絵話塾だより

Gallery Vieが主宰する絵話塾の授業等についてのお知らせです。在校生・卒業生・授業に興味のある方は要チェック!

2024年6月29日(土)文章たっぷりコース第5期・第14回目の授業内容/高科正信先生

2024-07-03 17:35:27 | 文章たっぷりコース

前回テキストが終わったので、この日は『日本語のレトリック:文章表現の技法』(瀬戸賢一/岩波ジュニア文庫) の続きから、
「くびき法…ひとり二役をこなす」「換喩…指示をずらす」「提喩…カテゴリーをあやつる」の箇所を見ていきました。

「くびき(頸木)」とは、牛や馬に人や荷物を引かせるために首の左右に渡す平行の木材のことで、
転じて複数の意味を持つことばを、一つの表現に使う方法です。二語の意味の距離が遠いほど “上手い表現” といえるでしょう。

・換喩は、共通の理解があることばの意味をずらして表現する方法です。例えば「今夜は鍋にしようか」というと、夕食のメニューを鍋物にするという意味で
「モーツァルトを聴く」は、モーツァルトが作曲した作品を鑑賞するという意味になります。漫才や落語では、この “ズレ” を利用して笑いに結びつけることがあります。

・提喩も、共通理解があるうえで成立する表現です。同じカテゴリーのことばを、意味の違う別のことばに置き換える方法です。「花見」=「桜を観に行く」「ご飯」=「食事全般」「焼き鳥」=「鶏肉を串に刺して焼いたもの」となるように、属 > 類 > 種 という関係で言い換えるのです。
ただ、一般的な共通理解といっても住んでいる地域や環境、時代によって違ってくるので、気をつけて使わなければなりません。

換喩や提喩は、比喩と気づかず使っていることも多い表現です。文学だけでなく、人の生活に自然に根づいた表現方法なのですね。
日本では、昔から「しりとり」「数えうた」「折り句(文章の行頭の文字をつなげると意味をなす=縦読み)」「アナグラム」のように言葉遊びがあり、“洒落た言い回し” を好むようですが、これらはすべて表現の幅を拡げるためにあるもので、表現に名称を付けたり説明するのはすべて “後付け” ということなのでしょう。

休憩をはさんで後半は、高科先生のご友人・岡田淳さんの新著『いいわけはつづくよ どこまでも』(絵  田中六大/偕成社)をご紹介。
神戸新聞に連載していたお話をまとめた本の中から、おじいちゃんが孫に関西弁で “ほら話” を語って聞かせる『ほんまはわからん』と『こんなところに王さまが』の2編を読み聞かせていただきました。
ちょうど、前々回の課題が「うそをつく・謀る」だったので、参考になるおもしろい作品でした。

続いて先生は、講談社のおはなし童話館7『ほらふき男爵・こうのとりになった王さま』(訳 斉藤洋/絵 長新太・和歌山静子/1992年出版)から
『ほらふき男爵のぼうけん』を読み聞かせ。次から次へと繰り出すほら話が、本当におもしろかった!
ほらふきの話はよくありますが、うまくできていないとおもしろくありません。

  

先生が好きな作家・アメリカのエリナー・ファージョン(『ムギと王さま』訳 石井桃子/絵エドワード・アーディゾニー/岩波少年文庫が有名)の作品にも『町かどのジム』(訳 松岡享子/絵 エドワード・アーディゾーニ/童話館出版) という、老人が少年に語って聞かせるスタイルのお話があることを紹介してくださいました。
彼女の作品にはエドワード・アーディゾニーが挿絵を付けているのですが、あっさりしているのに雰囲気のある絵がすばらしいと、先生が絶賛しておられました。

 

この後、皆が提出した「うそをつく・謀る」をテーマにした作品から2作品ほど紹介していただきましたが、アイデアや構成が素晴らしく、オチを聞いて「あ〜〜〜っ、騙された〜!」となったのでした。

そして、朝日新聞に掲載された 東海林さだおの『まだまだ!あれも食いたいこれも食いたい』の「おにぎり法成立」の回を読んでいきました。
エッセイと言うのか…おにぎりのあるべき姿について、おもしろおかしく繰り広げています。“わかったような わからんような” 話を、上品に笑えれば良いですね。

文章たっぷりコース第5期の授業もあと2回。課題も残り少なくなっていきました。
今回のテーマは「語る」です。
今日読んでいったほら話のように、「むかしむかし〜あったとさ」とか「あるところに〜がおりました」と、語り口調で書いてください。
いろいろ学んでいったラストスパートで、お話を作る練習をしてくださいね!

提出は、7月13日(土)です。よろしくお願いいたします。


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2024年6月8日(土)文章たっぷりコース第5期・第13回目の授業内容/高科正信先生

2024-06-09 20:50:19 | 文章たっぷりコース

この日は、先日NHKの「日曜美術館」で放送していた、宇野亜喜良さんのお話で始まりました。
生徒さんの中でこの番組を見ていたのは一人だけだったので、先生は残念がっておられましたが、宇野さんがどんなに素晴らしいかを雄弁に語りました。
1934年に生まれた宇野さんは、今年90歳。1960年代からイラストの仕事を始め、1966年に出版された『あのこ』では、今江祥智さんの文章に絵を付けて、高科先生を魅了したそうです。
そして『あのこ』と同じ、宇野さんが絵、今江さんが文章を書いた(ジェームズ・サーバー作を翻訳)、『たくさんのお月さま』(1989年にビーエル出版から刊行)も紹介してくださいました。
※ ちなみに今江さんの翻訳はとてもセンスが良く、マーク・セイラーの『ぼちぼちいこか』(絵 ロバート・グロスマン/偕成社)では、なんと関西弁を使っています。

  

宇野さん関係の出版物は、画集や雑誌の特集もたくさん出ていて、先生はわざわざ特集本の付録になっていたポスターを持って来て、見せてくださいました。
絵話塾の書棚にも宇野さんの本は何冊かありますので、皆さんもご覧ください。

 

宇野さんは、2歳下の横尾忠則と一緒に仕事をされていたこともありますが、横尾さんが途中で「画家」宣言をして自分の表現したいテーマで制作しはじめたのとは対照的に、現在までずっとイラストレーターとして、クライアントからの依頼を自らのフィルターを通して表現し続けています。
どちらも日本を代表するアーティストですので、できれば著作や原画作品を見る機会を持ちたいものです。

さて、今期のテキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)は、P177〜181。この日で最後になりました。
宇宙創世からの歴史を考えると、人類の登場はつい最近であり、生命の誕生は奇跡によってもたらされたものです。
本の中では自分自身の「気づき/ひらめき」を大切にして、文章を書きましょうと再三再四言及されています。
ぜひ気になることや興味を持ったもの、感銘を受けた言葉などを書き留め、そこから書きたいテーマを見つけて文章にしていってください。

続いて、『日本語のレトリック:文章表現の技法』(瀬戸賢一/岩波ジュニア文庫) から、「擬人法」と「共感覚法」のところを見ていきました。

 

「擬人法」では、風を擬人化してその表情を描いたり、何かを運んだりするような例文がたくさん出てきました。あまりにも自然な表現が多いので、比喩と思わずに使っていることが多いのだなとあらためて気づきました。

「共感覚法」では、五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)のつながりによって、何かをどれかに置き換えて表現する方法です。例えば、味には甘味・塩味・酸味・苦味・旨味の5種類しかないのに、「薄味」「懐かしい味」「芳醇な味」などの言葉で、より分かりやすく表現する方法があります。その場合、貸す方と借りる方に組み合わせがあることも覚えておきましょう。しかも、このような比喩そのものがどんな味を表すのかという共通認識(共感覚)となっており、一般的によく使われています。

比喩は、自分が思いついたユニークなたとえ方を使って表現する楽しみもある一方で、それが人に伝わるようなたとえになるよう、さじ加減をうまく行う必要があります。(独りよがりではダメ)

休憩をはさんで後半は前回から見ていっているかこさとし+福岡伸一の『ちっちゃな科学』(中公新書ラクレ)から、かこさんの科学絵本『かわ』宇宙』 『小さな小さなせかい』について書かれている箇所を見ていきました。
それぞれの作品は作り方を変えて制作されていますが、知的好奇心を膨らませるものを文章の中に入れることができるかが大切です。かこさんの場合は、画面の隅々にまで読者のさまざまな「萌えポイント」を描きこんでいるのが大きな魅力になっている、とのことでした。

同じように、知的好奇心を膨らませる絵本として『このよで いちばん はやいのは』(文 ロバート・フローマン/ 天野祐吉/あべ弘士/福音館書店かがくのとも絵本)を紹介してくださいました。

カメから始まり、ウサギ、チーター、海の生き物、鳥の仲間、乗り物、音、光…とだんだん早いものをあげていきますが、最後に「この世でいちばん早いのは、人間の想像力」であると言っています。人は想像することで、一瞬でどこにでも行ける、何にでもなれる、いろんなことを成し遂げられるのです。

それにしても、「言葉」はいつ生まれたのでしょう? 人類の祖先であるホモ・サピエンスが誕生したのは、40〜25万年前。アルタミラやラスコー、ショーベの洞窟に動物の絵が描かれたのは数万年前(これは石器時代にネアンデルタール人が描いたとされる)。その頃から人類は記憶や感情を共有しており、情報を自分以外の人に伝える手段としての「言葉」を使っていたと思われます。
まず「言葉」ができ、文字が生まれ、情報を残せるようになる → 情報を手描きで複製していたのが、版画や印刷によってたくさんの複製が可能になる → インターネットの普及で、ネット上に情報が拡散されるようになる(その中にはフェイク情報も含まれる)

このように、世の中はどんどん便利になっていきますが、便利になりすぎると好奇心や想像力が減少する傾向もあります。

そこで、今回の課題は「しる」「わかる」です。
自分の身のまわりの小さなことでも、宇宙規模の大きなことでもかまいません。
「へえー、そうやったんや」「なんや、そういうことやったんか」という発見や驚きを、文章にしてみてください。
書き始める前に、「どうして○○なんだろう?」と想像してみることから、やってみてください。

今回は書き出しに注意(工夫)して、第三者が読みたくなる作品に仕上げてください。
そして、大事なのは「書ききる」「書き終える」ことです。

提出は、次の29日(土)の授業の時です。今回は猶予が3週間あるので、頑張ってくださいね!


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2024年5月25日(土)文章たっぷりコース第5期・第12回目の授業内容/高科正信先生

2024-05-26 20:48:02 | 文章たっぷりコース

絵話塾の生徒さんから、「どうしたら、絵本作家に/イラストレーターに なれますか?」という質問が出ることがあります。
すると、ある先生は「なれるまで続ける(やめない)ことです」と答えたそうです。
では、「もしなれたらどうしたらよいですか?」と訊かれたら、高科先生なら「次をつくることです」と答えるでしょうとのこと。
それだけ描き続けること、書き続けること、制作をやめないことは大切なことなんですね。
職人さんの世界でも、長年続けていると知らず知らずのうちに身についていくものがありますから
皆さんも “何か” を続けてみるのも良いのではないでしょうか?

ということで、テキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)のP167〜176を見ていきました。
・子ども川柳に学ぶ
 →子どもは、思いもよらない言葉でたとえたりして、新鮮である。
・ノートに書き留めた言葉の問答集
 →人の話や本を読んでいて、自分の心の琴線にひっかかったこと、共鳴した言葉などを書き留めておくのも良い。
  内容だけでなく、言い回しも参考になる。

その後、朝日新聞に連載中の鷲田清一さんが選んだ『折々のことば』から、高科先生がセレクトした6作品を紹介していただきました。
年齢も経歴もさまざまな人が発した、“ちょっといい話” 。これを知ったら、ちょっと使ってみたくなります。
実際、中島らもの「一人の人間の1日には、必ず一人『その日の天使』がついている。」というのを、授業後半で引用していた人もいました。

続いて、前回から取り上げている『日本語のレトリック:文章表現の技法』(瀬戸賢一/岩波ジュニア文庫) の続き
・「直喩」…類似点を明示する のところを見ていきました。

もとは別のもの同士の間に類似点を見つけて、組み合わせるのが比喩表現で、直喩では「〜のようだ」という言い回しをします。
ただ、隠喩と直喩の間には中間形態も存在します。たとえが突飛すぎると意味が伝わらず、説明しすぎると比喩のインパクトが弱まって品格も落ちていきます。やり過ぎないよう、気をつけましょう。なるべく短く、コンパクトにたとえることを心がけます。
先ほどの「折々のことば」のように、良いな!と思う比喩表現に出会ったら、書き留めておくのもよいでしょう。

休憩をはさんで後半は、かこさとし+福岡伸一の『ちっちゃな科学』(中公新書ラクレ)から、「はじめに〜大切なことは “小自然” から学んだ」の箇所を見ていきました。

昆虫少年だった生物学者の福岡氏は、小学生の時に かこさとし さんの『かわ』(福音館書店)という絵本に出会います。(初版は1962年
それから何十年も経って、共著を出版できる喜びを福岡氏は かこさん への感謝を込めて綴っておられました。

 

そして、『かわ』を読み聞かせていただきました。
かこさんには、ものがたり絵本もたくさんありますが、『かわ』のように科学・知識絵本も多く出版されています。
高科先生も、もし子どもの頃に『かわ』のような作品に出会っていたら、自分の体験や思いを書くときに役に立っていただろうとおっしゃっていました。

 

最後に、今回の課題は「嘘をつく(謀る・たばかる)」です。
嘘をつくことに関するエッセイとかではなく、実際に内容が「嘘(=実際のことではない)」の話を書いてください。
どんな嘘でもかまいません。ほら話、妄想話、もっともらしい嘘の話、見てきたような嘘の話…何でも良いですが、暗い話より、読んで笑えるような明るい話が良いですね。

参考図書として、寺村輝夫の『ぞうのたまごの たまごやき』(絵 和歌山静子/理論社)を紹介していただきました。(※1984年には福音館書店の日本傑作絵本シリーズから長新太の絵で出ています)

たまごのすきな王さまに赤ちゃんが生まれ、お祝いに国中の人にたまご焼きをごちそうすることになって、ゾウのたまごを探しに行くという物語です。(ゾウは卵で生まれるんでしたっけ !?)
こんな感じのクスッと笑えるお話が書けたら、良いですね!

提出は次回6月8日の授業の時です。
難しく考えず、まずは書いてみてください。書き始めると、案外転がるようにアイデアが湧いてくるかもしれません。

 

 

 

 


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2024年5月11日(土)文章たっぷりコース第5期・第11回目の授業内容/高科正信先生

2024-05-18 19:23:40 | 文章たっぷりコース

この日は高科先生のお友達・児童文学作家の岡田淳さんの新作『ねがいの木』(絵 植田真/BL出版)のお話から始まりました。
1980年代に「日本児童文学」という雑誌に連載された作品を書籍化。植田真さんの絵も素晴らしく、世界情勢が不安定になっている今だからこそ読んでほしい本になっているそうです。

 

この日は、テキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)のP164にあるコラムから
比喩表現とオノマトペについての文章を読み、その後

『日本語のレトリック:文章表現の技法』(瀬戸賢一/岩波ジュニア文庫)から、
・前書き
・「意味を転換する(意味のレトリック)」の隠喩…類似点を見つける
・レトリック30早見表
の箇所を見ていきました。

隠喩は比喩の女王とも言われ、類似点を見つけてずばり喩えるのが特徴です。
喩える項は具象的なものであり、喩えられる項は抽象的なものになります。
類似点は、見た目の場合も特徴の場合もあります。

「宿題の山」は隠喩で、「山のような宿題」は直喩になります。
「〜のような」「〜みたいな」は直喩ですが、これは次の授業で見ていきましょう。

レトリックを使うときは、一般的に広く使われている喩えが分かりやすいのですが、新しいものを作り出そうとすると読み手が理解しづらくなるので、気をつけましょう。
他の人の共感を得るのは難しいかもしれないけれど、発信者の思考回路が見えるような気の利いた言い回しを考えるのは良いことです。

   

休憩をはさんで、長新太の『ユーモアの発見』(岩波ジュニア文庫)から、「まえがき」と「もえるキリン」「おなら」「怪獣」の箇所を見ていき、冊子に掲載された長さんがダリの「燃えるキリン」を模写した作品も紹介していただきました。

  

  

それから、絵本『ゴムあたまポンたろう』(童心社)を読み聞かせ。
長さんのこんな発想は、いったいどこから出てくるのでしょうね?
高科先生は、長さんがありとあらゆる物の中から自分のアンテナにひっかかった面白いものを集めており、作品を描くときにはきちんと調べて書いている。あふれんばかりの知識が、発想の源となっているのでは?と。

ここで1つ問題です。ゾウを冷蔵庫に入れるには、どのような手順が必要でしょう?
①②③3つの手順で答えてください。

ゾウが入ったら、次はキリンを入れてみましょう。
この時は①〜④まで。一工程増えるので、注意してください。

正解は、

ゾウの場合は、①冷蔵庫の扉を開ける ②ゾウを入れる ③扉を閉める でした。

キリンの場合はどうでしょう?

①冷蔵庫の扉を開ける ②ゾウを冷蔵庫から出す ③キリンを入れる ③扉を閉める です。

な〜るほど〜!!!!!となりますよね。

大人は自分の価値観から逃れられないので、どうしても冷蔵庫と動物たちのサイズを考えてしまいますが、もっと単純に考えたら良いのですね。

長さんは独特の形や色遣いで絵を描かれていますが、絵本を作るきっかけになった(影響を受けた)作家は、マドレーヌちゃんのシリーズで有名な、ルドウィッヒ・ベーメルマンス(wikipedia)だそうです。
独特な画風とはいえ、絵本ではなく書物の中の挿絵などで昔の絵の模写などが載っていると、長さんの画力は相当高かったことが分かります。
絵でも、文章でも、誰かの作品を模写すれば確実に力がつきますので、皆さんも好きな作家の絵や文章を模写してみるのも良いですよ。

最後に、今回の課題は「はしる」です。走る・奔る・趨る…いろんな漢字があり、「小走り」「激走」など走り方もがありますが、今までに走ってきたこと、これから走るであろうこと、走っているものについて、自分の目から見たもの等について、自由に書いてください。
例によって、創作・エッセイ・文字数・文章のスタイル・対象年齢などは全く制限はありません。

提出は5月25日(土)、12回目の授業の時です。よろしくお願いいたします。

 


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2024年4月27日(土)文章たっぷりコース第5期・第10回目の授業内容/高科正信先生

2024-05-03 20:07:09 | 文章たっぷりコース

高科先生は、最近電車の中で小さな子どもにスマホを見せている親御さんが気になっているそうです。
子どもは恐ろしい早さで母語を獲得していくので、それに最適な時期があります。
それなのに、動画を見せて一方的に情報を取得させるようなことで良いのだろうか、というわけです。
今の時代はデジタルツールを使わずに生活することは難しくなっていますが
絵本を読み聞かせることは、一方通行ではない「学び」があります。
いま一度小さな子どもにスマホを渡す前に、できることを考えてはいかがでしょうか…

この日はテキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)から、P154〜164を見ていきました。

・尾崎放哉の俳句を詠む
・谷川俊太郎、まど・みちおの詩を読む
・スマホを手放し、五感で対話する

俳句や川柳は、「読者」からいきなり「作者」になれる文芸です。
俳句には五七五の定型に捕らわれない自由律俳句もあるので、オススメとのことです。

 

それから、まど・みちおさんの『全詩集』(伊藤英治 編/理論社)『いわずにおれない』(集英社be文庫)から
いくつかの詩を紹介していただきました。
まど さんは、1994年に日本人として初めて国際アンデルセン賞の作家賞を受賞したのですが、
児童文学の世界のノーベル賞と言われる同賞で、詩人が作家賞を受賞したのも初めてのことでした。

昔は子どもたちが童謡や唱歌を歌うのがは当たり前のことでした。
今も歌い継がれている曲はありますが、『おぼろ月夜』や『春の小川』のように
五感を働かせる描写のものは少ないです。
たまには目を瞑ってみたりして、意識的に五感を働かせるのも良いものです。

自分で実際に体感して習得したり他人と共感しあえることは、人として重要なことですが、今はそれがうまくできない子どもや大人が増えています。
レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』(上遠恵子 訳/新潮文庫) では、作者が幼い甥っ子を連れて自然の中に出かけ、さまざまなものを体感し、それを彼と共感する様子が書かれています。
彼女のように大自然に入っていかなくても、道ばたの草や住宅街の庭木、町中を飛び交うツバメなど、身のまわりをよく見ると、興味深い世界が広がっています。
そのことに気づき、その時に感じたことを、誰かと共有するのは素晴らしいことです。
「気づき」や「ひらめき」は文章を書く際にも役に立つことを覚えておいてください。

  

休憩をはさんで後半は、『ダンゴムシに心はあるのか』(森山徹 著/ヤマケイ文庫) を見ていきました。
ダンゴムシの話ではありますが、心は何か・心はどこにあるか、について考察する難しい文章でした。
結論から言うと、脳を持たないダンゴムシでも、行動実験を通じて「心がある」といえるのではないかとのことでした。

そして、『ぼく、だんごむし(かがくのとも傑作集 )』(得田之久 著・たかはたきよし 絵/福音館書店) を紹介していただきました。

最後に、今回の課題は「ぼくは○○」「わたしは××」など、何かになりきったつもりでてお話を書く、というものです。
一人称は、「俺」でも「うち」でもなんでもかまいませんし、主人公が生物でも無生物でも良いです。
それになりきったらどんな行動に出るか、どんな事件が起こるか、なった気持ちで書いてください。

参考になれば…と、長新太の『ぼくはイスです』(亜紀書房) を紹介してくださいました。
いつも腰掛けられるばかりのイスが、何かに腰掛けに行ったらどうなるかというお話です。
このように、なりきったらどんなことが起こればおもしろいかを考えましょう。
対象年齢も、文章のスタイルも(長編・絵本のテキスト 問わず)も自由です。

 

このコースでは、創作とそれ以外の課題を交互に書いて提出します。
いろんなタイプの文章を書くことで、「書く力」がついていきます。

今回配布された比喩表現についての資料は次回(5月11日)使いますので、
忘れないように持って来ててください。よろしくお願いいたします。

 


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