平成23年3月29日(火)晴れ 後 曇り 後 時々小雨
昨日、午後から 、東筑病院へお見舞いに行きました。
佐藤先生の妹さん赤星様が、知らせてくださり、初めて知りましたが、
昨年末から、絵の井上伝先生は、風邪をひき それが元で、
持病の喘息が悪化し、酸素吸入したり、
薬を点滴してもらったりだったそうです。
一旦は、熱も下がり、お元気に快復したようでしたが、
また、1月7日から肺炎が悪化し、ついに入院なさっていたのでした。
一昨日までは、小康状態になられて、リハビリを頑張っていたそうですが、
昨日、また急に肺炎がひどくなり、
容態が急変し、親族が病院へ集まるように要請されたそうでした。
奥様は、連日の付ききりの介護の疲れが出てバテテしまっていたので、
一昨日は、一日中 ご自宅で休まれていたそうです。
昨日は、朝から、3階の病室には、長女のるみこさんが駆けつけてあげていました。
市内に住む るみこさんは、
「今年は、癌で逝った夫の13回忌です。長女がもう30歳になりました。」と言って
容赦ない歳月の流れを話し、近況を知らせてくださった。
そうこうしている内に、三女みすずさんと奥様と孫娘さんが、駆けつけてくださった。
関西在住の次女のつぐみさん一家も駆けつけている最中らしい。
理事長先生と、お見舞いさせていただいたのでしたが、
井上先生は、息をするのが、とても辛そうで、
酸素吸入なさりながら、肩を大きく上げ下げして、
じーっと目をつぶって、きつそうな表情でした。
血圧が下がってしまい、
一時は、危ない状態に陥っていらっしゃったのです。
でも、厳寒のシベリア抑留生活を経験されて、
不撓不屈の強い心をお持ちの人です。
それで、ご家族は、
「多分また、この程度の肺炎ならば、きっと復活します。リハビリも頑張って、
もう少しで家に帰れる寸前まで良くなってきていましたから。
まだ、描きかけの絵もありますから。また、心ゆくまで描くでしょうから。」
と、楽観的に希望を持って語っていらした。
「井上先生、お大事になさってください!明日、また来ますね。」
と私がいうと、両眼を大きく開けて、じーっとこちらを見つめて、何か言いたそうでした。
微かに頷いてくださいました。
結局、それが、最後のお別れのご挨拶になりました。
昨夜、ご他界でしたか。
間に合って良かった!
長年の熱心な絵画表現のご指導、
歯に衣着せぬストレートでユーモアたっぷりの分かりやすい説明で
やさしい笑顔のご指導、誠にありがとうございました!
トレードマークのベレー帽がお似合いでした。
スラリと細身の長身で、いつも身だしなみに気を配り
さりげない大人の雰囲気の 気取らないシックなお洒落で、色使いも素敵でした。
特に健康保持には、特別に節制をして、口ぎれいで、自分に厳しく、
独特の早寝早起きの生活スタイルを守っていらっしゃいました。
ひとえに一日でも長く、好きな絵を描き続けていたいからでした。
昔は、茶系統~白茶や黄色の抽象的なモダンな雰囲気の絵を多く制作されていましたが、
最近の絵は、ブルーを基調にした海や空や森の中の絵が多数アトリエに見られていました。
それに「月」をモチーフにした絵もとても多く、象徴的に「母性」を表現しておられました。
現在、北九州市立美術館にも 井上伝先生の数点の大型作品が収蔵されています。
それぞれの心の中に、
いつまでも 井上先生の「美しさ」を追求する端正な質素な生き方や
不正や権力志向の人や金儲け主義の人を嫌う
正直で、エスプリの効いた素朴なお言葉が、しっかり生き続けます。
時に繰り返し伺った、
「死と直面したシベリア抑留の体験」から
「いかに丁寧にそれぞれその人らしく生きるのか」を
薫陶を受けた教師達に 「しあわせとは?」と問い続けられることでしょう。
井上伝先生は、子どもの立場に立った、真に生きる力を育てるための
知恵の塊のような 「考えさせる保育」を真摯に要求されていました。
その意図するところが理解できない人には、
繰り返し注意が与えられました。
「何のために絵を描くのか?」
「心を育てるとは?」
「心ゆたかとは?」
「プロの幼児教育者とはどうあるべきか?」
卵かけご飯に、胡麻油を少しだけ垂らして
混ぜて食べさせてくださった愛しいお祖母様に、
幼少期を過ごされた朝鮮の空を経由して、
もう直ぐそちらの世界へ到着し、
久し振りに お会いなさることでしょう。
衷心より 謹んで 心から ご冥福を お祈り致します。
訃 報
故人:井上 傳(いのうえ つたう)満87歳
喪主:ご夫人 井上 照子(いのうえてるこ)様
通夜:平成23年3月29日(火) 19時~21時
葬儀:平成23年3月30日(水) 10時~11時
出棺:平成23年3月30日(水) 11時~
場所:株式会社阿部光林社青山斎場 永犬丸会館
北九州市八幡西区八枝3丁目1番13号
TEL093-695-1733
FAX093-695-1735
※ ご通夜ご葬儀は、仏式(浄土真宗本願寺派)にて執り行われます。