絵話塾だより

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2024年5月11日(土)文章たっぷりコース第5期・第11回目の授業内容/高科正信先生

2024-05-18 19:23:40 | 文章たっぷりコース

この日は高科先生のお友達・児童文学作家の岡田淳さんの新作『ねがいの木』(絵 植田真/BL出版)のお話から始まりました。
1980年代に「日本児童文学」という雑誌に連載された作品を書籍化。植田真さんの絵も素晴らしく、世界情勢が不安定になっている今だからこそ読んでほしい本になっているそうです。

 

この日は、テキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)のP164にあるコラムから
比喩表現とオノマトペについての文章を読み、その後

『日本語のレトリック:文章表現の技法』(瀬戸賢一/岩波ジュニア文庫)から、
・前書き
・「意味を転換する(意味のレトリック)」の隠喩…類似点を見つける
・レトリック30早見表
の箇所を見ていきました。

隠喩は比喩の女王とも言われ、類似点を見つけてずばり喩えるのが特徴です。
喩える項は具象的なものであり、喩えられる項は抽象的なものになります。
類似点は、見た目の場合も特徴の場合もあります。

「宿題の山」は隠喩で、「山のような宿題」は直喩になります。
「〜のような」「〜みたいな」は直喩ですが、これは次の授業で見ていきましょう。

レトリックを使うときは、一般的に広く使われている喩えが分かりやすいのですが、新しいものを作り出そうとすると読み手が理解しづらくなるので、気をつけましょう。
他の人の共感を得るのは難しいかもしれないけれど、発信者の思考回路が見えるような気の利いた言い回しを考えるのは良いことです。

   

休憩をはさんで、長新太の『ユーモアの発見』(岩波ジュニア文庫)から、「まえがき」と「もえるキリン」「おなら」「怪獣」の箇所を見ていき、冊子に掲載された長さんがダリの「燃えるキリン」を模写した作品も紹介していただきました。

  

  

それから、絵本『ゴムあたまポンたろう』(童心社)を読み聞かせ。
長さんのこんな発想は、いったいどこから出てくるのでしょうね?
高科先生は、長さんがありとあらゆる物の中から自分のアンテナにひっかかった面白いものを集めており、作品を描くときにはきちんと調べて書いている。あふれんばかりの知識が、発想の源となっているのでは?と。

ここで1つ問題です。ゾウを冷蔵庫に入れるには、どのような手順が必要でしょう?
①②③3つの手順で答えてください。

ゾウが入ったら、次はキリンを入れてみましょう。
この時は①〜④まで。一工程増えるので、注意してください。

正解は、

ゾウの場合は、①冷蔵庫の扉を開ける ②ゾウを入れる ③扉を閉める でした。

キリンの場合はどうでしょう?

①冷蔵庫の扉を開ける ②ゾウを冷蔵庫から出す ③キリンを入れる ③扉を閉める です。

な〜るほど〜!!!!!となりますよね。

大人は自分の価値観から逃れられないので、どうしても冷蔵庫と動物たちのサイズを考えてしまいますが、もっと単純に考えたら良いのですね。

長さんは独特の形や色遣いで絵を描かれていますが、絵本を作るきっかけになった(影響を受けた)作家は、マドレーヌちゃんのシリーズで有名な、ルドウィッヒ・ベーメルマンス(wikipedia)だそうです。
独特な画風とはいえ、絵本ではなく書物の中の挿絵などで昔の絵の模写などが載っていると、長さんの画力は相当高かったことが分かります。
絵でも、文章でも、誰かの作品を模写すれば確実に力がつきますので、皆さんも好きな作家の絵や文章を模写してみるのも良いですよ。

最後に、今回の課題は「はしる」です。走る・奔る・趨る…いろんな漢字があり、「小走り」「激走」など走り方もがありますが、今までに走ってきたこと、これから走るであろうこと、走っているものについて、自分の目から見たもの等について、自由に書いてください。
例によって、創作・エッセイ・文字数・文章のスタイル・対象年齢などは全く制限はありません。

提出は5月25日(土)、12回目の授業の時です。よろしくお願いいたします。

 


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