イラストじっくりコースは寺門孝之先生です。
2回目の本日は課題「Over the Rainbow」を画材を変えて二点用意したものを
一人ずつ発表しました。
発表の前にまずはお話です。
寺門さんは子どもの時から「活字+絵」が両方合わさった印刷物に対して強烈な憧れがあったそうです。
なぜか辿っていくと、3歳頃に家に来てくれていたお手伝いの方のお家が町の印刷所で、絵を描くのが好きだった寺門さんのために
使わなくなった試し刷りの紙をいっぱいくださってよく目にしていたとのこと。
今でも色校正の紙の、はしっこに印刷されている色見本が好きなのだそうです。
三つ子の魂は百までとはよく言ったもので、なるほどそういったことがあったのですね!
また、イラストレーターという職業は小学生の頃にすでに知っておられたとのこと。
1960年代、横尾忠則さん、宇野亜喜良さん、伊坂芳太良さん(いさかよしたろうさん・1928〜1970)に憧れていたそうです。
生徒さん達にも「なぜイラストレーター、絵本作家になりたいのですか?」と質問されていました。
なぜなりたいか一人ずつ聞いてみると、皆さんにもそれぞれ理由があり、中には啓示があって来られた方も!
「それはいちばん確かな理由ですね」と寺門さんもにっこり。
イラストレーターになる素質として、「文字」と「絵」に対して感覚があるかどうかは大事では。
そして「額縁」のお話へ。
街中で見かける壁に直接描かれた絵や、例えば教会でどこまでも続いて描かれている絵は
主張はわかるがあまりお好きではないとのこと。
寺門さんは「額縁」が好きで、それは封じ込められている中に収まるからこそ力を発揮する、
この世の中にこの世の外を作っているように感じるそうです。
絵の中にホールがあって「額縁」はその境界を背負っているのでは、とも。
さぁ、課題の発表です。
皆さんの作品は、
・和歌山の那智の滝で「虹」を実際に見て、そこにいるであろう「竜」を描いた
・自分側が「虹」でそこから世界を見ている絵
・「虹」を身体にまといたい
・横浜に行った時の夜の観覧車が「虹」色だった
・ハワイそのものを「虹」のイメージとして描いた
・「虹」が通り過ぎた後の街
・虹色のオーラをまとったぬいぐるみ
・ユニコーン
などでした。
「虹」を明るい未来、良いメッセージとして捉えて描く方が多かったです。
一人ずつになぜこうなったのか丁寧に聞いてくださいます。
寺門さんの絵にも実は、よく「虹」が登場しています。
その「虹」は短かったり長かったり。
「虹」が出ると水や竜が出て、活発なイメージなのだそうです。
神話や伝説を読んでみるとただ「虹」が登場するというだけではないそうです。
アジアや西洋による「虹」の捉え方も様々でそういった違いを考えながら描かれるのも好んでされていることのようです。
講評では、
・描いた絵に深い意味はなくても良く、見た人が事件を感じられると良い。その絵を見た後ではもう見なかった前には戻れないような…。
・「虹」は実際に目に見えるもので、現実的要素であり、人の文化でもある。
・使う紙は総当たりで合うものを描いていくしかない。
・新しい画材を使う時、色々調べずとも好きなように自由に描いて良い。何をどうやっても良いもの。お醤油を混ぜたり砂を入れてみたり。先入観に縛られずやった人にしか出来ない発見もある。
・時間はいっぱいある。課題の期限がたまたま今日なだけで、続きを描いていって良い。
・言い訳がもしあるなら、どんどんそれを描いていく。人に説明しなくても見て感じてもらえる絵を目指そう。
などなど!
次回は来年2月17日です。
課題は「◎◎と私の間」です。
◎◎は自由に思うこと、ものを入れてください。
「間」は、「ま」でも「あいだ」でもどちらの読み方でも良いです。
どうぞよろしくお願いします。