平成23年3月2日(水)
明日の桃の節句を迎えるというのに、急に朝から先週の陽気が去り
また寒さがぶり返してきています。
三寒四温の時期です。
チューリップも早々と芽を伸ばして、梅の花も満開です。
遠賀川の川土手には、菜の花がチラホラ開花し、黄色い絨毯が広がってきました。
朝方は肌寒い日でしたが、園の和室は、早朝からお茶席用の炭を
炉にくべて、お香を燻らせて、馥郁とした雅な雰囲気に包まれました。
例年のとおりに桃の花と菜の花を花瓶に活けて飾り、和室のしつらえを整え、
毎年迎える健康と長寿を祈り雛祭りのお茶会を、今年も致しました。
和服に着替え いつもとは違ったおしとやかな先生方のお点前により、
日頃は活発な男の子も神妙な面持ちで、
伝統の和の風情『わび・さび』の世界にひたり、
心ゆたかな時間が流れました。
理事長先生が、7席の茶席の席主を勤め、
子どもの年齢に応じて、身近な心に響く色々なお話をしました。
『ひなまつり』のはじまりは?
『ながしびな』のはなし…
『お茶』の効用。『炭』の話も…
そして、『うれしいひなまつり』を歌いました。
うれしいひな祭り
作詞:サトウハチロー
作曲:河村光陽
あかりを つけましょ ぼんぼりに
おはなを あげましょ もものはな
五人ばやしの ふえ たいこ
きょうは、たのしい ひなまつり
お内裏様と お雛様
ふーたり ならんで すましがお
およめに いらした 姉さまに
よく似た 官女の白い顔
きんの びょうぶに うつる ひを
かすかに ゆする はるの かぜ
すこし 白酒 めされたか
あかい おかおの 右大臣
着物を きがえて 帯しめて
きょうは わたしも はれすがた
はるの やよいの このよきひ
なにより うれしい ひなまつり
席入りの、お琴の演奏♪『さくら』は、主任仰木ミヤコ先生でした。
裏方の水屋の点てだしのお手伝いをくださった先生方、
お運び担当もご苦労様でした。
お菓子の準備や裏方の采配をしてくださった
ベテランの金子正一先生にも大変お世話になりました。
岡部キヨ子先生も山本かよみ先生も金子弘子先生も
お点前くださりありがとうございました。
様々な体験を通じて、こどもたちは
大きく飛躍するターニングポイントを迎えます。
感性を高めるためには、心にひびく環境に浸るのも
非常に大事なことです。
今、園の玄関ホールには、美しい『さげもん』や『てまり』がたくさん飾ってあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%95%E3%81%92%E3%82%82%E3%82%93
この『さげもん』は、いつも慰問や仲良し交流会に年長組がおじゃましている
倫尚会特別養護老人ホーム 『ウェル馬場山』の
デイサービスの高齢者の方々が、丁寧に型紙をあてて、ちり緬の布を切り取り、
一針ひとはり おばあさんたちが心を込めて縫い合わせて
そこへ おじいさんたちが綿をきっちり詰めて、まりの形に
接ぎ合せて 手作りしてくださり プレゼントしていただいたものです。
また、柳川にお出かけした方からの寄贈の刺繍の鞠も
玄関ホールの七段飾りのひな壇の横に飾ってあります。
手作りのあたたかい心の込められた素晴らしい作品の数々です。
日本の伝統の技の中に、
多くの方々の子どもたちの成長や長命を
真心から祈るそのあたたかい気持ちが伝わってまいります。
どうぞ、園へお越しの節は、お雛様をご覧になり、
その周辺に飾ってある『さげもん』や『刺繍手まり』もゆっくりご覧ください。
一つひとつ色合いや柄が違い、味わいがあり、心ゆたかになります。
「わざわざ柳川に行かなくても幼稚園で幽玄夢幻の雅な雰囲気が味わえる」
と、保護者の方々や、近隣地域の方々もおっしゃって
しばし 親子で足を止めて眺めて、会話を楽しんでくださっています。
最近は、輸入住宅や洋風のモダンなつくりのお宅が増えてきて
全室フローリング、つまり、和室が全然無いお宅もあるようですが、
日本人なら必要ではないでしょうか?
ちゃぶ台で食事するお宅も 殆どなくなり、
テーブルで椅子に座るという家庭ばかりになってきました。
畳の上で座ってかしこまって飲食をする経験も殆ど無くなったようです。
その時の作法が伝承されない時代になってまいりました。
やはり、四季折々の季節感のある伝統行事を大事にして、
肌で感じる感性をゆたかに育てていきたいものです。