人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

音楽学 土田貞夫 木下保先生 二村定一(2) 金聖響等『マーラーの交響曲』

2012-02-13 05:00:00 | Weblog

あるきっかけで音楽学というものを調べていたら、インターネットで慶應日吉の「音
楽学研究室」に行きついた。私が学生時代にも日吉には「音楽」という授業があり、
土田貞夫という先生が講義していた。

当時はさほど認識していなかったが、土田貞夫先生は東大美学の出身で東京学
芸大学教授などを歴任後、慶應日吉に来られ、その道では有名な方だった。

*慶應日吉の音楽学研究室の案内はこちらをクリック。音楽学研究室のHPから
 入れば平成23年度の音楽関連講義・セミナー案内も閲覧できる。

 私が日吉に通っていた頃から40年経ち、「音楽」関係の講座はますます充実、
 発展しているようだ。大学時代はもったいないことにボーっと聴いていた「音楽」
 の講義だが、この講義・セミナーはいずれも興味深く、今は授業料を支払って
 でも受講したくなる。


土田貞夫先生のことをネットで調べていたら、「『音楽公論』記事に関するノート 
第3巻第8号(1943.8)」に行き当たった。(→こちら。)戦時中に『音楽公論』とい
う雑誌があったようで、その要約が載っている。

その中に、「歌手のスポーツ談義/木下保」と題して--木下は少年時代に野球
を行い、豊岡中学時代は400m走のナンバーワンだった、という記事があった。
木下先生は、酒、たばこなど声楽家にはいかがなものかといわれるが、そんなこ
とは瑣末な問題で、水泳が水に慣れなければできないのと同様に、歌ならば声を
出すことに慣れることが大切だ、という趣旨のことを発言されている。

木下保先生は、今年没後30年、来年生誕110年を迎える。
YouTubeで木下保先生の歌う「若き血」(慶應応援歌SP)を聴いていたら、なぜ
か涙があふれてきた。「若き血」に涙するのは初めてだ。他人(ひと)はそれを感
傷というのだろうか。

なお、同号では「楽壇決戦態勢強化緊急座談会」として、園部三郎、山根銀二、
野村光一、登川尚佐、土田貞夫、寺西春雄、関清武各氏が戦時下の批評の創
造性などをテーマに発言しており、これまた興味深い。



<読書>
二子玉川の紀伊國屋書店で金聖響+玉木正之『マーラーの交響曲』(講談社現
代新書)が縦積みになっているのを見つけ、購入。『ベートーヴェンの交響曲』、
『ロマン派の交響曲』に続くものである。マーラーの交響曲については柴田南雄
さんの名著(岩波新書)があるが、本書はまた別の付加価値があるだろう。ジッ
クリと読んでいきたい。

金聖響+玉木正之『マーラーの交響曲』(講談社現代新書)




<二村定一(2)>
先日コメントいただいたKDさんから頂戴したCDを聴いた。
「君恋し」(昭和4.1)が冒頭に入っている。フランク永井よりテンポがはやい。
「青空」(昭和3.10)、「アラビアの唄」(昭和3.10)、「笑ひ薬」(昭和3.12)等、
どこかで一度は聴いたことがある曲は、二村定一が昭和の初めに歌っているも
のだった!

「青空」 ♪狭いながらも楽しいわが家
「アラビアの唄」 ♪砂漠に日が落ちて夜となるころ
「笑ひ薬」 ♪なんぼなんでも世の中に これほど馬鹿げた話があるものか
・・・・・・この原曲はフォークダンスの「オクラホマミキサー」とのこと。そういわれて
みればそうである。

昭和初期は文化史として研究してみる価値がありそうだ。(二村定一にしても既
にどなたかが研究しておられるだろうが・・・・・・。)




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6 コメント

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土田先生 (MarkI)
2012-02-14 07:30:39
一年の時に土田貞夫先生の音楽美学を履修しました。「音楽というのは、楽譜にあるのではない。演奏自体が、作曲家の世界と演奏者の世界が融合するところから始まるんだ。でも、それだけじゃ不足なんだ。聴衆がその世界に共鳴する瞬間が音楽なんだ」「昔、ピアニスト=タイピスト論とうのがあってね、それに反論したことがあったが、逆説だったんだなぁ。ピアニストよ、しっかいせいというメッセージだったんだよ。」今でも覚えおります。自分の、もう一つのルーツです。
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二村定一(続き) (KD(H1卒))
2012-02-14 09:14:05
早速にお聴き下さったこと、更にはブログに採り上げて下さり幸甚、恐縮です。
三十年くらい前?に何かのCMで「洒落男」が使用され、ちょっとした二村定一ブームになったことがありましたね(この歌をそれで覚えました)。
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Re;二村定一(続き) (katsura1125)
2012-02-14 21:36:49
KDさん、重ねて有難うございます。
そういえば「洒落男」は某ビール会社(メーカー)のCMで使われていたのですね~。

私の父母が子供のころ--昭和の初めは想像以上に明るい時代だったようです。私の祖父母に聴いてみたかったです。
返信する
Re;土田先生 (katsura1125)
2012-02-15 19:53:48
MarkIさん、コメント有難うございます!

そういえば『非在の響き』という本がありましたね~。今聴けばもっと何倍もおもしろい授業と感じることでしょう。

「深い」ことをおっしゃっていたのですね~。
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木下先生と「若き血」 (minorer)
2012-03-12 20:41:39
実は3月5日の方の日記にコメントを付けようとして
参考のため以前書いたシェーンベルクの「グレの歌」
に関する自分の文章を探したら、それは2008年10
月のガラコンサート記念文集に掲載したものでした。

で、その文集に久しぶりに目を通していたら、学生
時代にクルマで木下先生の送り迎えをしておられた
Tさんの文章がありました。

あるとき、どういうきっかけからか、木下先生がクル
マの中で右手の握りこぶしを上下に振って「若き血」
をお歌いになったこと。運転手であるTさんも(もちろん
左手はしっかりハンドルを握って)右手を振り上げ、
振り下ろし唱和したこと。

その微笑ましい光景を思い浮かべながら、昨日(遅れ
ばせながら)YouTubeで木下先生の「若き血」を拝聴
しました。泣く事こそしませんでしたが、何ともいえず
温かく幸せな気持ちになりました。

遅ればせながら、ここにコメントさせていただきます。
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Re;木下先生と「若き血」 (katsura1125)
2012-03-13 20:34:45
minorerさん、お久しぶりです!

木下先生の「若き血」は気持ちゆっくりしたテンポで、なんともいえずしみじみとしたものですね~。藤山一郎ともちょっと違った味わいです。

今年は、先生没後30年!16日はフィリアホールで信時潔歌曲集の演奏会が開催されます。麻野恵子さんは木下先生最後のお弟子さんと。
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