「国民の理解を得て」とか仰っていたような記憶があります。これらの言葉は私の空耳だったのでしょうか。
何も世論調査が万能だとは言いませんが、少なくとも意見が対立していることは確かなことでしょう。このような案件を「お尻が決まっているので」といったことで、拙速に結論を出すことが果たして正しいことなのでしょうか。
消費税ならば、一旦増税したとしても種々混乱や損失は生じるかも知れませんが、元に戻すことができます。しかし、原発事故は取り返しがつかない結果をもたらします。「原発の危険性」と「国民生活を守ること」を天秤にかけて良いものでしょうか。(本来ならば原発の安全性というべきなのでしょうが、あえて危険性としました。原発に限らず、利便性の高いものは危険性を伴うものです。それを安全性という言葉を用いることによって、危険性の認識をはぐらかしてしまうことになりかねません。)
原発再稼動に突っ走る国の姿勢が次の事柄に象徴されております。滋賀県知事が「電力不足で停電になったらどうする。」、「お前は責任取れるのか」と関電、国、企業から脅されたと海外記者からの質問に答えたとのことです。このようなことは、天に唾するようなものです。首相その他関係者は、万万が一事故が発生した時にどのような責任が取れるというのでしょうか。また、福島の事故について、どのような責任を取ってきたというのでしょうか。
県知事の立場としては、県民の安全を守ることも重要ですし、同様に県内企業を守ることも重要なことです。このような立場にある方に向かって、優越的立場を利用して一方的に脅迫まがいの圧力をかけるなどといったことは民主主義国家にとってはあってはならないことです。ましてや国家機関や当事者企業が、そのようなことを行うのは言語道断です。
そもそも停電を起こさないようにするのは、第一義的には電力会社の責任です。そして国と電力会社は一体となって電力行政を行ってきました。その国が自治体の首長に向かって、脅迫紛いの圧力をかけることは全くの筋違いであります。
国や電力会社は停電を起こさないためにこの一年3ヶ月の間に何をやってきたのでしょうか。自らの責任は棚上げしておいて、自分の意に沿わないことには圧力をかけるなどといったことは、悪政とまでは言いませんが、少なくとも仁政とは言い難いことでしょう。