人生ブンダバー

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渡部昇一『日本史から見た日本人 昭和編』(祥伝社黄金文庫)

2009-01-10 06:00:22 | 近現代史
渡部昇一先生は日本史に関する本を何冊も書いているが、本書もその一つである。
渡部先生の立場は、第2章「世界史から見た『大東亜戦争』」でも明らかなとお
り、戦前昭和の日本にも問題があったが、何も日本ばかりが悪かったわけではない
というものである。岩波新書の『昭和史』とはまた違った「見方」である。




ただし、
「満州事変そのものは、昭和6(1931)年9月18日--統帥権の独立が認められるよ
うになってから約1年経っている--奉天の近くの柳条溝(ママ)附近で、王以哲
の部下が南満洲鉄道を爆破し、これを警備中の日本の独立守備隊が応戦したとい
う、いわゆる柳条溝事件に発したものである」という記述になっており、「勝手に
兵を動かした」「下克上」という問題視した書き方をしているが、鉄道爆破が関東
軍のしわざ(陰謀)とは書いていない。
日本ばかりが悪かったわけではないにしても、事実はきっちり書くべきであろう。


*最近、「日本は侵略国家ではなかった」という主張がある。そもそも「侵略」
 とか「自衛」とは何かという問題は大変難しいものだが、対華21か条の要求とか
 満洲事変とかが中国のナショナリズムを刺激したのは間違いないのではないだろ
 うか。そもそも「帝国主義」の本家本元は英国だったはずである。--中国、ア
 ヘン戦争。


いずれにしても歴史的事実を一つひとつ実証していくことが大切で、それをどう解
釈するかは二番目の問題である。


ちなみに渡部先生は「真の近現代史観」懸賞論文最優秀賞である「田母神論文」の
審査委員長である。(考え方が似ているといえなくもない。)


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本日より「テンプレート」を冬ヴァージョンに替えました。--「冬来りなば春遠
からじ」。



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2 コメント

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平成元年に読みました。 (wajimase)
2009-01-10 20:24:36
最近やっと「あの戦争は何だったのか」「瀬島龍三の遺言」とかで、統帥権問題を取り上げていますが、渡部先生はこの本を平成元年に書いているからすごいと思います。戦後の日本人性悪説に断固言論で闘った方ではないでしょうか。もう一度読んでみます。
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Unknown (katsura1125)
2009-01-11 08:18:28
wajimaseさん、有難うございます。
「昭和史」もまだ新しい事実が出てきそうですが、
「現代史」ではなく、歴史の世界に入ってきました。

三島由紀夫のように戦前のほうがよかったとまでは言
いませんが、少なくとも、戦前は「暗黒の時代」だっ
たというのは、間違い、あるいは唯物史観の「宣伝」
ですね~。
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