8月15日(土)、朝刊一面を読み比べる。
見出しのトップは、
産経;「謝罪」次世代に背負わせぬ 大戦への深い悔悟の念
日経;首相「反省・おわび」言及 内閣の立場「揺るぎない」
朝日;「侵略」、「おわび」言及 引用・間接表現目立つ
となっており、いかにも、新聞各社らしい書きぶりである。
各社のこの書きぶりは、なぜか、私の学生時代からほとんど変わらな
い。
それにしても、朝日新聞の
「歴史は、私たちの社会や政治を批判的に考える手がかりとなる。逆
に、政治権力はしばしば歴史を自分に有利な視点として味方につけよ
うとする。安倍晋三首相が『談話』を出そうとした動機もそこにあった
ように思える」
という書き出しで始まる「政治は歴史を変えられない」という大野博人
論説主幹の署名記事は、いかにも朝日新聞らしい(?)、貧しい、「安
倍首相=100%悪」を前提としたステロタイプな発想と言ってもいい
のではないかしらん。--「談話」を出さない方がよかったとでもいう
ような書きぶり??
私は、「朝日新聞はおかしい」と「予断」と「偏見」を持って読んでいる
わけでは決してないが、朝日の論説、社説を読むとやはり多々疑問
点がある。「大方の人」はそう思うのではないかしらん。
朝日は、安倍首相談話発表前から、「安倍談話『おわび』盛らず」
(8/9)などという観測記事を盛んに流していた--いつもながら、
これに中韓が反応。
前にも書いたが、いまだ検討中の事柄にああではないか、こうなった
らケシカランとかケシカルとか言うべきではない。主張はともかくとして
も、マスコミ、とくには朝日新聞の姿勢のもっともよろしくない点である。
ちなみに日経には、「過去を変えるのは未来だ」と題し、「過去は
未来によって変わる。戦後70年ここでそのきっかけをつかめない
ものか。戦後という時代に終止符を打つために」という論説があっ
た。
「運転中はバックミラーを常に確認しなければならないが、より注
意を注ぐべきは目の前の道だ」(ゴー・チョクトン シンガポール前
首相)という言葉も引用していた。(論説委員長芹沢洋一)
それよりも、私は首相談話の第2段落で、
「百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民
地が、広がっていました。圧倒的な技術優位を背景に、植民地支配
の波は十九世紀、アジアにも押し寄せました。その危機感が、日本に
とって、近代化の原動力となったことは、間違いありません。アジアで
最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました」
と述べていることにハッとした。
「21世紀構想懇談会」の報告書の書き出し--
「植民地から免れようと近代化を遂げた日本が日清戦争に勝利して、
台湾を植民地とし(1895年)、アジアに縁の薄かったドイツも、宣
教師が殺されたことを理由に山東省を勢力圏とし(1898年)、米国
も、米西戦争に勝利してフィリピンを植民地として領有することに
なった(1898年)」
よりも、さらに歴史をさかのぼっていたからである。
猪瀬直樹・田原総一朗『戦争・天皇・国家』(角川新書 7月15日初版)
の序章に猪瀬氏は「『戦後レジーム』ではなく『黒船レジーム』で考
えよ」と題して、
「強い国が弱い国を侵略し、ときには相手国を滅ぼす弱肉強食の世界
--それが十九世紀から二十世紀にかけての国際社会の現実であっ
た。中国もインドも欧米列強の餌食となり、アジアで植民地化を回避で
きたのはタイと日本だけであった」
と書き出しているが、今回の首相談話は、それを彷彿させるものであ
る。
あくまで憶測だが、首相談話の「原案」は、学者クラスなどかなり
「賢い」人が書いたのではないかしらん。
田中角栄は、記者会見で「明治以来、わが国は・・・・・・」と言っていた
が、安倍さんがどうとかこうとかというよりも、ようやく首相談話に上記
のようなことが織り込める「時代」になってきた・・・・・・のかもしれない。
8月15日付朝刊各紙
左から、朝日新聞、日本経済新聞、産経新聞
(朝日新聞が一番左にあるのはたまたまである)。
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