この日は前日に月食があったことから、天体ショーの話から始まりました。
うまく見られたもがいらっしゃるでしょうが、タイミング悪く見逃した方には
次の皆既月食は2022年11月8日夜、部分月食は2023年10月29日の明け方だそうです。
秋は空気が澄んでいるので、夜空を見上げるのも楽しいですね。
高科先生は、この時期に宵の明星として夜空に輝く金星がお好きだそうで
星を見ると、まど・みちおの「いちばんぼし」という詩を思い出すとおっしゃっていました。
小学校の教科書にも載っている短いこの詩を先生は気に入っており、
まどさんの書く詩は素晴らしいので、これからも折に触れて紹介していきますとのことでした。
次に、生涯にわたって楽しく学び続けることについて、5人の方々の講演会やシンポジウムがまとめられた
『学ぶ力』(岩波書店)から、工藤直子の「 “中途半端” を遊ぶ」という箇所を見ていきました。
女性初のコピーライターであった工藤さんは、後に詩人として「哲学のライオン」などの散文詩で有名になりました。
その工藤さんが言うには、人が興味を持って学んだ知識は、
専門家になる以外は人に知識をひけらかす「蘊蓄家」になりやすい。
「学ぶ」ことを「遊ぶ」と捉えて、5〜6才の頃のような興味の赴くまま好奇心を広げていけば、
目標に達しなくてもその途中をじっくり楽しめば良いじゃないか。
「中途半端がいい」(“で” ではない)とオマジナイを唱えて、自分を元気づけているということでした。
また、最近の朝日新聞夕刊の記事になっていた
森毅の『エエカゲンが面白い』(ちくま文庫)も紹介していただきました。
京大の名誉教授であった森さんは、肝心なのは人間として「おもろい」ことであり、ジャンルにとらわれず自由に学ぶことが大切だとおっしゃっています。
そして、フランスのドキュメンタリー番組
『世界の果ての通学路』や、
ケニアが舞台の英国映画
『おじいさんと草原の小学校』、
名作
『ニュー・シネマ・パラダイス』についても触れ、
人間はいくつになっても学ぶことが大切であり、自分の琴線に触れるものに出会ったら調べてみて
途中で諦めて学ぶことを止めてしまっても構わないから、試してみることを勧めてくださいました。
日々目にしたものや、TVで見て興味を持ったものなどについての知識を掘り下げ、
これから書くことに結びつけていければ良いでしょう。
後半は、今期のテキスト『日本語の<書き>方』(森本卓郎著・岩波ジュニア新書)を皆でかわるがわる音読していきました。
この日は、前回の「2.漢字を使いこなす」の続き
・表意文字としての漢字
・漢字を書くときの注意
・漢字で書かない方がいいこともある?
と、「3.仮名遣い」
・仮名の使い方すなわち「仮名遣い」—「おうさまのおおくのおおきなおうぎ」?
・「かなずかい」でなくて「かなづかい?」—「じぢずづ」
・送り仮名 — 送仮名じゃなくて?
・区切り符号
を見ていきましたが、とても難しい内容でした。
法則はあるものの例外もあり、それについては “覚えるしかない” そうです。
手元に辞書を置き、迷ったら必ず辞書で確認しましょう。
ここで生徒さんからどんな辞書を持っていたら良いか質問が出ました。
辞書によって言葉や用法の解釈が異なることも多いですが、
1.引きやすい 2.語数が多い 3.新しい解釈が載っている(版によって言葉の加減がある)
4.同じ言葉を別の辞書で引いたときに自分が納得できる 5.価格 などを考慮して購入すれば良いのでは、とのことでした。
ちなみに高科先生は、
『広辞苑』(岩波書店)と
『新明解国語辞典』(三省堂)をいつも手元に置いているそうです。
漢字で書かない方が良いのはどんなときか?については
文化庁の当用漢字表にある「使用上の注意」に基づいて
代名詞・副詞・接続詞・感動詞・助動詞・助詞、外国(中華民国は除く)の地名・人名、外来語、動植物の名称などはかな書きにすることを確認しました。
とくに文章を書くときによく出てくる、「もの」「こと」「よう」「ふう」「とき」などは
具体的なものを書く場合は漢字、抽象的なものはかなで書く、と覚えておきましょう。
また、「者」は人格のあるもの、「物」はそれ以外の有体物、「もの」は抽象的なものに使います。
「—」=ダッシュは “思考線” とも言い、原稿用紙に2マス使って書き、考えを伸ばすときに使います。
「…」=3点リーダーは “心情線”とも言い、 原稿用紙1マス分に書き、気持ちの微妙な動きを表すときに使います。
どちらも使いすぎると見苦しくなるので、有効に使うようにしましょう。
以上をふまえて今回の課題は、「わたしの階段」をテーマに、本文1200字(原稿用紙4枚目の5行目まで)でエッセイを書いてきてください。
階段にまつわる話なら、実際には出てこなくても大丈夫です。
漢字とかなの使い分けなどに留意して書いてください。よろしくお願いします。